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機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第1話 〜 怒れる瞳 〜

■シン=アスカ 過去に縛られるの巻

しょっぱなからビーム攻撃による圧死なんていうヘビーな死に様描写でスタートした種運命。立場の違いや価値観の相違、共有することのできない過去という枠組みを越えて、人はどうわかりあえるのか。前作種は、そういった問題提起に対して「等身大の個としてありのままの自他&現実を受容しよう」と訴えた熱いアニメでしたが、種運命では、戦争に巻き込まれて家族を殺されたシンを主人公に持ってきたあたりに、「ならば過去に縛られて等身大の現実から目をそらすのはアホなのか?枠組に捉われて等身大の自他を受容できないことは悪なのか?」的なテーマを持ってきそうな雰囲気が漂います。いわば、人の持つ弱さをベースに据え置きつつ、そこから転じて強さを描くお話、というところですね。

種では、他人から強要された「クローン」という枠組ゆえの痛みと苦しみに苛まれ、そんな自らの痛みと苦しみを知りもしない全ての他者=人類という種そのものを根絶させようとしたクルーゼが最終悪として描かれました。けれども、はたしてクルーゼは「悪」だと言い切ることができるのでしょうか。

人は弱い生き物です。過去に縛られ利己に捉われ、時には他者を全否定してしまう弱い生き物です。しかし、その弱さは悪なのでしょうか。過去に縛られ枠組に捉われ自他&現実を否定する行為は悪なのでしょうか。種では前提として触れられなかったそんな善悪論に真っ向から切り込んでいく。種運命はそんな根源的で熱いメッセージを持つアニメになりそうな予感。


■シン=過去のアスラン論

戦争の中で家族を殺された過去に囚われ、自らの掲げる正義のために軍に身を投じて戦う男。それが前作種のアスラン(スタート時)でした。そんな過去のアスランと重なりまくるのが種運命の主人公、シン=アスカです。

熱いメルヘン理想を語るアニメなのにビーム攻撃による内臓破裂&肉体飛散でショック死などというヘビーな殺され方で家族を失ったシン。そんなトラウマ抱えて軍に身を投じたシンは、神&他人事目線で語れば「弱い(=過去に囚われている)」とも言えますが、世の人間はそんなトラウマかなぐり捨てて他者を受容できるような強い人間ばかりじゃありません。家族惨殺どころか、自分の指を切った包丁に八つ当たりするくらい器の小さい人間もいるくらい。どこにとは言いませんが。

ただし、種ワールドの中ではそれができた人間がいるわけで、それがアスランやカガリを始めとする旧主人公グループです。もちろん最初から全てを受容できたわけでなく、仲間との巡り合いや様々な経験を積むことで、50話かけてようやく「個としての強さ」を身につけました。また、アスランとカガリは種の終盤に入っても二人合わせて一人前というイメージが強く、加えて、私人としての強さは描かれたものの公人としての強さは描かれずじまいで終わっています。そんな彼らが前面に出てくるということは、未経験チェリーボーイなミネルバクルーと対比させつつ、彼ら自身の成長=依存解消と公人としての成長を描こうとしている、と見るのが自然でしょう。


行け、アスラン!未経験チェリーボーイどもに黒光りするナニを見せt

もとい

行け、アスラン!何も知らぬ坊やにお兄たまの凄さを見せつけてやれ!!!



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第2話 〜 戦いを呼ぶもの 〜

とにかくMS&キャラ顔見せな第2話です。バンダイの販売戦略を考えると当然のお話ですが、MS&キャラをバトらせながらも細かい伏線がそこかしこなので、お話的にも及第点かと。


■新3人衆

★アウルたん:::::優男面に似合わずリアリストっていうか冷酷っていうか。「バス行っちゃうぜ」「首でも土産にしようっての?カッコ悪いってんだよね、そう言うの」「じゃぁお前はここで死ねよ」「ネオには僕から言っといてやる。サヨナラってな!」「結果オーライだろ」などの台詞からも窺えますが、軽〜く冷めたイメージがありあり。種の連合3人衆みたいな感じが強いなぁ。

★スティングたん:::::熱い漢?セリフ聞く限りでは真面目そうだしステラたんのことにも気を配ってるし。チームとしての責任感が強いキャラってだけなのかも知れませんが、ぐらす的にはさりげに注目株。こういう真面目そうなキャラが死亡→主人公/ヒロインが目覚めるって展開ありがちだし。ステラたんとの関係が密になればなるほど死亡フラグが立ちそうなキャラやなぁ。

★ステラたん:::::壊れてます。半壊っていうか3/5壊くらい。「死ね」が禁止語らしいけど、それ言われると9割方壊れるみたい。OPではシンとの関係伏線があり、戦闘的にもメインでシンとバトル。彼女が正ヒロインと見るのが妥当なんでしょうが、設定的に見るとZのフォウ&ロザミィポジションなのかも。さりげに1話でアスランが超反応見せているので、「実は誰かのクローン?」とか思えるのですがどうでしょう? ぐらす的にはOPの感情なさげな可愛いお人形さんっぷりがたまりません。


