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機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第14話 〜 明日への出航 〜

■新OP&ED

ステラかわいいよステラな映像、虎の金色MS、ザフト軍の新キャラ、早くもインパルス降板?(っていうか換装の1パターン?)など、そこかしこにネタを振りまいてくれましたが、見所はなんと言ってもEDで描かれた登場人物同士が対をなす関係性。

種のキャラ描写においては、登場人物を個別に掘り下げていく直接的な手法よりも、むしろ登場人物同士の関係性をもって互いのポジションを相乗的に伝えてくる間接的な手法が目立ちます。今回のOP&EDはそのことをかなり具体的に伝えてくるものでしたが、こういうパズルチックなストーリーテリングはかなり好き。っていうか、全部で10種前後もある関係性を全て描ききることができたなら、その時点で神アニメ認定。並の文学超えちゃいますよ、マジで。


■カガリの明日

前回の慰霊碑に続き、今回の手紙も日本語。なんていう突っ込みいれつつ、カガリ=ユラ=「アスハ」が選んだ明日に注目。

「皆が平和に、幸福に暮らせるような国にするため」には「皆が安心できる指導者と体制」が必要だと考え、そのために「オーブ代表としてすべきこと」としてユウナと結婚することを選んだカガリ。結婚することを「がんばるから」として綴った手紙が、背景として描かれたオーブの平和な街並みやアスランとの絆と重なり、切なすぎ。そして、そのあとに続くアスランとの回想シーンがこれまた重い。

単なるアスランとの思い出を振り返るだけならまだしも、現実に抗い理想を信じて「個人」の視点から正論を吐いていた過去の自分を思い出した末、とどめに持ってきたのが「殺されたから殺して、殺したから殺されて、それで最後に平和になるのかよ!」のセリフ。憎しみの連鎖を否定し、平和を説いた過去の自分がいた。けれども今は、連合と共に憎しみの連鎖を生み出す側へとまわり、カガリ=ユラ=「アスハ」としてユウナ=ロマ=「セイラン」と結婚することで、オーブ一国の安寧を選んだ自分がいる。現実にのみこまれたカガリ=ユラ=「アスハ」がいる…

ウズミ様という理想、シンという現実。その狭間で悩み苦しんだ末、現実を選んだ自分。父ウズミの期待にも、思い人アスランの愛にも応えることができなかった。そんな自分の不甲斐なさにうちひしがれるカガリの目から、涙が零れ落ちる…

さりげに長い髪の女性フェチなユウナが素敵w


■集結!

「本当はなにが正しいのかなんて、僕たちもまだ全然わからないけど」
「でも、あきらめちゃったら、ダメでしょ」
「わかってるのに黙っているのも、ダメでしょ」
「その結果がなにを生んだか、僕たちは、よく知ってる」
「だから、行かなくっちゃ」「またあんなことになる前に」

理想を叫んでも変えることのできなかった現実の前に手折れたカガリ。理想を叫んでも変えることのできなかった現実を受けて、それでも「守らなければならないもの」を守るために再び立ち上がるキラ。そして思い同じくして集う3隻連合の皆。現実の前に力を持ちえなかった理想。それでも理想を信じて再び立ち上がろうとする意志の強さ。それこそが人の輝き。取り返しがつかなくなる前に、またあんなことになる前に………アークエンジェル、発進…!

ウ〜〜〜〜〜ォ〜〜〜〜〜!
燃〜〜〜〜〜え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!


■キラの帰る場所

種29話では、戦いの中で人間性を失っていく自分を恐れ、家族との関係性を拒んだキラ。けれども今は、戦いの末に帰ってくる場所として「家族」を信じられる。そして、そんな家族を「守りたい」と思うからこそ戦える。さりげないキラの戦う動機アピールにプチ燃え。


■卒業?

現実にうちのめされたカガリの挫折を、皮肉にもアスランとの絆の証であったはずのハウメアが見届けようとする中、フリーダム参上。とりあえず「あんなこと」になる前に救出完了。そして、心あるオーブ軍人の期待を背に、まるで種40話を髣髴とさせる力強さでアークエンジェル発進!

っていうかユウナしょぼっ!
カガリはそれ以上にしょぼっ!!!


■カガリの選択は正しい?

え〜、国民のために国に残るのではなく、流されるままAAにテイクアウトされたカガリ。正直ショボいです。常日頃あれだけ理想を振りかざしたのならば、そのツケとして国に残って現実の厳しさを味わい尽くしてもらいたい。それが青少年向けアニメとしての「因果応報」というやつでしょう。

とはいえ、あのままオーブに残ったとして何か成長イベントが起こる可能性はなく(←成長のきっかけになるキャラがいないのでイベント起こせません)、現実の濁流にのみこまれて終わっちゃうだけなんですよね。そこには夢も希望もありゃしません。けれども、カガリ自身が屁理屈な「理想」を掲げ、自分の意志でユウナとの結婚を拒否してオーブから旅立ったところで、あまりに身勝手で現実逃避すぎ。そこで、キラが強引にかっさらうという展開を持ってきたのでしょう。

公人として自分の足で立つことができず、結局は自分以外の意志に流されてオーブを離れることになったカガリ。そんなダメカガリには、これから訪れる戦いの中でどのような出会いが、どのような出来事が待っているのでしょう。どのようにカガリは成長していくのでしょう。

視聴者にとって過剰な「ストレス」であることは事実ですが、だからと言ってそこだけを見て全否定しては話が楽しめません。ストレスMAX状態に達したカガリのダメっぷりをどう成長へとつなげて「カタルシス」へと転化するのか。そして、成長したカガリ=ユラ=アスハがどうオーブに帰還し、戦争を、憎しみの連鎖を解放していくのか。制作スタッフのお手並み拝見です。


■ぐらす的カガリ成長物語妄想案

けど、やっぱりカガリはオーブに残ってほしかった…。現実にうちのめされて自虐的になる中、それでも理想を信じて戦うAAの姿をミリアリアの報道を通じて知る。葛藤するカガリのもとにキラ母参上。厳しく、そして優しくカガリの弱さを包み込み、最後に「あの子は戦っています…」と告げるキラ母。そして………みたいな〜〜〜感じ〜?



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第15話 〜 戦場への帰還 〜

14話と比べると、それぞれの「戦場への帰還」を描くことで新しい章の始まりを伝えてきた今回の方が第2クールっぽいような…。そんな15話。


■正しさを探す旅

第15話冒頭の会話シーン。そしてその最後に持ってこられたこのセリフ。
「僕たちは今度こそ、正しい答えを出さなきゃいけないんだ。逃げないでね」

種の作中で「正しさ」とされていることは、憎しみの連鎖から意識を解放すること。けれども、前作種での自分たちの行動は「憎しみの連鎖」を解消するに至らず、それどころか、自分たち自身も武力を振りかざして「憎しみの連鎖」を生み出しもしてしまった。そして、人は再び同じ過ちを繰り返しながら「憎しみの連鎖」を生み出しつづけている。

憎しみの連鎖を解消することができる「正しい答え」は未だにわからない。

しかし、だからといって明らかに「間違ったこと(※)」をさせるわけにはいかない。大西洋連邦と同盟を結び、自らを国家統合の象徴として、オーブ国民に「憎しみの連鎖」を生み出させるようなカガリの行為は、止めなければならない。そのために「結婚式場から国家元首を攫うなど」という「正気の沙汰」とは思えない「国際手配の犯罪」をしてでも。
(※ここでの「間違ったこと」とは、憎しみの連鎖を生み出すことにつながる行為)
(※あくまで子ども向けアニメの作中価値観ですので、リアルと直結させないように注意)

−選ぶ道を間違えたら、行きたい所へはいけない−そんな消去法的な理想探しに、理想と現実の狭間で葛藤しているキラたちの姿が垣間見えまくり。ここでタメたもどかしさを後半にどう回収するのかが楽しみです。

なお「理想からは逃げてないけど現実からは逃げてるじゃん」という突っ込みは気づかない方向で脳内処理しませう。


■ホーク姉妹

ショッピング&オシャレ大好きっ子なメイリンとあまり興味なさそうなルナマリア。パソコンで情報収集するメイリンと直にアプローチをかけていくルナマリア。少し控えめなメイリンと事につけて自分を出していくルナマリア。ノーマル緑服のメイリンとエリート赤服のルナマリア。普通丈軍服スカートのメイリンとピンクミニスカのルナマリア。そんな違いを持った姉妹が「アスラン」という一点で交錯開始。

OP&EDで示唆されているとおり、この姉妹関係も対比しながら掘り下げていくようですね。種テーマ&パターンを考えると、エリートで積極的なルナ姉にコンプレックスを持つメイリンを描写→暴走イベント→覚醒イベント→姉との比較ではなく等身大の自分自身を認められるようになる、みたいな感じかな?メイリンも「トップエリート…」みたいな反応してるから、エリートコンプレックスみたいなのがありそうだし…。とはいえ、ルナマリアのアスランへのラヴ(?)も報われることはないでしょうから、そっちはそっちで暴走する可能性もあるわけで。

ネット上では某所で盛り上がってる姉妹ネタですが、種では二人の姉妹を通じて何をどう描いてくるんでしょう。チョイ楽しみな姉妹物語がスタート♪


■フェイス称号の意味 〜価値観のシャッフル〜

前作種では「お父様にいただいた勲章ですか?」なんて感じでマイナス要素だったはずの勲章や称号を、今回は逆に「戦績著しく、かつ人格的に資格あり」といった感じでプラス要素に描いてきましたね。フェイス称号だけではなく他の色々な描写においてもそうですが、デス種では、前種では大前提的に「正しさ」「間違い」とされていた部分を反対側から見てきています。今まで正しいとされてきた価値観には疑問を投げかけ、間違いとしてきた価値観には「正しさ」を見出す。そんな感じ。

・家族を殺された過去から憎しみに依って立つシン → ザフトエリート赤服パイロット
・家族を殺された過去から憎しみに依って立つサトー隊 → アスランに一矢報いる
・憎しみに依って発動したシンの種割れ → ミネルバ防衛に成功
・フェイス称号 → 能力や人格の証として敬意の対象
・理想を信じて戦ったラクス → 無力さを感じて躊躇っている

見方や状況を変えれば、前作で否定的に描いたものは肯定的に、前作で肯定的に描いたものは否定的に捉えることもできるのではないか、ということですね。前種で大前提とされていた価値観をシャッフルし、「はたしてそうなのだろうか?」と問題提起してきた感が強くあります。すでに第1話感想でも触れましたが、価値観の解体&再構築ってところでしょうか。そうすることで、1ステップ踏み込んだ部分でのタメを描いてきているのでしょう。

正しい答えを選んだと思っても間違ってしまうことはある。逆に、間違った答えに見えてもそれが意味を持つこともある。では何が正しい答えなのか。そもそも「正しさ」とはなんなのか。

おそらくですけど、第2クールはキャラ描写の深化だけではなく、そんな価値観のシャッフル&再定義に重きを置いてくる予感。そうなるとかな〜り深くタメていくことになりますが、そんな複雑な「それぞれの正義」と「正義の結果」をどう描いていくのかに興味深々です。


■海を見てたステラたん、ナンパされるの巻

なんですけど、まだよくわからないんですよね。死に対してものすごく臆病なのはわかってるんですけど、それ以外の部分がぶっ飛びすぎ。とりあえず今回わかったことは猫仮面に萌え萌えしてることなんですけど(←戦闘好きなだけ?)、全体像は今一つピンときません。しばらくは描かれるものを直に理解するだけになるのかなぁ…。

ただ、旧3人衆と比べて妙に明るくてリミット効いてるのは確か。ナンパ軍人なんぞクロトあたりだったら「瞬殺!」とかしてそうなのに、アウルは銃突きつけて追っ払っただけ(←だけ?)「俺らそれが仕事だし」なんかは変わってないものの、3人同士の関係は旧3人衆のそれと比べると幾分友好っぽく見えます。旧3人衆路線と旧クルーゼ隊路線の中間みたいな感じかも。

ニコルポジションだれ〜?回想シーンで何回も殺される人だれ〜?


■アスラン=シンの関係性スタート

ザフトに戻った理由を「なんでです?」と問うシンと、言葉で伝えることはしないアスラン。引きシーンでもさりげにシンがアスランを意識してますから、リンク描写スタートって感じです。総集編を挟んでファントムペインとの戦闘になるでしょうから、そこでもう少しはっきりしてくるでしょうが、パッと見た感じ、しっかりもののお兄ちゃんとグレた弟っぽい二人。もちろんどちらも「正しい答え」を持ちえないわけですから、二人を絡ませながら相乗的に深めてくんでしょうねぇ。

それぞれが見出す「正しい答え」はなんなのか。どのように人という種の救いを見出すのか。30〜40話の燃えに向けて、本格的なタメ描写スタート!



という感じで、新旧キャラそれぞれが「戦場への帰還」を果たした15話が終了。戦場では何が待ち受けているのか、そこでどう変化・成長していくのか。戦場の中で本格的に価値観をシャッフルしてくるようだったらキッチリ見てないと意味不明になるかも。そのことに気づかせるという意味では、13〜15話は中々に意味のある話だったように思えます。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第16話 〜 インド洋の死闘 〜

発進シーンにやけに時間を割いてきた→プラモ販促必死。戦闘シーンの大量投下→総集編のおかげでスタッフ一同リフレッシュ。そんな気配がありありうかがえるデス種16話感想。っていうかプラモCMの女の子、暗殺部隊隊長の「エエエエ〜」より棒読み度がはげしいんですけど、バンダイ的にはOKなんだろうか…


■ステラたん、一人でお留守番の図

ウィンダムを借り受ける代わりに建設中の基地防衛にまわされたステラたん。アウルやスティングにしてもそうですが、ここ1〜2話を見る限りでは、戦闘関係では旧3人衆チックでそれ以外はワガママ幼児っぽい?というか、旧3人衆が陰の方向に自己中っぽかったのに対して、今回の3人衆は陽の方向にワガママっぽいのかなぁ。うまく言えませんけど、精神年齢の違うワガママさみたいな感じ?ステラが勝手に出撃しちゃうのを見てもそんな感じがしてなりません。

はっきりわかっていることも、ステラかわいいよステラが猫仮面大好きっ子だということぐらい。あとは戦闘に入るとネオ萌え娘からブチ切れ女に変身するってことかなぁ。いや、ネオ萌えだからブチ切れてるのかなぁ。お留守番の仕事放り出してるし。

それにしても、アウルの「飛べね〜し、泳げね〜し」って直なツッコミがツボに入って笑っちゃいましたよ。置いてけぼりにされたステラたんが一人寂しく見送るシーンも、子犬っぽいステラたんとデカロボットガイアのコントラストが妙に笑えましたし。「ごめんね、強くてさー」「なぁにやってんだよ、ヴォケー」「アヒャヒャヒャヒャ(゚∀゚)」なんかを見てると、アウルのキャラもボンヤリとではあるものの形になってきたように思えます。オクレ兄さんは…いろいろとまじめっぽい感じ…かなぁ…?