■ネオ&レイ

冒頭にて早速子安仮面登場。あいかわらず(?)の頼れる兄ぃっぷりです。ぐらす的には前作のヘルメットは見てない方向で脳内処理しているためノープロブレム。ただ、ネオvsレイの戦闘シーンでは、キュピ〜ン反応を感知した瞬間に「なんだ、この感覚は?」ってな初体験セリフをもらしてるんですよね。クルーゼとの戦いで経験済みの兄ぃならそんな反応はしないと思うんですけど…どうなんでしょう?

どちらにしてもフラガ家関連かクローン同士特有の反応なのでしょうが、前作では今一つ切り込みきれなかった「クローン」「コーディネーター」「SEEDを持つ者」ネタは、このネオ&レイから切り込んでいくように思えます。


■アスラン=カガリ=ルナマリア

気になるのはルナマリア→アスランへの感情伏線。OPやら拘束シーンやらで妙にアスランに絡んできてます。さすがにここまでラブっぷりを煽っといてアスラン=カガリ破局とかは考えづらいので、あるとすればルナマリアが一方的に「アスランお兄たまってス・テ・キ」になるのかも。

とはいえ、らぶとは別次元の問題として、アスラン=カガリの相互依存しまくりな感が拭えません。理の部分でカガリはアスランに依存し、自我の部分でアスランはカガリに依存している。その関係がどうにかならない限りは、物語全体としても今一つ「強さ」を打ち出せません。いずれこの依存関係が解消され、その上で自立&別離して二人が戦争に臨むことは十分に考えられますから、その際にアスランとルナマリアが絡んでくるのかも。その辺りのアスラン&カガリ&ルナマリアの関係にも注目です。それ以上にルナマリアたんのミニスカ軍服にハァハァです。

その一方で残念だったのがアスラン正体バレ。もう少しネチネチ正体バレしつつ、最後にはアスラン自身の意志で「アスラン=ザラ」を名乗る。そんな展開の方が熱かったかな〜とか思えるのですが、2/50で全バレ、なのかなぁ?


■キラ=シン

キラとシンの関係も気になるところです。OPでシン=アスラン=キラの3人が1ショットで描かれたりフリーダムとインパルスが刃を交えていたりと関係伏線が描かれていますし、なによりキラとシンがソックリすぎて髪の色くらいしか違いがないw。クローンネタ確定なんでしょうか?過去に囚われたシンがザフトの一員として戦う中でキラと刃を交え…、とかありそうですけど、はてさて。キラはシンの間接的な仇でもあるわけですから、そこから直にバトらせることもありえますけど、もう少し捻ってキラ=シンの対比やシン成長物語に絡ませてほしいなぁ。


■MS

とりあえず戦闘シーンでのアニメーションはがんばってる印象があります。MSはよく動きますしスピード感も十分。3対1+雑魚の状況も、きっちり整理した上で乱戦模様が描けてます。MS3体独自の特徴はあまり出てませんでしたが、これから時間をかけて紹介してくれるでしょう。再認識しましたが、種の戦闘シーンはスピード感が感じられて好き。音楽もすごくあってますから、見てて燃え感情移入できます。ただ、どうにもミネルバが画面から浮き上がって不自然っていうか変に見える…



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第3話 〜 予兆の砲火 〜

■兄貴&3人組

最適化?ゆりかご?ラボ?前の?こっちの言うことを理解?あやしげな言葉が立て続けに兄ぃの口から飛び出ます。生体兵器っぽい感じですが、「ブロックワード」を使うと壊れることが判明。ってことはアウルやスティングにもブロックワードがあるのかな?

それ以上に意味深いのが「今はまだ、なにもかもが試作段階みたいなもんだ。船も、MSも、世界もな。やがて全てが本当に始まる時が来る。我らの名の下にね」な兄ぃのセリフ。

現状では均衡を保ちつつ腹の探り合いをしている連合とプラントですが、少なくとも連合サイドは再戦&コーディネーター駆逐する気満々。いつその時が来るのかにも注目が必要ですが、それ以上に「どのように」戦争の始まりを描くかも物語のテーマと深く関係してきそう。シンを見る限りでは「人の弱さ=過去に囚われて現実を受容できない弱さ」を描いてきていますから、そのあたりとリンクさせてくるのかもしれませんね。


■さすがキレイ事はアスハのお家芸だな!

3話目にしてようやくという感はありますけど、主人公シンがその存在感を強くアピール。今まで「ラッキースケベ」くらいしか主人公としての見せ場がなかった(?)のが嘘のよう。ただ、ここで見るべきは、やはりアスラン&カガリペアとの対比なんでしょうね。

力によって理不尽に肉親や友人の命を奪われたのは三人ともに共通。悲しい過去として心の底に刻みつつもそれを乗り越えて理想を目指しているカガリ。理想を目指してはいるけれども過去から逃げ出している感が強いアスラン。悲しい過去を正面切って見据えることができず憎しみの炎にその身を焦がすシン。アスラン&カガリとシンを対峙させることで、現状における彼らの強さと弱さを対比させていると見るのが自然な見方かと。

とは言え、人間誰しもアスランやカガリのような強さを持てるわけでなく(←アスランは弱さもありますけど)、むしろシンのように過去の怨讐に囚われてしまうのが人の性。アスランたちにしても、前作種の全50話を通して強さを身につけたのであり、最初から強かったわけではありません。そして、そんな経験を経てきたからこそ、強さとは己の身を以って学び取るものだということを知り尽くしています。エマージェンシーで流された感ばかりが目立ちますが、エマージェンシーがかからなかったとしても、アスラン&カガリからシンに向けてかけられる言葉はなかったのではないでしょうか。

ただ、アニメのテーマ的には過去の怨讐に囚われることを「仕方ない」と論じているだけでは何の希望も持てないアニメになるだけです。ここではアスランとシンをキッチリ対比させるくらいが限界でしょうが、最終的にはそんな人の持つ弱さを認めつつも主人公のシンを立ち直らせ、人が弱さと共にあわせ持つ強さの輝きを見せてくれることを希望。


名はその存在を示すものだ。ならばもし、それが偽りだったとしたら、それが偽りだとしたら、それはその存在そのものも偽り、ということになるのかな。アレックス、いや、アスラン=ザラ君

直訳すると「今のお前は自分を偽って逃げてるんだよ。さっさと目覚めやがれコンチクショー」。「アスラン=ザラ、セイバー、出る!」伏線キタ━(゚∀゚)━!ってことではないでしょうか。と同時に、先週のカガリうっかりバレが自発的な「アスラン=ザラ」名乗りに直結しなかったことに一安心。

カガリが用意したであろうアレックスという偽りの器に逃げこみ、依存しまくってアイデンティティーを失っているアスランの急所を突く一言です。前回のカガリによるウッカリバレといい今回の議長のネチネチバレといい、ちょっとタイミングが早い気はしますけど、アスランが自らの意志で「アスラン=ザラ」を名乗る地盤がガッチンガッチン固まっていきますね。どこぞの公共事業にもこのスピードを見習ってもらいたいもの。どこぞの公共事業にもこのスピードを見習ってもらいたいもんです。年末とか鬱陶しいことこの上なし。採算合わせにムダ金つかうくらいなら オレにくれ!立派に使い切ってやるから!! さぁ10億でも100億でも持ってk


げふんげふん、すんません


前作種で「あなたが優しいのはあなただからでしょう」のキーワードが明示されたのが第8話だったことを考えると、今回はサクサク話が進んでいきすぎの感もあるくらいです。アスランやカガリたちをさっさと自立させた後、そんなアスラン&カガリとシンを改めて対比させることでシンの弱さ克服につなげようという狙いはわかりますが、それにしてもこのままの密度が続くようでしたら話のボリュームがエラいことになる気が…。

前作種の段階で「等身大の個としてありのままの自他&現実を受容しよう」まで言い切っちゃったものを前提に、「ならば個として意識を解放できない弱さは悪なのか?」という部分にまで切り込むことで、より鮮烈に人の持つ強さを描こうとしているのが種運命というアニメだと言えます。そこまで突っ込むことを考えると、50話あってもギリギリ描けるかどうかなのはわかりますけど、それにしても密度濃いなぁ。各話に細かくちりばめられた伏線や、セリフ&シーン描写以外にも語りかけてくる物語の展開に注意を払ってキッチリお話読み込んでいけば、かなり楽しめるアニメになりそうです。

ただ、視聴者としては話のボリュームや密度的に本当に期待できそうなんですけど、監督さんを始めとする制作スタッフは大丈夫なんでしょうか。体もつんかなぁ…。アンチに叩かれまくって精神的にもヤバくなるだろうけど、とにかくがんばれ〜。ぐらすは応援してるぞ〜。(←超無責任)



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第4話 〜 星屑の戦場 〜

■MS&戦艦バトル

デコイを利用してのスピード感&戦略性ありありのバトル。MSがグリグリ動きます。艦同士にしても小惑星を巧みに利用して読み合いバトルを繰り広げていますが、ここまでのバトルアニメーションが序盤で見られるとは思ってなかったんで、嬉しい誤算。ぐらす的には、感情なさげな壊れステラたんがデコイ上を駆けまくり&絶叫しまくりなだけでおなかいっぱいですが。


■ネチネチネチネチ&イジメ

シンやルナマリアから「だからもう、MSには乗らない?」「オーブなんかにいる奴に、何もわかってないんだから」といった精神的なイジメを受けたアスランですが(←さりげに凹まされてますし)、そんな溜めをこまめに描きながらも「アスラン=ザラ自発的復帰工事」は計画通りに進行中。