■ひさしぶりのMSバトル

これだけの戦闘シーンは4話以降は久しく見かけなかったような気がしすぎ。量産MS大量投入萌えの人、主人公機が活躍するのが好きな人、機体特性や地形適正をいかしたMSバトルが見たい人。それなりに満足いく出来だったように思えます。猫仮面というかムネオというかムウというかネオにしても、MS操縦テクニックはともかく戦術面でシンを翻弄してますから、そのあたりもピコっと好印象。ガイアの犬アタックもカッチョイイ。

ただ、「それなり」なんですよねぇ…。量産MSはほとんど活躍しないし、主人公機はウィンダムを大量撃墜するくらいだし、機体特性を発揮しあうはずのセイバーvsカオスはスピード感とか火力が今一つだし、地形適正を生かせるはずのアビスはグーンと戦艦をぶっ壊した以外はあまり活躍しないし。いろいろと楽しめるファクターは盛り込めていただけに、それを調理しきれなかったように見えてやや不完全燃焼かも。

まぁ、戦闘を楽しむだけのシーンではなくストーリー上の意味を持ったシーンですから、それにあわせた構成になるのはある程度仕方ないかと。注文つければキリはありませんけど、楽しめるもんを楽しむって方向なのがこのレビューなので、そのあたりはスルーするって方向で。


■さりげに気になる水中戦

水中じゃ光学ビームなんてあっというまに威力がなくなるわけですが、レイが「ビームライフルじゃ駄目だ、バズーカ」と指示してるところから見ると、水中ではPS装甲は使えず、実弾兵器でもダメージを与えられるのかなぁ?色が変わるだけ?でもルナマリアザクは実弾直撃でもダメージなかったみたいに見えたし…ナゾ。


■アスラン、あっさり戦場復帰するの図

迷いを吹っ切ってるのはわかりますし、「この戦闘は不可避だと考えます」ともフォローしているんですけど、それにしてもあっさり戦場に復帰しすぎのような。不殺の基本スタンスは変えることなくミネルバを生かすために出撃したんでしょうが、このままでは「憎しみの連鎖」を消滅させるなんてだいぶ遠そうなんですけど…。

まぁシンに対して「発進後の指揮は俺が取る」と言ってますから、戦闘の中でアスランとシンを絡めてくるのが狙いなんでしょうけどね。考えてもしょうがないので、そっちの方に注目注目♪


■俺は間違ったことはしてませんよ、あそこの人だってあれで助かったんだ!

という流れにしておいて戦闘→ラストにキーワード。キタ━(゚∀゚)━ッ!!

正しい答えを見つけられないアスランは、とりあえずミネルバを守るために出撃したものの、オクレ兄さんと猫仮面を牽制してミネルバに近づけなかったくらいの活躍。一方、殺しまくりの上に怒りと憎しみに依ってワガママ全開な命令違反までしたシンは、敵パイロットの「エリザベsawfjk…」な人なんかを殺りまくって新しい「憎しみの連鎖」を生み出しまくりではあるものの、ウィンダムを大量に撃墜してミネルバ防衛に貢献&基地発見&強制連行された民間人解放と大活躍。

思いとリンクしない結果。憎しみの連鎖の中でも守れる何かは確かに存在する。ならば思いとはなんなのか。どれだけの意味があるのか。

第1クールでアスランとシンの立ち位置をきっちり描いてきたおかげで、今回のシン⇔アスランの対比も非常にうまく決まります。しかも、特に12〜13話あたりから意図的に善悪の価値観をシャッフルさせてきたこともあって、思いと結果がリンクしない現実の姿もビシッと決まりまくり。話として非常にスムーズで、流れにのって進んでいますね。

ラストシーンの構図も(・∀・)イイ。憎しみの連鎖に囚われたシンを象徴するかのようなウィンダムの残骸と基地の破壊跡、その一方で、憎しみの連鎖に囚われたシンによって救出された民間人の姿。夕陽の中に描かれたそんな対比が美しすぎて、ちょっとグッときました…。

理想一辺倒だった前作種とは異なり、現実と理想の狭間を描いてきているデス種(←理想の方に偏ってはいますけどね)。その狭間にどんな夢のある落としどころを見せてくれるか。AAの発進シーン宜しくタメにタメてきてますよ〜♪


■工エエェ(゜Д゜) ェエエ工

でも、さすがに「戦争はヒーローごっこじゃない」「自分だけで勝手な判断をするな!」は 工エエェ(゜Д゜) ェエエ工 のような。種の時点のアスランは、多くの出会いと別れを通じて葛藤を重ねた上で死を覚悟して軍を離脱したわけですから(←42話や50話)、一応の筋は通ってるようにも思えますけど、それでも…ねぇ…。全体のノリもほぼ完全にヒーローアニメですし…。それとも戦士の条件=自覚と覚悟ってところに持っていくのかな?

ぐらす的には、理想を論じるアスランに対して「でも守れなかったじゃないか!」とあくまで突っかかるシンの姿が見てみたいなぁ。いきなり理想としての「戦士の条件」を押しつけるよりも、理想だけでは語ることのできない「戦士の条件」をタメとして描いてほしいです。というわけで17話も待ち遠しくてなりません♪



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第17話 〜 戦士の条件 〜

話の進行的にはあまり進んでいないように見えるものの、それぞれのキャラ描写とネタふりが凝縮して描かれた17話。かな〜り話が濃いなぁ。


■潜るアークエンジェル

いきなりinスカンジナビア王国。連合とプラントの動向をうかがいながら今後の動きを思索中のAA。14話での発進シーンもそうでしたが、正しい答えを探すために潜伏中というAAのポジショニングが「潜水」という形で描かれているのでしょう。あてもなく暴走させつづけなかったのはさりげに好ポイントです。

そんなAAの艦内では、デュランダル議長の裏についてLet'sディスカッション。表立ってみれば完璧超人、けれど裏では少しずつ胡散くさいオーラ放出中。これまで視聴者目線で「怪しい」とされてきた議長を、初めて登場人物目線で「怪しい」と語ってきましたね。

大規模な争いの裏には利益を求めて争いを煽りたてる存在が潜んでいるもの。連合サイドの煽り屋は今回もブルコスらしいが、ならばプラントにはそういった存在はいるのか?いるとしたら誰が…?という会話の流れ。となるとAAサイドが動き始める切り口は、プラントの真意を探ることから始めてくるのではないでしょうか。しかも、そんな流れの中で「アスランが戻れば〜」とネタふりしているのですから、当のアスランがミネルバに所属していることを考えると、アスランと接触=AAとミネルバとの遭遇が着火点になる模様。

しばらくはシン=アスランがそれぞれの「答え」を探し、少しずつ「答え」が見え始めた段階でミネルバとAAが接触。初めはシン=フリーダムの因縁やデュランダル議長に対する認識の齟齬なんかで揉めつつ、イベントを経てシン=アスラン=キラという3主人公がピースを埋めあい、そこにファントムペインが絡んできてパズル完成&爆燃え準備完了ってところではないでしょうか。今回指輪がクローズアップされたカガリが二者をつなぐ鍵になりそうですけど、はてさてどうなるものやら。逆に言うと、AAサイドはそれまでしばらく潜伏中ってことになりそうですね。

でも、アスランと親友である上にプラントに戻った経緯を回想できるくらい知っているなら、少しはアスランのことフォローしてやれよ>キラ


■衣装ならわたくしもバリバリですわよ!

♪R・A・X・ラ・ク・ス!L・O・V・E・ラ・ク・ス!!!♪

って、ミーアかよ!しかも曲調イケイケ&観客ノリノリで、それを見た本物ラクスは ('・ω・`) ショボーン

ミネルバクルーからは「前々から今みたいな方が良いんじゃないかと思ってんだけどさ」「若くなったっていうか」「衣装もバリバリ?」「胸」などケチョンケチョンに言われていますが、笑える一方で、シン=アスランやルナマリア=メイリンと同様、ミーア=ラクスの対比が本格的にスタートするんでしょうね。

自らの意志に基づいて行動するも今は力を持たない本物ラクス、あくまで議長の傀儡にすぎないが行動することで力を持った偽者ミーア。言葉とはなんなのか、意志とはなんなのか、真実とはなんなのか。そのあたりを深めていく予感がチラホラ。各所で本格スタートした様々な対比描写を見るにつけ、あらためて2期EDの良さを感じまくり〜♪

ただ、プラントにアスラン=ラクスの婚約破談が伝わっていないってどうなんでしょう?いらぬ混乱を招かぬように、ってことなんでしょうけど、でもねぇ…。


■ルナ=メイリン

おしゃれ&スタイルチェックに余念がないメイリンたん。隠れてお姉のウェストチェックして逆切れ&コンプレックスを披露。比較する前ふりはそろそろ終わりかな?


■ヘリオポリス組とミネルバ若手クルー

これ、どうなんでしょう?今回はシンがルナマリアのことを「ルナ」とか呼んでいましたが、今までもところどころで年相応の子どもっぽさが描かれてきたミネルバクルー。まだ戦争に対しての個人の思いや意志が描かれたことはないのですが、前作のヘリオポリス組と比較するように種12話→17話→38話みたいな成長物語を描いてくるのかな?ヘリオポリス組と違って初めから軍人ですから、戦時下における成長を描くのは難しいとは思いますが、「友情」をテーマとしたエピソードを入れてくるのはありかも。


■作戦会議

現在の戦況と今後の動きをまとめつつ、議長の作為を匂わせてきた会議シーン。すっきり簡潔&わかりやすく整理できていい感じですが、種では会議シーンを使って状況整理をしてくることが多いですね。

そして会議あけのアスランが回想王っぷりを発揮するのもまたオモシロ。司令官の「アスラン…ザラ…?」反応にしてもそうですが、色んなところで小ネタ的にパトリックの呪縛や憎しみの連鎖を連想させるシーンが入るところを見ると、そこから抜け出す術を探しあぐねているアスランの今を描いているのでしょうね。これらが17話最後のシーンに向けたアクセントになっているのも好ポイント♪


■シン=アスランの今

17話の中でも少しずつシンのガキっぽさとアスランの大人っぽさを語っておいて、最後にそんなシンとアスランを比較。非常にわかりやすくてきれいな構成ですね。

自分だけが正しくて、自分が気に入らないものは間違い。そんなエゴイスティックな「正義」も、力があれば押し通すことができる。種で描かれた争いの根っこにある「それ」は、自分の非力さを知る者ならば誰もが抱く幻想。けれども、その幻想の中で力をまとった者は、自分の正義を盾に他者を否定し、真実の自分さえ見失って破壊のかぎりを尽くしてしまうこともある。

整理してみると
・幻想の中で手にした力により成果をあげるも、自らの痛みと正義に目が曇り、そこから生まれる新たな悲劇に目を向けられないシン。
・悲劇を生みつづける幻想から皆を解き放ちたいという信念に依って動いてはいるものの、具体的な術が見つからず、迷走をつづけるアスラン。

そんな二人の「今」を描きつつ、アスランの言葉を受けて空を見上げて考えるシンと、答えは持たずとも確かな信念を胸に歩き出すアスランの姿をばっちり決めてEDへ。(゚д゚)ウマー

しかも、同じ過去を持つアスランの言葉に心うたれるシンの姿を見ると、次回の「ローエングリンを討て」でこの共感と相互理解が共闘につながり、二人の関係性がスパイラル的に深まっていくんだろうなぁ。そのあたりを想像してもかなり楽しみですね。

でもね〜、アスランの迷走に関しては、本人も認めてはいるものの、もう少しアスランとシンの絡みの中で語られてもよかったんじゃないかなぁ。キラにしてもアスランにしても、駄目なところや未熟なところはネガティブなイメージで描かないと、視聴者に伝わってくるものが弱まるのではないでしょうか。


■ラストシーンきれいすぎ

夕陽の中で空を見上げて立ち止まる者と、思いを秘めて歩み出す者。そこだけ見ても直前に描かれたシン=アスランの対比がもろに伝わってきてキレイなのですが、8話ラストシーンが同じようなシチュエーションだったことを考えると、これ、10話ごしに引っ掛けた3主人公の対比&現状整理なんでしょうね。

8話の時点では本格的に動き出すことなく止まっていた3主人公が、10話の時を経て、動く者は動き始め、考えるものは考え始めた17話。あの時うつむきながら歩き出したシンも、今ようやく空を見上げ、憎しみの連鎖に囚われることない「正しい答え」に思いを馳せ始めている。

8話→17話で描かれた3主人公のそんな変化がどんな「答え」を出すに至るのか。その答えが描かれる時に同じような夕陽演出が採用されたらスゴすぎですが、今回の引きだけでも十分(゚д゚)ウマー。このあたりの引きの上手さも種の魅力の一つですね。


■Life goes on

で、そんなシン=アスランの現状トークのあとに『Life goes on』ですよ。

(済) −涙で滲んだ この時空を見上げるたび−
(済) −哀しみの果てまで戦い続けた日々を跡に−
(済) −真実の自分さえ見失いそう それでも−
(未) −守りたくて 心は砕かれて 本当の悲しみを知った瞳は 愛に溢れて−

・゚・(ノД`)・゚・ウワーン


■タメるのもいいですが…

しっかし長編物語で1〜2クールもタメ中心に描かれると正直キビしいなぁ。3話に1回くらいは単純に燃えられる燃料がほしいっす。18話が「長距離砲」「谷」「リフレクター装備のMA」といったギミック満載の激バトルになりそうなので、そこでなんとか盛り上げてもらいたいところですが、はてさて。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

ここまでの流れが第1話レビューで推測したとおりの流れになっているのでうれしビックリなのですが、では、これから先はどう進んでいくのでしょう?話の流れとしては「潜るアークエンジェル」の項にまとめてみたのですが、テーマ描写に関してはこれから先どう進んでいくのか、少し考えてみたいと思います。

過去に縛られ利己に囚われ、他者を全否定してしまう弱さ。それは誰もが持つ決して否定できない人の性でしょう。前作種では「そんな弱さは悪だ」という前提で話が作られましたが、デス種のこれまでの話を見ると、そんな弱さも見方を変えれば当たり前のものであると描かれてきました。他にも前作の価値観をシャッフルしてきた描写がいくつも見受けられますが、デス種ではそういった描写を通じて「正しさなんてものは人それぞれで相対的なもの」だと言いたいのではないでしょうか。