工事の進行役はデュランダル議長。ネチネチ言い回しとネチネチ期待表情でアリ地獄のようにアスランを引きずり込もうとしてます。前回の「オーブの方々にもブリッジに入って頂きたい」「歴戦の勇者の視点からこの艦の戦いを見て頂こうと思ってね」といい、今回のもどかしげな表情のアスランに向けた期待感たっぷりの議長目線や「この艦にはもうMSはないのか」といい、そんなに「アスラン=ザラ、セイバー、出る!」って言ってほしいのか?そんなにアスラン=ザラ萌えだと言うのか? 種のテーマは略奪男色愛だ!凸×凸マンセー!!!とでも言いたいのか? アスランもアスランですわ。艦のピンチになるともどかしげな表情しつつ「デコイだ!」とか「艦を小惑星から離してください」とかノリノリだし。オマイもそんなに議長に尻のアナほr

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今回のアスラン=ザラ自発的復帰工事はは自分から戦闘に口出しした程度で終わりましたが、そこまで進んだということは、来週か再来週くらいにはアスラン自らの意志で「アスラン=ザラ」を名乗りMSを発進させる燃えシーンが見られるかも。ここでイジめられた分、きっちりおじたまの強さを見せつけてほしい限りです。


■ギルが乗ってるんだ、絶対やらせるもんか

え〜とCM明けなんですけど、レイがこんなこと言って白いボーズ君を発進させてるんですよね。ザフト全員が議長のことを「ギル」って愛称で呼んでるなら何の問題もないのですが、レイだけが議長のことを「ギル」ってな愛称で呼ぶようでしたらちょっとオモシロ。レイって単にフラガ家orクローン関係ってだけじゃなく、議長とも深い関係(←凸×凸ではない)があるんでしょうか。それとも議長がクローン全体と深い関係にあるのか。ナゾ


■ぐらすの主張

ルナマリアたんのピンクなミニスカ軍服にハァハァ

ピンク

ミニスカ


軍服


ハァハァ


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

それにしてもD議長がね…。アスラン応援目線で見てると「D議長うまいなぁ」くらいなもんなんですけど、政治目線で見た場合、現状ではあそこまで強く「アスラン=ザラ」の復帰にこだわる必然性は薄いはず。「アスラン=ザラ」抜きでもプラント復興は順調に進めることができているのですから。たんに「おもしろそうだから復帰させてみよっかな」程度でしたら問題ないんですけど、そこに意味があった場合がコワい…。で、種の脚本・構成はそんな部分にも意味を持たせて長期的な伏線張ってくるからコワい…。プラント復興以外で「アスラン=ザラ」のカリスマ性を利用できるフィールド。そんなもん一つしかありませんがな…。

平和状態でそんな下準備をコツコツ展開中のD議長。アズラエル/パトリッククラスなのかクルーゼクラスなのかはわかりませんけど、そこはかとなくボスクラスの匂いが漂い始めた第4話…かも?



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第5話 〜 癒えぬ傷跡 〜

■アスラン=ザラ、出る!

タ「ギルバート、イキまーすっ!………(;´Д`)ハァハァ」
ギ「タ、タリア、出るっ!………(;´Д`)ハァハァ」。

そんなあだるてぃ〜ベッドシーン(事後)から始まった今回の種運命。初っ端で見せつけられたのは、デュランダル議長の大人の余裕とタリア艦長の半ケツだったわけですが、議長が凸×凹好きな正常人間で一安心。ネット上では裸叩きが行われていますが、事後シーンなんてものは理解できる青少年には害があるわけもなく、理解できない幼児にも害があるわけでもありません。汁やらビーチクやらどころか乳すら出しとらんのに…。あれか?タニア艦長が議長とやりまくりだったことにチェリーボーイなヲタが嫉妬してるのか?それともタニア艦長のぷりケツが魅力的でないと怒ってるのか?冷静なご意見キボンヌ。

とまぁそんなことはどうでもいいのですが、今回特に見せ場はだったのは、なんと言ってもこのセリフ。わかっていたとは言え、やはり燃えます。「ウォ━(゚∀゚)━キタ━(゚∀゚)━。熱いよ〜、あんまり熱くてヤケドしそうだよ〜、助けてマミー!」状態です。

これまでシンを始めとする若者パワーに押されつつ、そんな彼らに過去の自分を重ねあわせながらも傍観者として甘んじていたアスランおじたま。けれども、他人が入り込む余地のない部分で苦しむシンの言葉を受けて代表としても個人としても自らの無力さを感じ嘆いているカガリを慮り、言ってわからぬならば我が生き様を見よ!そして知れ!!!とばかりに吠えるアスランおじたま。この台詞だけでもうおなかいっぱいです。(←逆にカガリはアスランに依存しまくりです)

議長のネチネチアタックやミネルバクルーとの対比(っていうかイジメ)を通じて復帰の過程を丁寧に描き、とどめにアスランの回想を挿入しておいたからこそ(←回想王の称号はダテじゃない!)、再び等身大の「個」として自分を捉えられるようになったアスランの強さが際立つのですが、この辺りのわかりやすい種的燃え展開がたまりません。↓↑のマジックってところですね。

ただし、アスランには自分の意志でアスラン=ザラを名乗る以外にもいくつかしなければならないことがあるわけで、それがカガリへの依存をやめて自立することなわけで。ここまで5話かけてクドいくらいにアスラン=カガリの相互依存を描いてきたのが種運命。極論を言ってしまえば、アスランがオーブを離れないかぎりは完全に自立できたとは言えません。また、ありのままの自分を受け入れることについても、前作最終話で死を選びかねないほどに思いつめていたパトリックトラウマは健在のはず。未だそこかしこで回想しまくっていますから、完全に過去を受け入れたとも思えません。

そういう意味では、真の強さを身につけれていないのがアスランの現状かと。これからの展開の中で徐々に強さを身につけていくのでしょうが(キラ=旧友との再会イベントなんかはお約束ですけど)、現状の強さは中途半端なのですから、ここは一旦ボコられると見ていいと思います。そう考えるとこのくらいで燃えてちゃいかんのかも。ごめんよマミー、やっぱ助けはいらないや。

ってなわけで、しばらくは若いもんにバカにされ続けるアスランおじたまとカガリ姫が見られるかもしれませんが、そんな展開もありかと思われ。まぁ長期的に伏線はって成長を描いていくのが種なんで、マターリ待ってみましょう。


■各勢力の動向

現状ではミネルバvsボギー1の小競り合いに焦点が向いていますから詳細は不明なんですけど、判明している部分の整理です。

★国家レベル
・ プラント:::::デュランダル議長がトップ。平和路線の割に新MS作りすぎ
・ 地球連合:::::ジブリール君がトップ?ブルコスは暗躍してるものの連合全体の方向性は不明
・ オーブ:::::カガリ姫が代表。「キレイ事はアスハのお家芸だな」路線
★部隊&個人レベル
・ コロニー落し実行犯:::::ザフト軍の軍服着用
・ 子安仮面&ボギー1:::::地球連合の軍服着用。ファントムペインと呼ばれてる
・ 新3人衆:::::遺伝子改造というよりも生体兵器系?
・ ジュール隊:::::ユニウス7に展開中。イザーク白服/ディアッカ緑服w
・ デュランダル議長:::::完璧超人。でも深読みすると怪しさ満開
・ ジブリール君:::::ブルコス盟主。悪巧みしてそう。一部で八頭身パタリロと人気
・ ロゴス:::::ED配役にて初登場。ブルコスの中核?
・ キラ&ラクス:::::隠遁生活中。アイキャッチのラクスが「セーラー服着た女子大生」みたい
こんな感じ。「ファントムペインにユニウス7の様子を探らせる」というブルコスのセリフや軍服&MSを見る限りでは、コロニー落しの真犯人はザフト内部の強硬派っぽいですね。ただ、ブルコス会合でのジブリール君を見る限りでは、悪巧みしてる感がありあり。お約束だと、ジブリール君が裏から手を回して連合憎しの一部ザフト兵を煽りコーディネーター叩きの要因を作ろうとしてる、ってところなんでしょうが、はてさてどんなものやら。

それにしても、ロゴスって「ロゴス/パトス」のロゴス(理性)なんでしょうか?そんなものを自称する狂信的煽動集団ってどうなんでしょ。「民主主義、いいですね」とか言いながら独断暴走しまくるどこぞの総理大臣みたいだ。


■深読み予想 (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

何度か書きましたけど、前作のメインテーマであった「等身大の個としてありのままの自他&現実を受容しましょう」的な訴えに、新しく「ならば受容できない弱さは悪なのか」的な問題提起を追加してきたのが今回の種運命です。その目線で考えると、今回のユニウス7落しの実行犯には、憎しみという殻に閉じこもって等身大ではない自我を振りかざすザフト兵を犯人を持ってきそうな予感。そうすることで、どうしようもない苦しみと人の弱さを描くんじゃなかろうかと思えます。

そこに、ありのままの自分を再度受容し始めたものの過去に囚われ相互依存からも脱却できていないアスランおじたまを絡ませることで、完全には枠組みから意識を解放できていないアスランの弱さをクローズアップ。さらにそんなアスランに一旦ボコられてもらうことで、彼らの苦しみや弱さをある意味で当たり前のものだと認めてくるのではないでしょうか。