とはいえ「正しさなんて人それぞれ」で終わってしまっては、エンタメにはなりづらいような。勧善懲悪でないお話は色々ありますが、大抵のお話では「人それぞれ」という相対性トークからさらに一歩踏み込んだ「先」を描くことでエンタメ要素を盛り込んでいます。デス種の場合にしても、相対性の「先」をどう描いていくのかが、テーマ描写に密接に関わってくるのではないでしょうか。

ぐらす的にはその「先」を考える上で、EDや描写手法で常に使われている「対比描写」が鍵になってくる気がするんですよね。もう少しつっこむと「人と人との関係性」ってところかと。何が「正しい」のかなんて、絶対的な定義をすることはできないけれど、関係性を密にし、お互いの目線がどこに置かれているのかを相互理解した上で事象を見れば、お互いの「正しさ」を認め合うことができるようになるかもしれない、みたいな。

17話でもシン→アスランの共感が「二人に共通した過去」を起点としていたわけですが、そんな感じで、共通項をきっかけにしてお互いを理解し合うことが、デス種流の「解決策」になるのではないでしょうか。前作種で描かれた「ありのままを認め合おう」的メッセージを深めて、「そのためには共通項を見つけて関係性を密にすることが必要」とか訴えてくる、とピコ考察してみます。

まぁあくまで妄想レベルの個人的推測なんで外れても怒らないでおくんなまし。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第18話 〜 ローエングリンを討て 〜

ローエングリン。AAの主砲として活躍したそれは、まさしく前作的正義の象徴。そんなものを討つべき対象として描いてきたところからして、価値観をシャッフルしまくってるのがうかがえる第18話です。


■ぷらんと幼稚園みねるば組、シン・アスカでしゅ

お子さま具合を強烈にアピールしてくれるシン君。短期間で一気に大人っぽくなるのは考えづらいので、憎しみの連鎖がらみで後半に成長させる前段階の幼さというよりも、50話を通したシンの基本個性だと思います。お子さま言動につっこみ入れながら見てると楽しかったり。

さりげに評価できるのはコニールという少女の存在ですね。外見はシンより子どもだけど中身はシンより大人、けれどやっぱりまだ子ども。そんな彼女と比べることでシンの子どもっぽさを強調するってのは、地味に光る小ネタでしょう。

幼稚な性格というのは少年マンガの主人公に多い設定なのですが、ネガティブには周りが見えないワガママ馬鹿、ポジティブには周りに左右されずに本質を見抜ける純粋さと言えます。同じ性格の中でも二面性があり、さらに子どもっぽさが和み要素にもなりますから、一粒で三回お得。ネガティブだけでなく、和みやポジティブと合わせてバランス調整すれば、かなりおもしろくなりそうな要素ではないでしょうか。

それにしても「なぁにがお前にならできると思っただ、あのやろー」「自分でやりたくなかっただけじゃないのか」は笑えたw。とどめに「やってやるさ、ちきしょぉぉぉ〜!」で爆笑w。この手の子どもっぽさから生まれる天然ボケはエンタメとしてかなりあり。


■せんせー、ルナマリアちゃんが予防線はられてます

アスランに「俺もあんまり上手い方じゃないけどね、人づきあいは」と言われて「予防線はられた?」と反応するルナたん。あれが本当に予防線なのか今一つわかりませんけど、ルナが少し距離をとった隙間にメイリンたん参入とか。

ぐらす的には今回あたりからイチャイチャ姉妹の解体&再構成物語が始まると思っていたんですけど、またお預け。アスランの情報を調べながら自分の中に思いを溜めこむメイリンと、アスランを意識してることをあけっぴろげに言っちゃうルナマリア。そんな比較もイチャイチャ姉妹物語的には必需品ですが、それはあくまで前段階。そろそろ関係を解体するようなイベント起こらんかなぁ。

話は変わりますが、ルナザクの射撃で数匹撃破。ルナマリアの腕の良さというよりもダガーが弱すぎるだけに見える…


■戦術バトル

峡谷攻略戦、インパルスの分離機構をいかした伏兵攻撃、リフレクター装備の巨大MAゲルズゲー、大艦巨砲主義なローエングリン射撃など、ギミック的に中々オモシロ。戦術面でも、長距離攻撃で盾MA他をおびき出す→インパルス伏兵攻撃で敵陣をかき回す→高高度からセイバー式二刀流一閃→二機でゲルズゲー&ローエングリン成敗と見どころ十分。ゲルズゲーの活躍が今三つくらいショボかったり、インパルス&セイバー以外のMSが活躍しなかったりするのは少し残念ですが、エンタメとしては十分かと。ド派手というわけではありませんが、堅実な作りではないでしょうか。贅沢言えば量産MS同士の広範囲な乱戦とか見たかったんですが、たかが2クールの局地戦に望みすぎかも。制作遅れてそうだし。

ゲルズゲーに関してはザムザザーの方がカッチョ良いような印象。なんというか、人型MSからかけ離れた外見の分だけ、ザムザザーの方がバカネタっぽいオモシロさが漂います。せっかく巨大MA出すなら、このバカっぽさの部分を追求してくださいませ>バンダイ様。まぁ、なんだかんだ言っても所詮は好みの問題なんですけどね。

それにしても、インパルス分離機構の効率の良さってのは「狭いところを進める」というのとはまた違うような気が。本来は、戦闘中にパーツが破損しても即換装できるってことなんでしょうが、主人公機がめったに傷つかない種世界では本来の意味を示せないんで、こんなアピールの仕方になった感が漂います。設定としては意味があるけど世界観の中ではその意味を示すことができず、むしろ種世界の外でプラモを売りたい人に効率良さそうなシステムなわけですね。
・゜・(ノД`)・゜・


■アスランの言葉とシン的解釈の違い

ボケとツッコミよろしく信頼関係を強めていくシンとアスランですが、一見シンは前回のアスランの言葉を受けとめているように見えて、実はなにもわかってないんですよね。アスランの言葉を自分の知見を介してシン的に解釈しただけ。言ってみれば、ザラ議長の言葉を自分解釈したサトー隊長や、ミーアの言葉を自分解釈したプラント国民と同じ。10話でもメイントピックになっていましたが、アスランはこの「自分解釈」と戦うことになるんだろうなぁ。

「その力を手にしたその時から、今度は自分が誰かを泣かせる者となる」
「勝手な理屈と正義で、ただ闇雲に力をふるえば、それはただの破壊者だ」

アスランはAA一行と異なり、議長の上っ面しか見えていないので、ミネルバ防衛や今回の作戦は勝手な理屈や正義ではなく、プラント国民を守るための緊急手段として考えているはず。けれども、緊急手段をこえて無為に敵兵の命を奪うようなことは勝手な理屈と正義による破壊だとも考えているはず。だからこそ、戦闘後の敵兵銃殺現場を見て、それを止められなかった自分の無力さにうちひしがれていたのでしょう(←もう少し憤ってもよかったと思いますが)。

アスラン的「勝手な理屈と正義から生まれる破壊」には、今回の敵兵銃殺やシンによる必要以上の殺戮も含まれます。けれどシン的解釈の中では、一連の敵兵殺しは「勝手な理屈と正義から生まれる破壊」には含まれません。だからこそ、無為な敵兵殺しを気にとめることもなく、町の解放と作戦成功を喜ぶだけで、戦闘でも殺りまくり。それは同時に街の住民にも言えることで、子どもであるコニールまでもが、そんな殺伐とした戦場の正義を受け流しているわけです。

価値観はシャッフルされ、前作的には悪である憎しみの力でも守れる「なにか」があることは十分描かれました。憎しみの力によって守れる人々の命や思いは確かにあるのです。それと同時に、憎しみの力によって散る人々の命や思いも…。前者しか見れていないシン、後者しか見れていないAAメンバー、両方に目を向けつつも騙されているであろうアスラン。それぞれが見えぬ真実を抱えたまま、自分解釈の中で平和を願い、答えを求めて戦いつづけているわけですね。

とりあえずシンとアスランのズレだけを見ると、「作戦、成功でしたね」との問いに一瞬憂いを見せて考えた後「ああ、大成功だな」と答えるあたり、即修正ビンタではなく、経験を通じて少しずつ考えさせていく方針っぽいアスランですてら。今言っても反抗心が先にたって納得しないとでも考えているのでしょうが、逆に言うと、シンがアスランの言葉の真意を身をもって知るようなイベント発生の伏線なのでしょうすてラ。シンが敵兵の命や思いの存在を知り、自分正義について本格的に考え出すようなイベントに期待しますテラ。

そんな感じで、まじめに読みこむとピコ深い17〜18話ですが、そんなピコ深い部分を言葉をつかわず事象を通じて描くあたりがいかにも種演出だなぁ。少しずつ強まる信頼関係と、簡単には埋まらない自分解釈のズレ。そのあたりをそんな種演出でどう描いていくのかに期待です。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください

ここ数話で強調されたシンのお子さま属性は、後から成長させるネガティブ描写というよりもシンの基本属性としてとらえた方がいいかも、ということは上で話しました。成長させるのではなく、同じ性格の中でバランス調整するイメージです。ただ、ロールプレイング的な人物描写がかなり目立つ種で、シンに人間性を持たせるためだけにそんなお子さま属性を設定したとは思えないんですよね。

前回のレビューで、デス種の鍵は「共通項」ではないかと話しましたが、シンのお子さま属性はその共通項を見つけるための性格設定な気がするんですよ。お子さま属性のポジ側面である純粋さをいかして、複雑な理屈や大人の事情に左右されずに「まぎれのない戦争の根っこや平和への思い=共通項」を見つめることができるキャラ、みたいな感じ。そんで、シンが見つけた揺るぎないその共通項を、アスラン演説で全人類に語りかける、みたいな。

もちろん、ネガに偏った今のワガママ単純馬鹿なだけのお子さま属性では難しいでしょうが、どこかでポジな純粋さを持たせてバランス調整すれば十分ありえる話でしょう。そのきっかけであり、それと同時にシンの自分解釈に亀裂を入れる鍵が、ステラたんだと思うんでステラ。

人づきあいがヘタなワガママ単純馬鹿が、ステラたんと出会って心を開き、他人を尊重するようになる。そして、そんなステラたんと戦場で再会することで、敵兵の命や思いに気づく、といった流れになる気配。と、前回に引きつづいてピコ考察。どうなることやら。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第19話 〜 見えない真実 〜

描かれてきたストーリーと描かれてこなかった真実。その邂逅に燃えつつ、萌えどころ満載?全体的には17〜18話と比べると密度が低い気がしますが、ちりばめられたいくつかの小さなネタが後々響いてきそうな19話です。


■ミーアたん生ライブ♪

ミーアたん大人気。なにがイカスって、ピンクザク胸部に光る「LOVE」の4文字。おかげで軍人さんたちも萌え萌えで「L・O・V・Eラークス♪」ですよ。あの国、絶対ヤバイ。ブルコスがんがれ。

けど、あそこまでハジけたら誰か気づくだろうに。ルナマリアそこどけアタックとか鼻毛真拳もビックリのハジケっぷりだし。あそこまで露骨なミーアとラクスの違いが表面化しないということは、議長が緘口令しいているんでしょうが、ミリアリアを初めとした何人かは偽物っぽいことに気づいている感じ。終盤いきてくるかな、この伏線。

それにしても、前回「ミーアの言葉を自分解釈してるプラント国民〜」と触れたところに、ミーアの「勇敢なるザフト軍兵士の皆さん、平和のために、本当にありがとう」「その日のために、みんなでこれからもがんばっていきましょう」が炸裂&それを聞いたザフト兵は諸手を挙げてマンセー。ミーアの言葉に自我を投げ出して思考停止している姿が、音楽に反してネガティブ全開に見えてなりません。

ミーア生ライブしかり、議長に誉められて喜ぶシン・ルナマリア・レイしかり、今回はそこかしこで「自己放棄」が描かれていましたが、これは前種からつながる「カテゴリー依存」の中核の部分だったりします。ということは、前回レビューでは「アスランは自分解釈と戦うのでは」としましたが、それと同時に、今回顕著だった「自分放棄」とも戦うことになりそうな予感。他人の意見→自分解釈→本質喪失&思考停止→自分放棄&思考依存→脊髄反射。といったコンボを否定するお話にしてくるのではないでしょうか。

そう見てみると、カテゴリー依存させる側の議長とミーアが、前作でカテゴリー依存を否定したラクスポジションでアスランを導いているわけですよ。もう種好きとしては激ラブリー。どうなっていくのか、かなり楽しみです。


■イチャイチャ姉妹物語

OP前でアスランラブなルナ姉に工エエェェェしているメイリンに小爆笑w。腕にからみついて胸むぎゅアタックかますあたり、メイリンが本気モードに突入していく模様。それに応えてメイリンたんの腰に手を回すアスランもさりげにエロい。女難の相が出まくりなのにそんなことができるアスランの大人の余裕がステキですが、物語的にはそろそろ本格的に動きだすのかな?

でも、プラント内ではアスラン=カガリではなく、アスラン=ラクスと信じられているんですよね。ルナ・メイリン・ミーアはラクスを牽制しながらアスランに接近していますけど、ぶっちゃけなんの意味もないわけで、トキのまねをしたアミバなみに突く秘孔が違うわけで。

……………死んじゃう?


■イチャイチャ3人組物語

気持ち良さげに海を眺めてるステラたんがチョーカワイイ横で、マジモードなアウル&オクレ兄。「殺れるか殺られるか」なんかを聞くと、やっぱり旧3人衆との対比路線を驀進中。

そんなキャラ描写路線とは別に、彼らがあの基地にいるということは、ファントムペイン=ミネルバ専従というのはほぼ確定?(←デュラ暗殺狙いの可能性もありますけど、デュラ公がプラントにいる間も地球にいましたし)。けど、ロゴスやブルコスがミネルバ一隻を狙う必然性ってそんなにないんですよね。となると、ここにも裏がありそうな予感。シンやレイ、アスランたちの「見えない真実」に絡んでいくんじゃないかなぁ。

とりあえずは、シンが休暇に入るってことで、シン=ステラの2ndインパクトの出待ちです。セオリーどおりだと、20話全体でシンの過去をふりかえっておいて、ラストの引きでシン=ステラ遭遇っぽいですが、はてさて。


■イチャイチャ男色物語?