ここで一旦「人の弱さ」を認めた上で、新旧主人公を対比させつつ各人の成長を描き、中盤すぎてから「強さの輝き」を見せつける。弱さを踏まえた上で強さを訴え、最終的にはクローンやら人種差別やらいう「枠組」をバッサリバッサリ切っていく。それが種運命のメインストーリーになるんじゃなかろうかと妄想してみます。違っても怒らないでね。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第6話 〜 世界の終わる時 〜

■シン→アスラン理解&尊敬

デュランダル議長による登場人物目線での状況整理。ルナマリアとステラの激烈女バトル。地上の混乱やキラ&ラクスの現状報告。前半ではソツのない状況報告的なサイドストーリーが描かれましたが、メインストーリー上の見せ場はなんと言っても後半に入ってから。

ショボクレオヤジが昔の武勇伝に華咲かせるはずの同窓会の場で、若いもんを尻目に暴れ散らす元クルーゼ隊3人。さすが武闘派。さらに「今は俺が隊長だ。命令するな。民間人がぁぁ!」「グゥレイトォッ!」と吠えるあたり、イザークもディアッカもお約束ってものがわかってきたようです。白イザークと緑ディアッカのコントラストが哀愁漂わせますけど。

そんな武闘派ヤンキー崩れな3人組を見て「あれが、ヤキン・ドゥーエを生き残ったパイロットの力かよ」とビビるシン。アスランの「言ってわからぬならば我が生き様を見よ!そして知れ!」な無言メッセージは無事シンの心に届いたようで、シンも「あなたみたいな人が何でオーブになんか…」と素直になれたみたいです。アスランも多少なりとも出動した甲斐があったというもの。言葉よりも背中で語るオヤジ像は現実もCEも同じのよう。カガリに対しては変わらず「怒」なんでしょうけど、アスランに対しては尊敬&背中追っかけ路線をたどることになりそうですね。


■人の持つどうしようもない「弱さ」発動

とは言え、やはりと言うかなんと言うか、まだ中途半端な強さしか持ち合わせていないアスランとシンは、強硬路線なザフト兵に一発かまされて撃沈。ストーリーの基本方向どおり、ここでは「人が持つどうしようもない弱さ」に軍配が上がった格好です。

さりげにぶっちゃけますと、ここでアスランに超活躍でもされちゃった日にゃ、アスラン一時凹られる論者としての立場がなくなってしまうので、今までの中で一番真剣に種視聴。「アスラン負けろ〜やられろ〜このクソぼんぼんがぁ〜」状態で、まさに「枠組に囚われて等身大の自他&現実を許容できない大人の弱さ」全開(←超みっともない)。

ただ、難を言うと、強硬派ザフト兵の怨讐=どうしようもない苦しみとそこに逃げ込む弱さの描写が少し弱かったような…。アスランたちのやられっぷりにしても一応パトリックトラウマや妹トラウマが回想シーンとして挿入されましたけど、アスラン都心が現状で持つ弱さをもう少しわかりやすく描いてほしかったような…。

第1クールの意味を考えた場合、「人の持つどうしようもない弱さ」を一旦認めた上で、主人公サイドの弱さや葛藤を描いておくことが必要になります。そのあたりを丁寧且つ強烈にアピールしておかないと、後から持ってくる「それでも強く在りましょう」的なメッセージのインパクトが薄まってしまう可能性があります。上を見ればの話になりますが、ストーリー全体のわかりやすさと今後のアスラン&シン復権シーンの燃え度を考えて、そのあたりにもうピコミリ重さを置いてほしかったです。(別に「悪い」と言うほどのレベルではありませんが)


■ステラ観察日記

ルナマリアたんとの女の戦いPart2ではステラたんが見事に勝利。ぐらすも一度巻き込まれたことがありますけど、男性が考える以上に血みどろで、女性が考える以上にホント怖く見えるのが女性同士の争い。おかげで一時強烈な人間&女性不振になったことがありますが、思い出すだけで(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル ((((

それはともかくとしても、撤退信号を見た瞬間のステラたんがホッと安堵しまくりまくります。戦闘中の壊れっぷりと戦闘終了時に見せる安堵しまくりな表情との差があまりに強いですねぇ。このあたりを切り口にステラの内面に切り込んでいくんでしょうか。


■キラ観察日記

【最初は椅子に座って事態を静観→ふと椅子を見るといなくなっている→立ち上がって視線を宙に向けるキラ→言葉を発しかけた所で来週へ】

口元だけで心境を表しているのでしょうが、その演出方法がうまい。なにせ「語りかけて翌週へ」です。古典的な手法ですが、語りかけ状態を引っ張った上に発する一言ってものすごく重いんですよね。この場合は真の物語の始まりを意味しているのでしょうから、おそらく来週にはその口から言葉が発されて、真の物語がスタートするかと。

加えて、地味に秀逸なのがこの話のタイトル。話の内容的には物語の『始まり』でありつつ、タイトル的には世界の『終わる』時。兄ぃも言っていたように、「試作段階の世界」は終わりました。真の世界創造に向けて両陣営が動き出す中で、主人公たちはどのような強さの煌きを見せてくれるのでしょう。映像、セリフ、タイトル、そして今まで細かに張っておいた伏線…。その全てをフルに活用しまくって宣言する真の物語の始まり。いいよ〜、いいヒキだよ〜。刮目して待て!