想像以上の議長萌え、というか議長ラヴ。これがウワサに聞く801、男色というやつなんでしょうか。抱きついたりホッペタ赤くしたりしているのを見て、世のおねえさまがたは萌え萌えハァハァ悶々しちゃうんでしょうか?まぁ、時間にして15秒ほどの映像でレイのキャラとレイ=議長の間柄を強烈に印象づけたんですから、ある意味うまいのかもしれませんけど、なんかこっ恥ずかしい。
(∩∀∩)キャッって感じ。

ただ、議長に萌えているレイが、猫仮面に萌えているステラに妙に重なって見えまくり。冷静モードだと似ても似つきませんし、クローン関係と確定できる要素も少ないんですけど、なんか匂うんですよね>レイの男色路線。もちろん801なおねえさまがたへのサービスでもあるんでしょうが。
(∩∀∩)キャッって感じ。


■イチャイチャ男女物語

ノリノリアーサーたんを横目に「まったく…」とコボしていたり、議長に抱きつくレイを普通に流していたりと、ぷり尻艦長はデュラ公の裏側を知ってそうですね。どこまで知っているかはわかりませんけど、ミーアやレイについての反応を見るかぎりではそこそこ聞かされているっぽい感じ。

ただ、ぐらす的には8話の「先のことはわからない」を引っぱって乳艦長と対比させてくる気がするので、ぷり尻艦長が議長の裏側を全て知っているとは思えないんですよね。内容的に詰めこむスペースがあればの話ですが、議長・ぷり尻艦長・乳艦長・虎といったアダルトチームでも一つお話を作ってほしいなぁ。


■イチャイチャ議長と兵士物語

名前を覚えてもらったり、叙勲を申請してもらったり、戦功を誉められてもらったりで、シンもレイと同じようにホッペタ赤くして喜んでいますね。ルナもうれしそう。ま、男色なんぞはどうでもいいのですが、昔のアスランもこんな感じだったのかなぁ。もちろん感情の発露は違うでしょうけど。お父様の命令を遂行できたことを喜んだり、いろんな勲章もらってうれしがったり、戦争について真面目に話してみたり<ザラパパと。そんなことをしているうちに、いつのまにかカテゴリーに縛られて思考停止しちゃったのではないでしょうか。

種37話でそれをコテンパンに否定されたアスランが見守る横で、そんなことは露知らずに尻尾をふりまくるシン君。前作的にはネガティブな状況なんですが、そんな状況に眉をひそめるアスランが渋イカシます。ここでのシンやルナの行動も「自分放棄」の一種なわけですが、アスラン的にはこの手の「自己解釈&自分放棄」にどう立ち向かうのやら。


■見えない真実1

平和に向けて動く議長に対して、自らの経験をもとに自分正義を吠えるシンと、憎しみの連鎖についての悩みをぶつけるアスランの対比燃え。

と思わせておいて、軍産複合体=ロゴスについて言及し、己の正義や憎しみの連鎖だけでは語れない戦争の裏側トーク。当たり前っちゃ当たり前ですが、アニメの対象年齢を考えるとこのくらいのピコ深さが良いアクセントになるんでしょうね。台詞に重ねて流されるMSやアズっちアップがさりげに上手い。これ「も」また、一つの「見えない真実」というわけで。


■見えない真実2

本物ラクスを探しだして悪さしようとしていそうな議長、本物ラクスが暗殺されそうな空気を察して潜伏しているAA、ミーアネタの表面しか知らずに議長に追従するアスラン。種30〜40話でもあった非対称な情報発露に燃え燃えです。

視聴者としては、神目線で全体像をながめることのできるので、物語内の選択肢においてどれが正しくてどれが間違っているかを判断するのはさほど難しくありません。けれども、情報の断片しかもたない登場人物的には、最善を選んだつもりで最悪一直線になりかねないこともあります。いずれミネルバとAAは遭遇するでしょうが、そうなれば、ラクス探しの裏を知らないアスラン的には善かれと思ってデュラ公に報告するでしょう。けれども、視聴者としては「ラクスの居所チクっちゃ駄目」なわけですよ。

ハラハラ感がストレスとなって、その先に待つカタルシスの幅を広げる。もちろん、上に書いたような展開になると確定してはいませんが、登場人物間の非対称な情報所有は発展パターンが豊富なので、創作文法的には非常にあり。どう転ばせるのか楽しみですね。

ぐらす的には、議長もミーアのことを自分解釈しかできていない(←議長にも知らない情報がある)、とかなったらメラ燃えです。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください

見えない真実。

これ、軍産利害関係だけのこととは思えないんですよね。なんどか深読みコーナーで触れましたけど、戦争は軍需産業に利益をもたらすだけでなく、技術の目覚しい進歩にもつながります。そして、戦争による技術進歩と遺伝子専門家である議長の存在が、ぐらす的にはみょ〜にしっくりつながるんですよ。もう少し平たく言うと、SEED因子による人類進化を促進するために議長が戦争煽ってんじゃないのかなぁ、という予想だったり。

もちろん、「議長は遺伝子関係の専門家」以外はまったく根拠のない妄想です。ただ、上で挙げた非対称な情報発露もアスラン的「見えない」部分ですし、ミーアを介した議長の策謀やレイの存在意味、3人組の製造や議長とぷり尻艦長の関係といったものにしても、全てが「見えない」状況です。

そう見ると、単に「戦争の裏には軍産複合体がいる」というだけの「見えない真実」と捉えてしまうのは早計かなぁと思うわけで、どこまで「見えない」のかはわかりませんが、色々な意味をこめての「見えない真実」なんじゃないかなぁと思うわけで。



というわけで、19話は今後の展開につながる小ネタでお腹いっぱい。ここにAAやブルコスなんかも絡んできますから、正直あと30話でどう話をまとめるのか期待5:不安5。20〜21話で話が動き出しそうな気配ですから、そこからの急展開に期待しときます。それにしても、オレンジグフとかピンクザクまで出てくるのにはビックリですよ。こりゃ本気ですな(謎



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第20話 〜 PAST 〜

「平和に暮らしている人たちは、守られるべきです」。シンにとっての「真実」から始まったPAST。シンの目から見た戦争と、シンが知ることのない戦局。その違いを描くことで、一瞬の凪よろしくタメてきた20話です。


■PAST

あくまで他人ごと口調から始まったシンの語り。ウズミ政権の下で平和と安寧を甘受しながら暮らしていた日々。そんな束の間の平和が揺れたその刹那、一瞬にして砕け止まった時間…。動かない時、消えない痛み、固まってゆくシン的真実。

ウズミにとっての真実、三隻連合にとっての真実、アズラエルにとっての、クルーゼにとっての、パトリックにとっての、その他の名もなき人々にとっての真実。たった一つの「現実」から派生したにもかかわらず、いくつも存在しながら交わることなく争いを生み出しつづけていくそれは、そのどれもがありのままの形ではシンに届かず(←もちろんシン以外にも)、いわれなき家族の死という現実の前には意味も力も持たない(←むしろその原因になっているくらい)。

信じるものは力。力がなければ理想なんて意味がない。戦ってこそ大切な存在は守れるんだ。それが、全ての人間に共通する「現実」がシンに見せた「真実」。現実という樹から派生した真実という枝。その枝を樹と見誤り、自分正義は絶対正義だと信じて戦いに身を投じ、任務遂行と共に殺戮をつづけるシン。そんなシンに、一つの出会いはどんな真実を見せるのか。ステラとの出会いを前にいい感じでタメてきましたよ〜。一気に動き出していく予感です。


■自分解釈

シン的には、今回描かれた前種戦史についての詳しいところはまったく知らず、ニュースや父の言葉を介して自分解釈している状態です。ましてや旧主人公たちがどんな思いで戦争を乗りこえてきたのかなんて知る由もなく、戦争下でおこった現実をあくまでシン的真実に変換して理解しているにすぎません。また、亡くなった家族の願いにしても(←オーブ将校さんが代弁)、シン的には無意識のうちに即全否定。自分解釈するまでもなく憎しみに囚われて思考停止し、軍に入隊して「大切なものは戦って守る」と言っているわけです。

そこからもう一歩進んだものがサトー隊長的復讐論なのでしょうが、程度に差こそあれ、自分解釈&思考停止して他者否定な殺戮を繰り返しているという点ではまったく同じで、憎しみの連鎖に囚われまくり。20話では内容的にこの「自分解釈から生まれる現実曲解」を特に伝えたかったのか、他の台詞や行動を見ても自分解釈絡みのものがかなり目立つんですよね(←シン以外も)。

前回のレビューで「非対称な情報所有が〜」と書きましたが、今回の内容を見るかぎり、エンタメ的な盛り上げ云々だけでなく、憎しみの連鎖の正体としてもこのあたりをピコっと深めていきそう。とりあえず今のシン的解釈では「俺の家族は、アスハに殺されたんだ!」「オーブが残って、また花が咲いても、マユも父さんも母さんも、もう帰らない」「ならば俺は戦う、戦って、今度こそ、大切な全てを守ってみせる」なわけですが、裏を返すと「戦うことで大切な全てを失う」状態になる感がますます強まります。はてさて生贄は誰になることやら。


■カラミティとフリーダム

あれ、直接的にはカラミティのビーム射撃でアスカ一家が死んだってことでいいのかな。1話を見直してみると、カラミティビーム射撃→同時にフリーダム七色ビーム→閃光&爆裂→アスカ一家死亡でしたから、今まではどちらとも取れたわけですが。

もちろん間接的にはあんなところで戦闘したフリーダムも悪いのですが、少なくとも「直接的犯人」ってところではカラミティということで納まったかと。問題はそれをシンが知るわけもないことで(←おそらくキラも)、ここでも「自分解釈」が元でシンvsキラになるんだろうな。まぁ種のことですから、直接的犯人でなければ断罪されたりはしないと思いますけどね。


■オッサン

シンを助けたオッサン渋カッチョイイなぁ。エピソード的にも中々オモシロで、特に反応させられたのが「君だけでも、助かってよかった。きっとご家族は、そう思っていらっしゃるよ」ですよ。これも一つのオッサン的自分解釈。もちろんシンの家族もそう願っていたでしょうが、シンの家族が仲良さそうなことを知っている視聴者はともかく、それを知らないオッサン的にはあくまで推測にすぎません。

そんなオッサン的自分解釈によってシンは救われたのか。仲の良かった家族を思い出して哀しむだけだったのか。そんな家族を殺した連合やオーブ&AAへの憎しみをたぎらせたのか。まだ見えないこの部分のシン的真実が、次につながるスパイスになりそうな予感。

先読みすると、このオッサンなりに思うところがあってシンをプラントへと送り出したわけですが、オーブの現状を考えると、オッサンも連合&新生オーブの一員としてプラントと戦うことになるのは自明。オッサンの思いを自分解釈しているシンが、このオッサンと戦場であいまみえることになる流れですよ。となると、ステラと同じようにこのオッサンも、シンが見せられるもう一つの真実に関わってくるんだろうなぁ。敵兵の命や異なる正義の存在はもちろんのこと、シンの家族が心の底から願ったであろうシンの幸せとかも。そんな真実にシンがどんなリアクションを示すのか。今から楽しみで楽しみで。ワクワク♪


■次回予告

海辺で裸で出会いキタ━━━(゚∀゚)━━━ッ!そんなところでもアスラン先輩と同じ道を辿るのか?いやでもキラとカガリは兄妹だったし、Zよろしくお兄ちゃん路線とか?

ただ、願わくば単なるラブリー路線にはなりませんように。ステラがクローンや強化人間などの開発に関係してそうなんで、そんな「力」としての存在にどう接しどう人間性を見出すのか的な話にもってきそうな気配。もちろんデフォとしては「敵兵の命や思い」「戦うことで大切な全てを失う」といったことに気づかせられる方向でしょうけどね。まぁどんな展開になるにせよ、上手いところ調理しておくれやす。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

今のところの話を大ざっぱに整理すると、旧主人公的正義(憎しみの連鎖(・A・)イクナイ!)を前置きとしておいて、けれども憎しみの連鎖から生まれる力でも守れる存在や貫ける正義があることをアピール。前作的善悪観にアンチテーゼを唱えつつ、前作的正義とシン的正義のズレ&そのズレを生みだす自分解釈&思考依存に照準を合わせてきた、ってところかと。憎しみの連鎖(・A・)イクナイ!を一歩掘り下げて、憎しみの連鎖を生みだす原因部分と結果部分にピコっと深みを持たせてきたわけですね。

ここ数話特にクローズアップして描かれましたけど、争いの根底には自分解釈のズレと思考依存があり、そこに気づかずに思考停止&カテゴライズして他者を否定することが争いを広げ、それを第三者が煽ることで争いは止まることなく加速しつづけていく。けれども、その中から生まれる「力」によって守れるものもあり、貫ける正義もたしかに存在する。自分解釈フィルターを装備せず、ありのままの現実をしっかり見据えて使い方を間違えずに用いさえすれば、「力」にも意味はあるんだ、ということでしょうか。

けれども、今のシンは「シンは自分解釈フィルターを装備した。呪われてしまった!はずそうとしてもはずせない!」状態なんですよね。たしかにその状態でも戦うことはできますし、与えられた任務を成し遂げていくことも可能でしょうが、もう戦闘コマンドは「戦う」しか選べないわけで、モンスター=敵=殺してOKなわけで、けれどもRPGと違って敵はモンスターではなく人なわけで。

となると、セオリーどおりに考えて次にくるのは、「自分解釈フィルター」を外すためのイベントなんですよね。ただし、ドラクエと違って教会に行けば外せる代物ではなく、自分が気づかないことには一生はずれない強力な呪い装備ですから、実体験をもってはずし方を学びとるしかありません。要するに「戦うことが大切な全てを守ることにつながる」というシン的信念の基軸に対して、「戦うことで大切な全てを失う」という実体験をぶつけて打ち砕く、ということになるはず。某ブログで別ネタで言われていましたが、シンにとっての「神を討つ(by太宰治)」ことになるわけですよ。

ということでステラ登場なんでしょうが、シン的に絶対正義であるデュランダル議長、シン的に憎むべき存在であるAA、姿形を変えて連合とともに戦火を拡大させるオーブなど、多方面にネタふりしたかいあって、シン的自分解釈にアプローチしていける要素はステラ以外にも盛りだくさん。話の流れとしてはオーソドックスながらも堅実な作りなわけで、ここまで小マメにタメてきたストーリーをどんな展開&演出で爆燃えに導くのやら。当面はデスティニーガンダム発進の瞬間が爆燃えになるのでしょうが、シン以外にもAA側旧主人公サイドの正しい答え探しやキャラ同士の人物対比→人間ドラマ構築など、いろいろと見どころ多くなりそう。残り30話、楽しみだ〜♪


■おまけ

第1クールまとめレビューより

種の場合は決定的な欠点があって、最後まで確定的な解説をフォローしないので、見る人によって色んな解釈ができちゃうんですよね。解釈のしようによっては「矛盾」「意味不明」と捉えたり、回想を通じて暗喩的に描かれたストーリーやキャラを「そんなものは描かれてない」と誤認してしまったりすることもあるわけで。そのあたりの補完を最終的にしていればもう少しわかりやすく楽しめると思うのですが、はてさて。

どこかしらで補完した方がいいと思いますし、せっかく総集編を入れるならそのあたりの補完を中心にやった方がいいとも思いますが

別に作画枚数が多い=良いアニメというわけでもありませんし

地でいく回になったので個人的にはかなり好評価。話の進展どうこうではなく話の整理という意味で今回は良かった♪これから総集編を入れるにしても、こんな感じで整理してくれないかなぁ。



ってか、デスティニーガンダムキタ━(゚∀゚)━ッ!とかシン=ステラ邂逅キタ━(゚∀゚)━ッ!とか、新規ネタとしては本編以外にワクワクできるネタふりが多発するって、ど〜ゆ〜こと…?それに、一話丸々回想&挿入って、制作の遅れが激しそう。まぁ内容的に新規カットがいらない話だからそこまで気にはなりませんけど、16話相当に総集編もってきておいての今回ですから、制作的にはそうとう切羽詰まってそう。3〜4クールとか戦闘が多くなるんでしょうけど、大丈夫か?



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第21話 〜 さまよう眸 〜

■ふわふわ五角関係?

ラクスを意識しているミーアと、ミーアを意識しているルナマリア。そこにルナマリアを意識しているメイリンも絡んで、アスランを巡る女の戦い勃発?けど、誰一人として本命カガリを意識していないのがあまりに不毛…。一番ディープで不安定な部分=カガリが無視されているので羽毛なみにふわふわな関係ですし、生身のアスランを知らずにアイドル追っかけよろしく奮戦しているミーアやルナが妙にポップでキュートですし。そんな不毛さが、体をはったミーアや目くじら立てるルナマリアをお笑い芸人化。和むなぁ。いずれラクス=ミーアやルナ=メイリンの関係に切りむ雰囲気ですが、それまでは和みモードでマッタリマッタリ。

でも「シンと行けばいいじゃないか」はヒドイっす。激鈍っす。そんなことだから女難の相が出るっす。そんな二人を訳もわからずポカーンと見ているシンも朴念仁系っす。ホント似たもん同士っす。育ちの違いはあるにせよ、中身はほとんど同じっす>シンとアスラン。


■ふわふわ五角関係(裏)

ミーアはともかく、彼氏でもない男の婚約者相手に嫉妬して「ちゃんと理解してるつもり」でブチぎれるルナが、真面目に見ているとイタイ子ちゃん…。ただ、OP前の「しないの?なんで?」なミーアも含めて、ここ数話クドいくらいに描かれた「自分解釈」がまたしても登場。今回は他にもいくつか見られましたが、話全体としてこれが一つのポイントになるのは確定かな?

それと、もう一つ。これ、みょ〜に違和感があります。というのも、和むとか言っておいてなんですが、アスランらぶらぶなミーア。あれ、どこまで本気なのでしょう?台詞の端々から、周囲に向けてアスラン=ラクスの婚約関係をアピールするために動いているような、そんな印象受けまくり。「久しぶりに婚約者に会ったら、普通は…」「キスくらいはするでしょう、普通」なんて特にそう。アスランが好きだからって言うよりもそれが役割だから、みたいな。もちろん興味はあるんでしょうけど、生身のアスランを知らない以上はそれもアイドルの追っかけと大差ないレベルでしょうし。タリアも疑っているみたいですけど、そろそろ裏を見せたりするのかな?


■ハイネ西川&ぷりケツ艦長

かなり台詞もらっていましたね。なれなれしいところはあるけど普通の人っぽい感じ。ただ、タリアに怪しまれているところを見ると何やら裏がありそう。ミーアと顔見知りなのは議長の裏の顔とつながりがあるってことなんでしょうか。本人は自覚しているのかな?TM西川ですからゲスト出演=短命なのでしょうが、どんな役割を担っているのか気になりますね。妥当なところでは本物ラクス暗殺系?

その一方で、ハイネの配属理由を知らないところを見ると、タリアはレイやミーアのこともその全貌を知っているわけじゃなさそう。このあたりの議長と艦長の関係は微妙なバランスで成立しているんでしょうが、そう考えると5話のあの描写が活きてきますね。恋人関係じゃ駄目、割り切った大人な関係を伝える必要あり、けどモロも駄目。そこに視聴者サービスも混ぜるとあんなもんかと。


■ミネルバ所属アスラン・ザラ

女難や新キャラ登場のおかげか、アスランがミネルバにいることに違和感がなくなってきた今日この頃。イデオロギー的にもミネルバサイドに少しずつ同化してきたアスランですが、「前作的正義>AA>キラ>カガリ⇔アスラン<シン<ミネルバ<今作的正義」という構図の中での橋渡し的存在になる未来が透けて見えまくりです。前作ではキラ=アスランの関係が物語的に一つの着地点だったわけですが、今回は「キラ>カガリ⇔アスラン<シン」によって、AA的前作正義とミネルバ的今作正義の関係をどう昇華させるかが一つのポイントになりそう。個人的にはラクスと議長の論戦が見たいっす。

AAに向かわないことを視聴者が気にしないくらいミネルバに同化しつつあるアスランが(+ウズミ様と同じように国を捨てたカガリが)、AAとミネルバ、前作正義と今作正義をどう結びつけてくるのか。当面はそれがシンの自分正義崩壊ネタと並んで大きな視聴ポイントになってくるのでしょうが、ただ、ラクス襲撃といいハイネの存在といいシン=キラの因縁といい、いきなり100%仲良しモードはなさそうな感じ。ここでも互いの自分解釈がすれ違って一悶着ありそうですが、どう調理してくるんでしょう。興味津々。


■CM前後

連合とその裏に潜むロゴスの存在、それによって虐げられし人々、家族の死、現実を見ずに夢想を語るカガリやオーブへの反感、それに与するアスランへの疑念、思慮深く戦争終結を願っていそうな議長への共感。ゴチャついたシンの脳内イメージをゴチャつかせたままポンと出し、シンの心境を表現。自分の正義は間違ってない、守るために俺は戦うんだ、っていうかロゴスふざんけんな。そんなところではないでしょうか(←その思考の中にシン的正義の追求によって傷つく「人」の姿がないのがオモシロですが)。そんな心境が後半パートでのシンの「守る」につながり、ピコ深みを与えながらシン=ステラ仲良しさんを自然に演出しているのが(・∀・)イイ。

そして、可愛く、華麗に、颯爽と、電波キタ━(゚∀゚)━ッ!岩辺でラ〜ラ〜歌い踊りながらサクっとトポンっと海へ転落。しかも10m。そのうえ泳げず。あげくにパンツ一丁&乳全開。もうステラかわいすぎるよステラです。普通にありえないのがステキすぎますが、今まで電波っぷりを描いてきているので視聴者的には違和感なし。実際には作中でアウルから「お〜い、ステラ〜、どこだ〜、このバカ〜」とバッサリやられているように、いや、それ以上に果てしないおバカちゃんなわけですが。なんかこう「ナ・ツ・ミ・イ・ジ・メ・タ」なギロロなみに思考能力他を戦闘能力にまわしている感じ。考えらんないし、泳げないし、壊れるし、なつくし。


■出会い演出&構成

いきなりブロックワード炸裂は意外でした。が、それがうまく働いてこれまでの話&前半のタメがつながり、挿入歌もいい感じに響いて二人の2ndインパクトを演出するので、エンタメエピソードとしてものすごくキレイ。素っ裸で密着→ラブリーな単純展開ではなく、シン的信念の要である「普通に暮らす人たちを守る」とステラ的存在の要である「死ぬのは怖い」をリンクさせてきたのにはうれしビックリです。

互いを「ガイア」「インパルス」と認識してモニターごしに戦っていた二人。片やミネルバ所属MSパイロットとして、片やミネルバ追跡中(?)のファントムペインとして、同じディオキアの地にやってきた二人が休暇の最中に遭遇。そんな長期的なお膳立ての上で二人が出会い(←ステラの海が大好きフラグも役立っていますし)、そして「普通の人を守るシン」と「死ぬのが怖いステラ」の物語がスタート。ブロックワード発動→死ぬのは怖い→守るから大丈夫→親近感創出→別れ→相異なる二人の「守る」が先への伏線へ。前半パートでも描かれた「守る」というシン的信念がタメとしてきっちり機能していますから(←OP前の海辺でルンルンなステラも)、これなら二人の距離が近づくのも自然ですし、加えて二人のズレがここ数話の流れどおりに先への伏線にもなっているわけです。普通に上手い。ブラーヴォ。

それにしても、言語能力なさげなステラが片言で「シン」と連呼しているのが実に(・∀・)イイ。あいかわらず名前演出がうまいなぁ。ただ一つ気になるのは、今のレベルではステラ→シンはともかく、シン→ステラの感情移入はまだ弱く感じること。まぁ15才くらいの男が「かわいい女の子と裸で密着→守る宣言→喜んでもらう→再会の約束」なんてことになったら否が応にも意識するでしょうけど、創作物的にはもう一つ二つ生身の遭遇イベントがほしいところですね。アスランが3人組をいぶかしんでいたので即バレにつながるようにも思えますし、逆に「生身遭遇→戦場で再会&少し気づく→生身で再遭遇&確信」的なゆったりした流れも種的ですし、どうなるんでしょう。どちらにしてもお話的に重要な部分であることにかわりありませんから、なんとか一工夫こらしてもらいたいところです。


■な〜ん〜の〜〜ため〜誰〜のた〜めに〜き〜みは〜戦〜かい〜続〜け〜る〜の〜だ〜ろう〜今♪

ステラはどうやら「死ぬのが怖い→守ってくれる人が好き」な感じ。猫仮面に対してもそうらしく、今回守る宣言をしたシンにも、電波だからこそ単純に大きな信頼を寄せたようです。一方のシンは、ステラを連合に虐げられたディオキア市民と自分解釈し、シン的信念としての「守るべき普通に暮らす人たち」と認識。二人の中の「守る」はニュアンスも重みも違いますし、立場的にも敵味方に分かれて戦うことになるわけです。

で、ここで気になるのが「普通に暮らす人たちを守る」という理念です。これ、キラやカガリと同質のものなんですよね。つまり、シンはオーブ的理念そのものを否定しているのではなく、力なき理想を否定していることが窺えます。しかも「かわいさ余って憎さ百倍」みたいな。ただ、思いは同じであっても見えているものが違うわけで、シンは敵兵も人間であることに気づかず、敵兵の命を奪うことでその家族や友人という「普通に暮らす人たち」を傷つけてしまうことに気づいていません。しかし、だからこそ悩みを持たずに力をふるい、自分正義側の「普通に暮らす人たち」を守ることができる、とも言えます。この辺が、キラ&ラクス的前作正義とシン的今作正義の違いなのでしょう。

そんな感じですれ違うAA的理想とシン的理想ですが、ただ、シンにとっての「大切な人」はすでに存在しないんですよね…。亡くした自分の家族と重ね合わせるように「虐げられし普通の人たちを守る」と吠えてはいますが、実体が…ない。そんなシンが、敵兵の背後に「普通に暮らす人たち」を見てしまったらどうなるのか。そして、敵兵そのものが「虐げられし普通の人」であったら、「大切な人」であったらどうすればいいのか。その辺がシン的正義の課題として、ステラやオーブの兵士によって突きつけられるのではないでしょうか。

20話の「大切な全てを守るために」という言葉は、ものすごく漠然とした印象を放っていました。「全て」ってなに?どう守るの?と。けれど、ステラとの出会いによって、そんな虚像にすぎなかった信念が実体化していくことになります(←オーブとの戦闘でも)。シンは何のために、誰のために戦うことになるのでしょう。守るべき大切な人が敵だったならば(←ステラやオーブ兵士です)、敵にも守るべき大切な人がいるならば(←ステラはネオを守るため、オーブ兵は家族を守るために戦います)、どうすればいいのか。そもそも「敵ってなんだよ?」。また、ステラにしても、どう「死」から逃れて「生」の喜びをかみしめるのでしょう。コロコロコロコロ話は転がる〜♪


■デスティニーガンダム

デスティニーなシンが戦争という壁を乗りこえる。神さまから与えられる「運命」に従って戦争という壁を乗りこえる。少し不自然な感じがするんですよね。種の思想的に見ても「運命だから」で片づけることを嫌うからこそ戦争(・A・)イクナイになるのでしょうし、前作のラスボス(?)機体もプロヴィデンス=神意だったわけですし、キラはフリーダムになることでその壁を乗りこえたわけですし。順当に考えると、運命というよりも「人の意志」的な方向性でネーミングするのが妥当に思えるのですが、どうなんでしょう。発表のタイミングも気になりますが、ひょっとすると…。でもネガ面をひっくり返してポジにするってのもありだしなぁ…。(←謎


■自分解釈

ミーア&ルナマリア、町の住民、タリア、シン=ステラなどなど。今回もおなかいっぱいになるくらい「自分解釈」が描かれました。ハイネの「立場の違う人間には、見えてるもんも違うってね」なんて、それそのもの。ただ、大量に描かれてはいるものの、それを描いていることは視聴者に伝わっているのかな?けど、あざといくらい露骨に描いてもそれはそれで批判されるだろうし。難しいもんです。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

シン的信念が揺さぶられそうな流れですが、キーワードになるのはやはり「守る」と「力」ではないでしょうか。「思いだけでも力だけでも」の台詞にあるように、シンだけでなくキラやカガリといった旧主人公サイドにも共通するファクターですから。前作のキラはフリーダムなキラとしてその壁を乗りこえたわけですが(←乗りこえきれませんでしたが)、今作のシンはどんなシンとしてその壁を乗りこえるのでしょう。「守る」という概念をどんな形に昇華させ、憎しみの連鎖にどんな答えを持ってくるのでしょう。そのために、シンとAAが接近遭遇する予感。

とはいえ、ハイネ伏線もありますし、シン=キラの因縁もありますから、いきなりわかりあって仲良しさんってのが考えづらいのもたしか。ラクス襲撃の真相がポイントになってきそうですが、そこから「自分解釈→すれ違い」を連鎖的に起爆させて、AAとミネルバは一度袂を分かつ路線に至るというのが妥当なところかと。ハイネもそれ要員っぽいし。

で、一旦袂を分かつ路線を歩ませつつ、再度めぐり合った時が真の見せ場になるんじゃないかなぁ。そのためには袂をわかった後に両者を変化させるイベントが必要ですが、それがシン=ステラになるような気がします。AAとミネルバ遭遇→すれ違いイベント→別離→ステライベントでシンに変化(AAサイドはラクス=ミーアイベントかな?)→再遭遇→???みたいな感じ。「???」に関しては、完全に同化してAAと同じ道を歩んでもAA的解決法しか見出せないでしょうから、和解しつつも別の道を歩む路線が順当かな。その上で最終話近くで両者の答えをより上げて爆燃えメッセージ創出、とかなったら燃えるんですが。個人的には、その流れの中でもう一度くらい「〜瞳/眸」なタイトルが来そうな気がしますが、はてさて(←「優しい瞳」とか「交わる眸」とかないかなぁ)。