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第7話 〜 混迷の大地 〜

一家に一人、ラクスがほしいぐらすです。こんにちわ。今週の種運命7話ですが、あちらこちらに伏線だらけ。全部拾いきれるか自信ないっすよ。よっぽど「脚本・構成がクソ」ってな批判がトサカに来てるのか、異常なまでに濃い話の密度。でも、密にすればするほど話の内容を回収しきれない人が出るわけで、それがまたしても「構成がクソ」という評価に変わるわけで。丁寧に趣向を凝らせば凝らすほど評価されない構成ってのもカワイソだ…。


■ユニウス7爆砕

歌姫ラクスの切ない歌声が響き渡る中でユニウス7が爆砕飛散。サトーの復讐はより多くの復讐を呼んだようで、これから終わりのない復讐戦争がスタートするんでしょうね。その復讐の連鎖にどうケリをつけるのかは先々の楽しみにとっておきますが、とりあえず今回の見所はシン→アスラン理解かと。

理解というか、シンはカガリ以上にアスランの苦しみを理解してしまったようで、そのわかりあい度はある意味「らぶ」そのもの。やばいっす!男色っすよ! 「やらないか」の一言で全てをわかりあえる「やまじゅんワールド」寸前っすよ!ん、待てよ?ってことはOPの人間関係描写はシン=アスラン=キラがともだちんこで、それに切れた女性陣が銃を向けてるってこt

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これまでの流れを踏まえると、アスランはシンにとって「一歩先を行く先導人」的な存在だといえます。シンはそんなアスランおじたまの背中を追いかけ、アスランはより先にある苦悩と相対していく。二人の関係をそう描くことで互いの成長を深めていこうとしているのでしょうが、今回のお話で「先導人」たるアスランからシンに投げかけられた疑問は「敵ってだれだよ…」。前作の「何と戦わなければならないのか」をなぞる問いに、今作も同じテーマを追いかけている感が強く感じられ、良い感じ。

加えて、6話で描写されたパトリックトラウマを見る限り、アスランも完全に答えを持っているわけではなさそうです。前作ではキーワード扱いだった問いが序盤に提示されたこともそうですが、解を持ちえぬ二人をメインに持ってくることで、より重層的に解を描こうとしているのではないでしょうか。新旧登場人物を対比させつつスパイラル的に成長させていく種運命。人物描写を読み解く上では、この「対比」というの一つのポイントになってきそうですね。


■カガリ株暴落?

そんなアスラン=シンの対比描写を背に、地球上の被害そこのけどころか「ルナマリアそこどけ!」でアスランの無事だけをはしゃぐカガリ。そりゃアスランも引きします。それ以上に視聴者がドン引きですが…。

結局、アスランはカガリ以上に理解を示してくれるミネルバクルーと仲良くなり、カガリは一人でハミゴ状態。さらに、シンが「なんでです?そこで何をしてるんです、あなたは?」と二人の馴れ合いに突っ込みいれつつ、その後にラクスの「嵐が来るのですね」発言が覆いかぶさるもんだから、アスラン=カガリ関係にも嵐が来る模様。ってことで、オーブに戻る来週あたりにアスラン→カガリ依存解消が行われつつ、カガリ成長物語がスタートすると見て良いのでしょう。アスランのラブリー彼女としてどう依存から脱却するのか。オーブ代表という公人としてどう戦争を収束に向かわせるか。そのあたりに注目です。

とは言え、カガリのDQNっぷりが全面的に許されるっていう話でもないんですよね。カガリの長所は「平和や生にどこまでも拘れる前向きな意志の強さ」だと思いますけど、今回の序盤ではそんな彼女の良さはあまりにアピールされなさすぎ。序盤の段階でここまで凹み部分ばかりを描いてしまうと、種の↓↑構成に慣れている視聴者ならともかくとしても、普通に見てる視聴者的には「ダメキャラ」としか見れなくなっちゃう危険性ありあり。公人としてのカガリ成長物語を描こうとする狙いもわかりますけど、彼女の長所短所の描写についてもう少しバランスを考えてほしいと願う次第です。


■デュランダル議長の思惑 〜ラクツー、出ますわ♪!〜

噂のラクツーが遂にお披露目。デュランダル議長も明らかに悪巧み路線です。初手は「被災したナチュラルを支援して恩を売る」でしたが、次手はどう打ってくるのでしょうか。少なくとも例の写真バレ→再び戦争の流れは読んでいるのでしょうが、ラクツー(=クローン?)を用意しておくあたり、だいぶ前からこの事態を想定していたのは明らかかと。無難な所では「ラクスのカリスマ性を利用してプラントをまとめ上げ、連合と戦わせる」ってところでしょうが、そこまで考えてたってことは下手をすればユニウス7落しにも1〜2枚噛んでいるのかも?