ということで21話レビュー終了。「守る」「会う」という約束を交わしながら、異なる車に乗りこんだ二人。次に会う場所は戦場、次に会う時は互いに傷つけあう時。ハンカチと貝殻(?)でつながった二人は、これからどう交わっていくのでしょう。AAサイドやオーブも動き出すようですから、話が一気に転がりだしますよ〜♪これ!このコロコロ転がりだした時の勢いや熱さが好きで種を見ているわけですよ!散りばめられた伏線が一本にまとまっていきながら物語が一気に進展→収斂していくところが大好き。イデオロギーや論理体系はメルヘン上等ですしね。と同時に、そこに行きつくまでのタメを楽しんでいるMな自分上等。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第22話 〜 蒼天の剣 〜

ジブっち逆ギレ。やっぱジャイアニズムは怖いなぁ…。なんてノンビリ思っていたら物語が二転三転。タメてきた伏線が形になって転がり始めたあたりに爆燃えの予感。そんな22話です。っていうか「PHASE21 蒼天の剣」って。工エエェエエ工ですよ。カンベンしてつかぁさい。


■地球連合&ブルコスサイド(←というかジブっち)

オーブ使ってプラント攻めれば、世論はオーブに向くわ、自軍は消耗しないわ、やっかいなAAへの牽制にもなるわで、良いことずくめ。ゴリゴリな力押しに失敗したもんだからか裏工作に必死みたいですが、自己中な言い分がいかにもジャイアニズムなんですよね。しかも思いつきで行動するし。小物やなぁ。そのうちロゴスともマジ喧嘩しだすんちゃうの。んで、あげくに暴走とか。


■ファントムペインサイド

ジブっち直轄であることが明かされましたが、それ以外にも見どころたくさん。シンのハンカチにこだわるステラたんラブリィとか思っていたら、ネオは「ステラの大事なもの、誰が取ったりするものか」と生暖かいこと言い出すし。ステラの「大事なもの」はハンカチというよりシンであって、それこそネオが狙っている代物なんじゃぁ…?大事なもの取りまくりですよ。

さりげにオモシロだったのが、「我ながら、なかなか悪いオジサンになった気がするよ」「記憶ってのは、あった方が幸せなのか、ない方が幸せなのか」発言ですね。ネオ=???をどう処理するつもり?と思わせておいて、とどめに「あれほど死ぬのを怖がるあの子が、死なずに済むには、敵を倒し続けていくしかないんだ」発言。???だからこその発言のようにも聞こえますが、「守る」ってのは100%ウソってこともないようで。シン的「守る」とネオ的「守る」、ステラはどっちを選ぶのかなぁ。

なんてボケボケ思っていたら、前半パートラストにステラたんの記憶リセット。前回のブロックワード発動もかなり上手いネタふりでしたが、今回のこれにはマジビックリ。二人の「守る」「会いにいく」の自分解釈が戦場ですれ違うことは予測できるところでしたが、ステラ側がその軸になる「出会い」すら見失ったことで、二人が「出会い」そのものに対する自分解釈でもすれ違うことが確定(←シンはステラとの出会いを大切にしているけど、ステラは出会ったことすら覚えていないってことで)。ここ二回のビックリネタふり見ていると、ステラが予想以上に化けるかも。かなり楽しみな視聴ポイントになりそうですね。

それとチョイ気になったのが、3人組調整スタッフの「戦闘マシンによけいな感情は邪魔なだけ」発言。ますますレイが透けて見える…。


■ハイネサイド

ハイネネタがおもしろすぎ。個人的な感情としてはAAサイドを匂わせる良い人でありつつも、軍人としてはそこを割りきって任務遂行に全力を傾けるキャラであることが発覚。そんなハイネの言葉を「はい」と肯定することしかできなかったアスランがますますミネルバサイドに傾いていくあたり、アスランの変化を段階追って丁寧に描くなぁと思うわけですが、それと同時にハイネの個人的感情が先の展開にピコッと深みを持たせそうな気配。

アスランやミネルバクルーからすれば良い人なんですが、任務遂行される=攻撃される側からすれば悪い敵。AA的にも撃墜せざるをえないわけですよ(←ラクス襲撃ネタが絡んできそうですが)。そんなハイネが撃墜された日にゃ、アスランたちからすれば「なんであんな良い人を…」となりますが、もう一方のAA的には「仕方なかったんだ…」となります。ハイネという人間をどう解釈するかで両者が袂を分かつ気配が濃厚なのですが、そうなれば、素のハイネが良い人であればあるほど、両者のギャップが深まることになります。視聴者的にもその違いが目に見えてわかるでしょうから、良い感じのアクセントになりそうですね。

あと、仮にキラがハイネ殺っちゃった日にゃ「不殺じゃないのか」的なツッコミ祭りになるかもしれませんけど、キラのはあくまで「殺さないで済むのなら殺したくはない」程度のものだと思うんですよね。ま、どう解釈するかは「自分解釈」なわけですが。


■オーブサイド

やっぱりユウナは小者やなぁ。連合&ブルコスがオーブを利用しようとしているんだから、それを逆手にとってオーブ有利になるような要求をした方がいいと思いのですが、当の本人は最前線に立っておバカ三昧。

最初からお調子もんのボンボンバカボンバカボンボンキャラ的な素地はありましたから「いきなりバカになった」とは思いませんけど、そんなおバカな現オーブ政権トップを尻目に(←本当のトップは親父か?)、トダカさんをはじめとするベテラン軍人さんは旧オーブ的理念と現オーブ的現実との間で戦いまくり。AAとカガリに願いを託してつつも、現実を必死に戦いぬいて国を「守」ろうとする姿がメラかっこよすぎですが、その姿はシンそのもの(←深みはまったく違いますけど)。ネオも「必死になっても、まだ守ろうとするものがあるからさ。強いよね、そういうやつは」と言っていますが、シン的正義で判断するならば、ミネルバもオーブ軍も「正しい」んですよね。シンとの絡みがほのめかされてきましたが、その関係がどう描かれていくのか楽しみで楽しみで。

でも、やはりというかなんというか、カガリがオーブを離れた意味はないままにオーブ参戦。アスランにも突っこまれていますが、結局オーブは憎しみの連鎖を生みだす側に回ってしまいました。ここでのマイナスは後々かなり響いてくるはずですが、どうやって挽回するつもりなんでしょう。結果オーライパターンが妥当かなぁ。ただ、現場の人らはカガリに希望を託しているんですよね。現オーブ的正義ではどうにもならない部分=中立&世界平和への貢献=本来のオーブの理念をどう形に変え、実現していくのか。小さい灯火が大きな篝火となった時、闇をどう払いのけるのか。抗いようのない大きな流れの中で憎しみの連鎖に巻き込まれていくオーブを一旦離れるからこそ、見えてくるかもしれない力を持った理想。そこに希望を託しているカガリを見送ったようなニュアンスが感じられました。

そうなると、カガリ復帰のポイントになるのはシンのオーブに対する思いなんですよね。シンですらオーブの理念自体を否定しているのではありませんから、現場も、そして一般市民も、心情的にはカガリを支持しているのではないでしょうか。そういった「オーブ国民全体の意思」が視聴者に伝わる形で表現できれば、同じ結果オーライにするにしても、ある程度認められる形で落ち着くような気がします。その上で、カガリが1話で頭ごなしに否定した「力」をどう受けとめていくのか。カガリ成長&復活物語的にはそのあたりが重要になるかなぁ。


■アスランサイド

オーブ参戦を聞いて戦うことを躊躇うアスラン。前作では「戦争だから仕方ない」を否定できましたが、フェイスとしてミネルバ的に染まりつつある今は、ハイネの「割り切れよ。今は戦争で、俺たちは軍人なんだからさ」に「はい」としか答えられず、ますますミネルバサイドへ傾倒していきます。

それでもまだ、殺りまくりなシンに反して殺さずなあたりがアスランの引いた一線なのでしょうが、そんな二人を見ていて今回ふと気になったのがシンとアスランのパーソナルカラー。シンは赤、アスランは紫なんですが、キラが青だったりするんですよね。もう「シン&ミネルバ的正義(赤)⇔アスラン的正義(紫)⇔キラ&AA的正義(蒼)」なのが一目瞭然。キラ的信念とシン的信念の間で揺れ動きまくっています。

ただ、そう見てしまうと、セイバーがいかにも「???」なんですよ。議長から授けられたセイバーの機体色は赤。なんかこう「お前は赤=ミネルバ的であれ」的な意図と「ポジション的には紫のはずなのに赤を強要されています」って気配がビンビン。となると、真アスラン的には紫MS搭乗とかあるんじゃないかなぁ。個人的には、シン&キラ搭乗機も合わせて、40話こえたあたりにビッグサプライズが待ちかまえていそうな気が…。

それはともかくとしても、三人の関係性はまさしく色そのもの。AAとシンをつなぐ橋渡しは紫アスラン&カガリになりそうですが、物語的にもアスランがどう転がっていくのか興味津々。話の流れ的にはミネルバサイドに傾きつつありますが、紫であるためには一度AAサイドに振り戻すイベントがあってもおかしくないように思えます。もちろん、今のAA=ミネルバ邂逅が一段落ついたあとになるのでしょうが、そのイベントを経て赤と青を混ぜ合わせた紫がどんな答えを見つけるのか、もう楽しみで楽しみで。


■シンサイド

そんな紫アスランによって、見ないようにしてきた核心をグサっと突き刺されるシンがまた(・∀・)イイ。「国の責任者が気持ちだけだなんて」なんてセリフを聞くにつけ、気持ち=オーブ的理念そのものを拒絶しているわけでなく、そこに力が伴わないことを否定している姿が見えまくり。10話の前半パートでシンとカガリが同時に壁を叩いているところからもうかがえましたし、13話や21話のレビューでも触れましたけど、やはり「かわいさ余ってにくさ百倍」系だったようで内面的には実はリンクしまくり。アスランの一言によって、今まで無意識に見ないようにしてきた現実を突きつけられて動揺しはじめたシンが、ステラやオーブ、AAとの戦いの中でどう変わっていくのか。ミスリードだった17話ラストと違い、自分正義を疑うことにつながる要素は色とりどりに用意されていますから、そんな起爆剤によってシンの変化&成長が徐々に&確実に動き出しそうな流れです。

さらにステラとの関係もおもしろくなりそう。記憶をリセットされたステラと、二人のつながりを瓶につめて大切にしまいこむシン。すれ違う二人がどうなっていくのか。シンの自分正義はどう揺らいでいくのか。ワクワクですw


■アークエンジェルサイド

他は伏線はりながら話を進めるのに、AA参上は視聴者を不意をつくためか、あきらかに目立った伏線がありません(←ミネルバ作戦会議後にカットインが一瞬ありますけど)。その上で登場するフリーダム&キラがかなりのインパクト。

お話の構図的に見ても、アスランやシン、ハイネやトダカさんたちオーブ軍といった人らによって「戦争だから仕方ない」的諦観を前面に押し出してたっぷり描いておいたところに、「戦争そのものをどうにかしたい」と願う蒼のキラ降臨ですよ。これまでの話はもちろんのこと、今回の話でも前半〜中盤でたっぷりタメておいて、最後の最後で理想に燃えるアンチテーゼ参上ってのがかなり(・∀・)イイ。しかも、その瞬間まで気配を消していたためにインパクトも絶大。これに燃えずに何に燃えるって感じですよ。


■ミリアリアサイド

そんな様々な立場の人間を、ジャーナリスト=第三者の目から俯瞰的に見るミリィ参上。AA的前作正義では憎しみの連鎖を解き放つことはできませんでした。キラたちはそれでも己の正義を信じて再び立ち上がったわけですが、ミリィはそんなAA的正義に全面傾倒するのではなく、外部から見た戦争の現実を記事とすることで憎しみの連鎖を解き放とうとする別の道へと進み、真実を見つめる戦いにその身を投じました。

そんなジャーナリストなミリィによって記される無色無臭の事実は、自分色に染まった全ての登場人物たちに何を突きつけるのでしょう。他のキャラが自分正義を求めつづける陰で、何ものにも捉われない真実を探しつづけるキャラってのはオモシロですよ。かな〜り先になりそうですけど、様々な「自分解釈」によって紡がれた関係性をほどいていくキーマンになりそうですね。


■蒼天の剣

タンホイザ発射準備!トダカさんピーンチ!タンホイザ撃て―!トダカさんヤヴァーイ!アーサーたん撃っちゃダメー!ビームビームビーーーム!タンホイザ爆砕―!蒼光一閃!フリーダムキター!キラキタ―!蒼キター!ビックリー!!!そして次回へー!燃えー!!燃えーー!!!燃えーーーーー!!!!!



というわけで燃えまくりながら次回へ。なんかこう、前作34〜35話よろしく、今までの伏線を一気に解き放つ話になりそう>22〜23話(←種の進行スピードを考えると24話も?)。こういうの大好き。燃えー!!!と言いながらも、冷静に見ると、前回も今回も話のボリュームがハンパじゃないんですよね。かなりの量のお話を1時間弱に詰めこんできた印象があって、構成的にもかなりウマウマ。お話的にも、今回は「守る」のキーワードが盛りだくさん。伏線とか構成とか追っかけていると、それらがピンポイントに集中して爆裂するこういう回でメラ燃えできますね。2クールも終了間際ですが、盛りあがってきましたよ〜♪



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第23話 〜 戦火の陰 〜

フリーダム&Sルージュ&アークエンジェル登場→AA的理想宣言→華麗にスルーされる→キラ武力行使→ザクとは違うんだよザクとは→ハイネ死亡→キラの力技で戦場沈黙→黒煙をあげる戦場跡→AA的正義失敗→ED。そんな23話です。


■あの時のカガリには、これが止められたとは思えない

結局、「いてもいなくても同じだから、それならムリヤリにでも連れ出して、もう一度外から戦争&憎しみの連鎖を見てもらいましょう」ってことですか。結果を見ると、ラクスが「あの時見えなくなっていたものが、お見えになっていらっしゃる」と言っていたように、憎しみの連鎖を断ち切ることへの意志確認はできたようです。

ただし、一度逃げだしたら、もう一度信じてもらうのは大変なんですよね。ユウナの「偽者だ」宣言があったりカガリの顔が見えてなかったりというのはあるにせよ、最後にはオーブ軍もカガリを無視して戦いだしましたし。やはり国家元首として国を放棄するというマイナス因果はどうにも否定できないわけで。「私は止めたい」という願いは届かないわけで。ということで、AA的正義、減点1。


■ユウナショボ&トダカさんカッチョよすぎ

ユウナショボいなぁ。自分解釈&思考停止の最たるものですが、ただ、本音はともかく、言っていることには筋が通っていらっしゃる。たしかに「そもそもあれが、わが国混乱の原因だろ」というのは事実ですから、ここでもAA的正義、減点1。

で、そのユウナ的道理=「でなきゃ、こっちが地球軍に撃たれる。国も。」に言葉を返すことができず、AAを攻撃するトダカさん。その前にポツリとつぶやいた「頼むぞ、フリーダム」がカッチョよすぎます。というか、トダカさんとハイネって、ミネルバ的思考&素は良い人なところがそっくりさん。ハイネと同じようにトダカさんも死ぬことになるのか、それとも同じシチュエーションをひっくり返して寸前のところでトダカさんを救う帰結になるのか。ちょっと楽しみです。


■虎、ダサカッチョよすぎ

コミカルタイガーヘッドな虎スーツがあいかわらずのダサカッチョよさ。旅先のお土産でアホグッズ買うのが大好きなぐらすとしてはたまらない一品です。で、出撃前に「でも俺、キラほどの腕はないからねぇ」と愚痴っておいて、出撃後に相手MS撃墜しながら「俺はキラほど上手くないといったろうが!落としちゃうぞ!」とかカッコ良すぎ。


■戦闘激化 ⇔ ウズミ様演説

ウズミ様的理想や信念。そのキレイ事演説と重ねて流される激化していく戦闘シーンの映像。もう、「ウズミ様的旧オーブの理念だけでは戦争なんてどうにもなりませんよ」な感がありあり。言わずもがななAA的正義、減点1。

ただ、前半パートのAA内会話とあわせて、カガリは自分の理想を見据えつつ現状の無力さを認識できたようですから、そこをスタート地点にしてどう成長していくのかが今後の見どころっぽい感じ。次回のアスランとのイベントで底をうっておいて再起開始でしょうか。その後にイベントを挟んで大きく成長=ウズミ様越えってのが筋ですが(←なんのきっかけもなく変化&成長ってのはありえないんで)、どう描いていくんでしょうね。タメにタメまくったカガリの駄目っぷりがどうひっくり返り、それが戦争終結にどうつながっていくのか。作中世界的にも困難でしょうが、タメすぎたせいで視聴者に与えてしまった悪印象を拭っていくことが一番の難問。制作スタッフの手腕が問われるところかと。


■カガリ成長物語

となると、鍵は1話のデュランダル議長との会話でしょうか。未熟モードなカガリが理想を盾に吠えた「強すぎる力は、また争いを呼ぶ」と、それに対して議長が説いた「争いがなくならぬから、力が必要なんです」。3人組のMS強奪によって場が流れ、ユニウス7爆砕→開戦という混乱の中で結論を出さないままここまで来ましたが、そんな思いと力のバランスをどうとるかがポイントっぽい流れです。

おそらく未熟モードなカガリ的には、「過ぎた力は争いの元。ただしオーブ軍やAAのような自衛のための力は例外」とでも考えていたのではないでしょうか。けれど、そうでないことは23話を見れば一目瞭然。結局、どれも争いを呼ぶ「力」であることに変わりありません。憎しみの連鎖を断ち切る決意は再確認できたものの、1話から長らく放置されてきたこの命題に対する解はまるで見当もつかないのが現在の状況。となると、その答えを探すのがカガリにとっての第3クールになるように思えます。

きっちり自己否定してくれるかなぁ…。


■種35話再び

前作種とまったく同じ構成にすることに意味がある。デス種に入って何回も使われているパターンですが、今回もそれがうまく働いていました。

タリア艦長は「まさか本当に戦争を止めたいだけなんて、そういう馬鹿な話じゃないでしょうね」と言っていますが、そういう馬鹿な話なわけですよ(←あくまで現実の価値観から考えての話ですけど)。そういう「馬鹿な」信念を胸に秘めて降臨した「剣」なのですが、戦闘やめろ宣言→ミーティア流れる→七色ビーム→相手MSパーツ切断&不殺でござるといったところを見ると、途中まではどれも種35話そのもの。理想に燃えまくりなAAなんですが、ただし、帰結を見ると種35話とは真反対なわけで。

種35話では、「自爆するから逃げろ放送→イザーク不殺&踏みグリ→全滅をくいとめる」ということで肯定的な部分が強調されて描かれていましたが、今回は「カガリ吠え→戦闘止まらず→AAサイドのせいで戦場混乱→ハイネ死亡」と何一つ結果を残すことができませんでした。フリーダム参戦による混乱の中で死んだハイネは、間接的ではあるにせよAA的正義によって殺されたようなものですし(←むしろ直接的に殺っちゃった方が良かったような)、EDに入る前のシーンを見ても、AAが去った後に残された黒煙をあげる戦場跡が思いっきりネガに描かれています。もうネガまっしぐら。良いところがありません。というわけで、AA的正義、最後の最後まで減点1。

ただし、繰り返しAA的正義を減点していますけど、話的に見て、ここで減点することに意味があるということは一目瞭然。15話レビューでも「前作で否定的に描いたものは肯定的に、前作で肯定的に描いたものは否定的に捉えることもできるのではないか、ということですね」と書きましたが、その上で第2クール終盤にしてこの帰結ですから、ストーリー的には順調そのもの。ここでのタメをどう形に変えるかに期待するだけなんですけどねぇ。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

さて、AA的正義のマイナス面が終始一貫して描かれた23話ですが、これに近い構成の回があったんですよね。13話とか16話とか18話とかなんですが、各話ともシン的正義とそれによって守られる存在を描きつつ、最後にシン的正義に対する問題提起映像を盛りこむ構成になっていたわけで。

それらの話と今回の話をあわせてみると、AAサイドもシン&ミネルバサイドも一長一短(←あくまで作中の価値観としてですよ)。AA的には思いはあってもそれを実現する術=最適な力の使い方がわからず、シン&ミネルバ的には自分正義も力もあるけれど小さくまとまっちゃっています。アスラン的にはその間を行ったりきたり。

そうなると、AAサイドは理想を踏まえた上での力の使い方を本格的に模索し始め、シンサイドはフリーダムにバッサリやられたことを受けてさらなる力=デスティニーを拝領→けれどそんな自分正義そのものに疑念を抱き、アスランは両者の間で迷い続ける、というのが自然な流れかと。その上で、それぞれにイベントを与えて変化&成長を促すというのが順当なところでしょう。AAサイドには力の使い方を考えさせるイベント、シンサイドにはデスティニー拝領イベント&思いについて考えさせるイベント、アスランにはAAサイドに揺れ戻すイベントと(←だいぶシン&ミネルバサイドに傾いているので)両者をつなぐイベント、ってところかなぁ。

そんな流れを描きつつ、両者をどう「止揚(←ランゲージダイアリーさんからの転用させていただきました)」させていくかが全体としての落としどころになるっぽい。個人的には、カガリ&ラクスの影響力強な人間が上で動きながら、AAサイドは彼らを守るために、ミネルバサイドは市民を守るために戦う、ってのも一つのやり方かなぁと思いますが、はてさてどうなることやら。

ただ、メラ燃えを期待していたシンのデスティニー発進は、今回と同じダミー燃えになりそうな感じかも。今回の戦闘でシンは普通の人を守る力が足りないことを認識したと思いますが、その不足分を補うためにより大きな力=デスティニーを拝領し、自分正義を全うしようとする、というのが自然な流れかと。そうなると、その時点ではシンの自分正義は揺らいでいないはずなんですよね。シンが今の自分正義を一旦否定した上で、より高い次元で自分の体験に基づく正義を確信できたときこそ、このアニメ的な最燃えシーンになるはずですから、今の状況のままでデスティニーを発進させても燃えられる気がしなさすぎ。セイバー発進の時とあわせてダミーになるんじゃないでしょうか。


■腹7分目

とはいえ、23話がちょっと食い足りないような…。ハイネがミネルバ配属になった理由や、シン=ステラの戦場での出会い、+ホーク姉妹ネタ。そのあたりをチョロっとでも入れておけば、先につながったような気がするんですよね。ハイネネタは、ミネルバ目線で良い人キャラに描いておいただけでもAAとアスランのすれ違いにつながりますけど、AA目線で悪い人キャラに描いておけば両者のすれ違いがより強化されるような。シン=ステラネタは、このタイミングで盛りこまなくともいつでも描けますけど、このタイミング「でも」描いておいた方がより印象強くなるような。ホーク姉妹ネタはじらしすぎのような。

どれも絶対盛りこまなきゃいけないわけではなく、あくまで「あった方が良い」的な要素にすぎません。話のボリューム的にも盛りこむスペースがキツいところでしょう。ただ、この三つがあれば絶賛できる回だったんですよね。そこにレイの謎なんかも絡ませられれば、まちがいなく神構成なんですが…。21〜22話がボリュームたっぷりだった分、普通だった今回がヘチョく見える…。



というわけで、燃えまくった22〜23話も終了。デス種ではバトルを使って人間関係を変化させ、そこで変化した人間関係をドラマパートで深化させることが多いですから、24話も人間関係を整理しつつ、課題を再設定しながら第3クールに突入していく回になる予感。やはりというかなんというか「視線/瞳」シリーズのタイトルネーミングですし。となると、次あたりで現状を整理しておかないと、見ていて意味のないツッコミとかしちゃうかも。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第24話 〜 すれ違う視線 〜

ハイネの死にはAAとミネルバの別離を促すという意義があるんでしょうし、死に際に笑顔を重ねることで「良い人だったなぁ」と思わせる意図もあるんでしょう。けどね、意義や意図はともかく、その演出はどうなのよ?自分の歌をバックに流しながら笑顔で爆死って。しかも、そんな間抜けシーンを延々回想されつづけるって…。哀れというか笑えるというか。そんな24話です(嘘)。


■AA的正義の残した傷跡

グフ撃墜シーン、破壊された主砲タンホイザ、アサルトシュラウド、ハイネの出棺。そんなAA的正義の残した傷跡を描き、前回に引きつづいてAA的正義を否定するところからスタート。ハイネの死にニコルの死を重ねることで憎しみの連鎖というネガを想起させつつ、そんなネガなアスランが疑念を抱いたままAAへ。シンも「あいつらが変な乱入してこなきゃ、ハイネだって」「馬鹿なんじゃないの」とAA的正義を全否定していますが、先週のラストから後半パートの別離に向かう流れが実にスムーズで気持ちいい。


■ミリアリア・ハウとアスラン・ザラ

ディアッカ哀れ…。というのはさておき、AAサイドとミネルバサイドをミリィがつなぐというパターンが入りましたね。さりげない「今はまた、ザフトのあなたが?」「あなた個人にならつないであげる」の台詞がもう燃え燃え。二色の外から真実を見つめ、二色をつなぐ。そんなミリィに燃えころげまくり。っていうか、前作のラクスポジションなんですよね。今のミリィって。

そんな感じでミリィが真実を見つめるポジションにいるのなら、いずれ議長の策謀にもかかわっていくのかな?特に偽ラクスに関しては、ミリィとラクスが知り合いであるだけにかなり期待できるかも。すでにあのラクスが偽者だということには気づいているようですし。表にはあまり出てきませんが、要所要所でキーパーソンになりそうな予感です。ミリアリアすてきだよミリアリア。


■アークエンジェルにて

天使湯て…。お茶吹きましたがな。ディアッカネタといい、虎うどんといい、なんです?今回は?まぁいいや。

まず決めて、そしてやり通す。前大戦の失敗から戦うことに躊躇っているラクスが、カガリを勇気づけると共に、自分の胸にも刻みこんだ一言。回想と合わせて良い感じにタメてきましたね。そろそろ動き出すのかも。ラクスはカガリとあわせてAA側の切り札の1枚ですから、そんなラクスの葛藤と決意はかなり意味深。まだ決意とまでは言えませんけど、偽ラクスネタがクローズアップされていましたから、動くとしたらそっち方面かな?

ミリィの通信を受けてのミーティングもかなりオモシロです。婚約指輪を指にはめてアスランとの絆を再確認するカガリ。アスラン来訪を聞き、それを自分解釈&思考停止して喜んでいましたが、そんなカガリとは逆に、キラはあくまで冷静なんですよね。アスラン来訪=嬉しいと思考停止するのではなく、アスランの意図を考え、場合によっては再び対峙することも想定している感じ。自分解釈&思考停止して喜ぶカガリと、自分解釈&思考停止することなく考えるキラ。その違いが、邂逅シーンでの三者の温度差につながり、違和感なく別離に至ることになる、と。ここも冒頭のアスラン困惑シーンと合わせてウマウマです。


■夕焼け邂逅演出キタ━(゚∀゚)━ッ!

やはり来ました、夕焼け邂逅演出(←17話レビュー参照)。しかも、今回は先週と同じように前作種と似せた構成にしてありますから、尚更オモシロです(←種39話と同じ構成)。途中まで似せて帰結をひっくり返した先週のパターンとは異なり、今週の手法は、プラントサイドに傾きつつあるアスラン&理屈に飲みこまれたカガリ&すれ違うキラ=アスランということで、音楽と構図以外は最初からまったくの逆意。ウマウマ〜。

8話のキラ&シンも17話のアスラン&シンもすれ違いに終わりましたが(←17話のミスリードには全力で引っかかりましたが)、今回のキラ&アスランのすれ違いにより、三主人公がそれぞれすれ違うことになりました。その全てが夕陽演出で描かれたわけですが、ここまで確信犯的に使われているところを見ると、三者のすれ違いを回収する時も夕陽演出を使うのかな?それとも朝日が昇ってくるとか?ちょっと楽しみ♪


■すれ違う視線

ミネルバサイドから戦争を見つめ、今のAAのやり方は間違っている、他にやるべきことがあるはずだと主張するアスラン。それに対して、プラントのやり方にも問題がある、アスランはそれが見えてないだけじゃないのかと逆に問い詰めるキラ。どちらの正義も正しいと言い切ることができない様は、まさしく泥仕合。

前回から今回にかけてAA的正義のマイナス面が描かれましたが、だからといってミネルバ的正義も絶対とは言えません。それを伝えるために、偽ラクスネタとレイネタを盛りこんできた、といったところでしょうか。となると、どちらの正義も絶対ではありませんから、どちらも「正しい答え」を探さなくてはならないわけで、それが今後の課題になる予感。

第2クールは、両者の正義を描いた上でラストにそれを否定しあい、互いに疑いを抱いた両者が別離に至る、というお話でした。ということは、第3クールは、両者が互いに否定された自分の正義を見つめなおし、正しい答えを探しながらそれぞれにアプローチを試みていく、というのがメインストーリーになるのではないでしょうか。

とはいえ、数回カットインされたカガリの婚約指輪と、指輪に反応してカガリが大変な時に一緒にいてやれなかったことを後悔しているアスランを見る限り、完全に別離に至るということにはなりそうもなく、アスラン&カガリを介して両者が再び交わることもほぼ必然かと。異なる道を歩み、己の正義について深化していく両者が再び交わる時、何が紡がれ、何が生まれるのか。それを匂わす「カガリの指輪」演出にホンワカ燃え。色んな意味でワクワクですよ〜♪


■ルナマリアとミーア

ルナマリアがアスランを尾行していたのは彼女自身の意志なんでしょうか。ちょっとはっきりしませんが、命令にせよ自身の意志にせよ、ルナは偽ラクスのことを知って目ン玉とびだしまくり。今までアスランとミーアの仲を自分解釈して誤解していたルナが真実を知ってしまったわけですから、こっちも面白くなりそう。

ただ、アスランがミネルバカラーに染まってきたため、それを促してきた女難ネタはその役目を終えたと見るのが自然なような。ということは、コメディ調の五角関係に絡めるというよりも、シリアス調の議長策謀に絡めてくるような気がしてなりません。ルナはアスランと共にミネルバにおいて真実に気づいた異端キャラになったわけですから、脱ミネルバ路線を歩むことになるのかも。ホーク姉妹ネタとあわせて、一気に動き出すかも?(←種のことですから、もう少しタメてからでないと一気には動かないと思いますけどね)


■レイ・ザ・バレル

闇にたたずむ罪の在処。ブロンドの長髪、白い軍服、鈍く輝くザフトの紋章。嗚咽するはレイ・ザ・バレルかラウ・ル・クルーゼか…。暗闇でうずくまるレイの姿にクルーゼが透けて見えて、なんとも…。こうやって壊れていったんだろうなぁ、クルーゼ…。ま、レイは元からクルーゼ以上に壊されているでしょうから、クルーゼ的な破滅願望はなさそうですけどね(←といっても、レイ=クローンと確定したわけではありませんが)。

さりげに、レイを心配するシンの「レイ、どうしたんだよ、レイ」に二人の今の関係がほの見えてちょっとオモシロ。3話の「お前も間違ってない」といい、13話の「生きているということは〜」といい、レイは理解者を持たなかったクルーゼとは異なり、浅い関係ではあるにせよ、シンという戦友を持つんですよね。レイが議長絶対主義であるところを見ると、ありそうなのはレイがシンと敵対するパターンですが、そうしておいて最終話あたりでレイとシンがわずかな友情でつながる的な展開が用意されていたら、もうそれだけで泣くかも。前作で描かれなかったクルーゼの救い。小マメに描かれたシンとレイの関係がその切り口になれば嬉しいんですが、はてさて。


■話したいんだ、会って話したい(アスラン→ミリィ)

前回の「オーブ軍、私の声が聞こえないのか、言葉はわからないのか」発言といい、今回の「お前だって議長のしていることは見てるだろう、言葉だって聞いたろう」発言といい、話す気はあっても、意志に反してわかり合えないまま、別離に向かうわけで。

話すだけでは駄目。見えているものが違うことを理解し、自分の偏りを自覚しなければ駄目。そこに気づかず、自分解釈の中で思考停止しているから、わかり合えずに争いが起こる。といったところでしょうが、次回予告と共に、自分解釈を中心に話が進んだ第2クールを象徴するような帰結ですね。そのあたりが種で描かれた争いの根っこなんでしょうが、ピコッと深くてオモシロですよ〜。「話す」「言葉」といったフレーズは、これからもキーワードの一つになっていきそう。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

戦場でのAAの活動は意味を持ちませんでしたし、アスランも「君がしなけりゃいけなかったのは、そんなことじゃないだろ!」「戦場に出てあんなことを言う前に〜」と言っていますから、前回レビューで触れたように、AAサイドは政治的な路線に進むような気がしたりしなかったり。戦場ではない場所で、カガリ&ラクスという切り札2枚をどうやって場に出すのか。そこがポイントになってきそうですね。

そして、もう一つ気になるのは、動きはじめたレイ物語。クローンや強化人間系とつながっていそうですが、19話の議長トークを鑑みてみると、戦争の裏側にある技術革新そのものっぽいんですよ。議長はロゴスのことを例に出していましたが、レイがクローン系であり且つ議長とも関係があるのなら、それはロゴスと同じ路線であるわけで。というか、議長もロゴスの一員とか?ユニウス7落としも事前に察知していたようですし…。ロゴスの老幹部連はともかく、ジブっちあたりとつながりがあるんじゃないかなぁ。


■次回予告

−事象は一つ。事実は揺るがぬもの。だがその行為の意味は。言葉の裏は−
−知る由もないそれは、常に胸の闇の中。語らぬ者と、語れぬ者の真実はどこに−

20話のレビューがクリティカルヒットですよ。となると、鍵は「語れぬ者の真実」なんですよね。戦争の陰で亡くなった人々が望み続けたものは何?復讐?平和?大切な者が生きつづけること?その真実にどう向き合い、どう生きてゆけばいいのか。そこがシン的正義の新機軸になりそうな気配です。

それと、ユウナは予想以上におバカボン化していくのでしょうか?ここまでおバカボンっぷりが前面に出てくるとなると、権力狙いではありつつも、ユウナはユウナなりにオーブの平和を願って動いているってことになるのかな?だとすると、因果応報理論的にはユウナにもある程度の救いがあってもよくなるんですが…。ま、予告だけでどうこういうのもアレですけどね。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 2クールまとめ

第24話『すれ違う視線』をもって第2クール終了となり、現在は第3クール進行中のデス種。演出面での雑感は第1クールまとめ時にとりまとめたので、今回はストーリーの進行状況を中心に整理しつつ、新たに気になった設定&演出についても少し触れていこうかと。


■ストーリーの流れ

1クールは前作からの引継ぎパートっぽさが強かったので、全体的な流れは見えづらかったのですが、2クールに入って定まってきた印象です(←特に2クール後半)。ザックリ言うと「前作的正義の否定」「作中善悪価値観の相対化」といったところでしょうか。

旧主人公たちの正義&言動は、前作終盤のような最終戦争的局面では即効性があるけれど、状況によっては空回りするもの。キャラクター的にも未熟な部分がいくつかあって、まだまだ成長の余地あり。そんな彼らを、前作とは違った状況に持っていくことで、彼らの正義を相対化&未熟な部分もクローズアップしてきた、といったところでしょうね。

シンについては逆に、ネガティブ要素が強かった正義&言動を裏返し、そんなやり方でも守れるものがあるというポジ面をアピりつつ、それでもやっぱり、敵の正義や守りたいものに気づかない未熟さもあることを示しつつ、といったところでしょうか。


■ストーリーの予想

今後もしばらく、そういった「それぞれ正義の相対化」が推し進められそう。2クール終了後も、作中世界においては絶対善として描かれてきたミーアやデュランダルが相対化されていますし、PPサイドも「守る」想いを盛りこみながら相対化されていっています。AAサイドも、28話では23〜24話以上にボコに否定されました。

そうなると、最終的にはそれぞれの価値観を善悪に選り分けて「肯定&否定」することは難しそう。むしろ、それぞれが抱く想いの「真偽」に焦点が移っていく気配があったりなかったり。既に、ラクス=ミーアネタでその匂いが漂っていますし、ステラたち新3人組の記憶ネタでもそんなニュアンスがチラホラ。思えおこせば、3話の議長→アスラン懐柔トークでも「偽りの存在」というフレーズが登場していたわけで。

まだメインで描かれてはいませんが、個人的には、今後かなり重要なファクターになっていくと超予想。絶対的な善悪は存在しないけれど、パチモン(・A・)イクナイ、みたいな。真の想いは貫こうね、みたいな。自分を偽っちゃいかんよね、みたいな。そういう意味では、善悪を選り分けて肯定&否定した前作よりも、1ステップ掘り下げた脱・勧善懲悪を見せてくれるかも。基本ベースは燃え少年マンガ系のノリですけど、だからこそ描ける燃え理想に期待しまくりです。


■争いのシステム

ストーリー展開&予想はそんな感じですが、それぞれの正義を相対化する段において、その違いを生む原因を「見えているもの、体験してきたものの違い。それによって生まれる価値観の違い」=「自分解釈の違い」として、争いのシステムを表現しているのがオモシロです。

根っこにある「守りたい」という想いは共通しているけれど、自分解釈のズレによって互いの想いを理解&慮ることができず、我のままに突き進むことしかできない。たとえわかりあおうとしても、過去や知験の異なる者が表面的な会話を交わしたところで(←本当に大切なものは言葉にならない回想部分=知験要素の交感ですからねぇ)、そう簡単には相互理解に至らない。

そんな具合に「会話開始→回想&自分解釈発動→会話不成立→不和」なコンボ不理解が問題提起されていますけど、もう一つの課題である価値観相対化ネタと併せて、どう収拾させるかが楽しみで楽しみで。


■キャラクター描写

基本的には「京極堂シリーズ」「Death-Note」などに見られるロールプレイングキャラで、話を展開させていく上での役割を重視したキャラ設定&描写ですね。その上で、複数主人公制→相互作用&対比モードなのがオモシロ。

描写的にはAAサイドに偏っていますが、AA的前作正義を「絶対正義じゃないよ」と伝えないことには話が進まず、ミネルバやデュランダルの正義も相対善&悪化しなければ話が成り立たず。前半はどうしてもそこに重点を置かなければならないでしょうから、新主人公であるシンの物語が進まないのも、まぁ当然というか自然というか。

とは言え、新キャラに関しても押さえにゃならんポイントはあるわけで。ネガポジ二面のシン的正義や、そんなシン的正義への問題提起になるステラ&トダカさんの存在、AA的正義とシン的正義の対比、新たにアピールされ始めたPPサイドの正義など、さりげに見所はモリモリあるわけで。

そもそも、種自体が50話を通しての起伏を楽しむ長編アニメですから、現状での描写云々をとやかく言う意味はなさそう。シンの描写にしろ、キラ&カガリペアの未熟さにしろ、アスランの無脊椎っぷりにしろ、全体から見ての役割であったり、伏線&回収における「タメパート」「後から潰す部分」であったりするのでしょうから、ノンビリと伏線回収展開を待つとします。


■ネガポジ二面性キャラ

そんな仮主人公のシン君ですが、キャラ的には「子ども」属性。この手の特性には二面性があって、ある時は「自己中、規律無視」というネガ面が、ある時は「純粋、一途」といったポジ面が表を向くんですよね。成長ではなく「裏返し」によって、長所をアピールしつつ短所をうち消す。少年マンガによくあるパターンで、最近では「ワンピース」に代表される手法です。

シン以外に、カガリやキラの「生き抜くことへのこだわり」にもその気配を感じますけど、終盤に向かって価値観が複雑に錯綜していく中では、複雑なしがらみに囚われずに「想い」を貫くことができる「単純、純粋、一途」なポジ面が、とてつもなく大きなイニシアティブを持つような。

前作のキラやアスランのカテゴリー脱却型の成長も、前作的正義の相対化に伴って「時と場合によりけりだよね」扱いされていますから、福田監督的には「成長なんて短期間ではそう簡単にはできないよ。成長に見えるのはその人の個性の中にあるポジ面がその状況限定で全開で働いているってこと。みんなも個性は大切にね」みたいな考えを持って作っているのかもしれませんね。現状では推測にすぎませんが、自分的には注目すべきポイントだと思えまくりです。


■前作シーンの活用

23話が際たるものですが、あるシーンの演出&構図を前作における別シーンのそれと共通させ、その上で意味を重ねたり裏返したりすることで、類似&対比を伝える演出がチラホラ(←2クール以降も29話や30話でモリモリ使われていたり←1クールでもセイバー受領で使われていましたし)。

23話の場合は、途中まで種35話と重ねながら、途中から両軍戦闘開始&ハイネ死亡へとつなげることで、AA的正義に対して「アラスカでは通じたけれど状況が変わったら通じないこともあるよ」と価値観相対化につなげた印象がモリモリ。また、8話や17話で使われた「夕焼け+対峙=すれ違い」な演出も、種27&37話を裏返していてバリ燃え。

第3クールに入っても30話で楽しい使われ方がされていましたけど、前作と重ねる演出を使うことで物語に重層感が増しますし、その演出に込められた意味を読み解くだけでもかなりオモシロ。ピコッと光る好演出でしょう。


■現状

基本的には、50話かけて物語を構築していく、少年の成長&反体制物語の王道ですね。50話全体の構成において、今はどう物語が積み重ねられているのか、今はどう物語が展開しているのか、積み重ねられた物語がどう集約していくのか、といった部分を意識&理解しながら見ていれば、普通にオモシロです。

逆に、その場ごとの価値観描写をその場ごとに是非を問うたり、リアルな戦争&政治&人間描写を求めたりしては、素でおもしろくないかと(←現実世界と空想世界を混同しないのは当たり前ですけど)。国語的な解釈が必要になる描写も多いですから、描かれた事象に対して額面どおりに単体で捉えても、意味がわからなくなるかもしれませんね。また、戦闘シーンも伏線回収&再構築の場になっていますから、バトルシーン燃えでもなさそうです。

特に第2クールまでは、成長前の「タメ」を作るためのネガ描写&問題提起がメインですから、ネガ描写に対して是非を問うても「非」なのは当たり前。それよりも、話の構成や因果関係に目を向けて、描かれた「ネガ」を先への「タメ」として受けとめ、シーンごとの含意や演出手法を読み解きながら見るほうが楽しめると思いますよ。その上で、リアル戦争論の初歩や文芸的な演出手法の基本など、ピコッと盛りこまれた次ステップへの導入口も、さりげに評価してみたり。

最終的な評価は、そこかしこに貼られた伏線の回収や提起された問題に対する回答を見てからになりますが(=完結後)、前作を小学校高学年〜中学1・2年くらいで視聴した層をメイン対象だとして見れば、よく出来ている部類のアニメかと。反面、使いまわしそのものを気にしたり、基準の高い作画を求めたりする層には、不評を買うのもわかりますけどね。



そんな感じで第2クールのまとめは終了です。本編の方では(←現在30話放送済み)、価値観の相対化が進みつつ、新たに「真偽」を軸とした物語が進行中っぽい感じ(←まだはっきりとはしていませんけど)。未だ伏線配備中といったところですが、幾重にも積み上げられた物語がどう集約していくのか、めっさ期待しています♪




感 想 一 覧

機動戦士ガンダムSEED DESTINY

 Phase-14 明日への出航
 Phase-15 戦場への帰還
 Phase-16 インド洋の死闘
 Phase-17 戦士の条件
 Phase-18 ローエングリンを討て
 Phase-19 見えない真実
 Phase-20 PAST
 Phase-21 さまよう眸
 Phase-22 蒼天の剣
 Phase-23 戦火の陰
 Phase-24 すれ違う視線

 SEED-DESTINY 2クールまとめ



 SEED-DESTINY 1クール分
 SEED-DESTINY 3クール分
 SEED-DESTINY 4クール分
 SEED-DESTINY まとめ感想