■ルナマリア&ステラ観察日記

彼氏彼女がほんのわずかなすれ違いからギクシャク→そのすき間に新しい女が割り込む。お約束ですが、ちょっとオモシロ。そしてそれ以上にオモシロなのがステラです。

「死ぬの?みんな死ぬの?」とチョイ壊れ気味なステラですが、彼女の現状での生への拘りって、妙に消極的なんですよね。「生きたい」って言うよりも「死にたくない」って感じ。だからこそ「死」そのものに異常に敏感になっている様子が今回の壊れステラからは感じられました。そんな消極的な「死」への恐怖を、いかにして積極的な「生」への願望に変えるか。当面は主人公サイドの成長物語を描いていくのでしょうが、そんなステラの変容も物語に深く関わってきそうな気がしてなりません。要チェキ。


■「嵐が来るのですね」「うん、わかってる」

先週に引き続き、あらゆる意味での引きの美しさに感服つかまつりました。タメにタメた上で発されたセリフが、「嵐が来るのですね」「うん、わかってる」な婉曲話法。オモイヨー、トンデモナクオモイヨー。ヤバイっす、凄すぎるっす、この引き。ビジュアル的にもそうですが、タイトル的にも前回と同じように意味を持たせ、アスラン=カガリを中心とした人間関係の荒れ模様と開戦前の混沌とした世界観を言い含み。うまいなぁ。ってことは、来週の「ジャンクション」もそういうことなんだろうなぁ。6話からこっち、序章の終わりを時間をかけて丁寧に描いてますけど、タイトル的にみると来週がそのクライマックスっぽい感じ。楽しみだ〜♪


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

ラクツーを擁するデュランダル議長。深読みするとものすごく興味深い前フリです。ラクス=クラインってのは、プラント国民にとっては精神性の象徴みたいなものですから、議長は彼女のカリスマ性を利用しようと考えているのでしょう。ただし、それが復興に向けてがんばっている国民を励ます的な平和的な目的であれば、ラクス本人に頼めばいいお話なんですよね。喜んで協力するでしょうし。それをしない(=できない?)ってことは、悪巧み路線な狙いがあると考えても良いのではないでしょうか。

「アスラン=ザラ」復帰についてもそのカリスマ性を利用したがっているように見えるのですが、「大戦の英雄」なんてもののカリスマ性を利用できるフィールドなんて「戦争」以外考えづらいんですよね。そのあたりを合わせて考えると、議長はプラントvs連合の本格的な再戦争を狙って動いている、と見ていいのかも。そうなると、弱さを垣間見せているジブリール君(=他のロゴスメンバーを嫌ってるっぽい)よりも、完璧超人すぎるデュランダル議長の方からラスボス臭が漂ってきます。

では、仮に議長ガラスボスだった場合、その動機はなんなのか。私的にはですが、そのあたりに突っ込む鍵がラクツーやレイなどの「クローン」なんじゃなかろ〜かと思えてなりません。種のテーマ的に考えると、歪んだ「枠組」を啓蒙する人間こそがラスボスになるはずです。その「枠組」を「クローン=人工進化」と考えると…。

まぁ、最後のは超妄想ですけど、そんな目線もありかな〜とか思いつつ、しばらくマターリお話見ときます。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第8話 〜 ジャンクション 〜

ネタふりや伏線張りまくりで密度濃すぎな第7話までを終えて、ワンクションを置いてきて第8話。オーブ閣議をうまく使って状況整理をしながらカガリ成長物語をスタートさせ、その一方ではアスラン自立を描写、最後の引きでキラ=シンの対比を描いた話の構成はスッキリ簡潔。わかりやすくて良い感じです。ただ、そんな中にも見所はもりだくさん。序章の終わりとなるであろう第8話。注目です。


■カガリ=ユラ=アスハ成長物語スタート

おボンボンな許婚や部族首長の思惑が絡み合う中、現実と理想のギャップに苦しむカガリ。閣議の中で状況をわかりやすい言葉に変換して全体的な世界情勢を整理しつつ、国家元首としてアスランの恋人として、自立できずに流されるばかりのカガリの「弱さ」がありありと描かれましたね。ただ違うのは、これまで弱さを補完すると同時に逃げ道となっていたアスランという依存相手がプラント本国に戻るということ。カガリが一人で現実に直面しなければならない状況に追いやられたわけですが、弱さが洗い出された上で依存相手がいなくなったってことは、カガリ自立復興工事が着工手続きを全て終え、本格工事に向けて動き始めたということでしょう。

オーブ代表という公人として、アスランの恋人として、カガリはどう成長していくのか。これも本編の見所の一つになりそう。ってことで、これからおボンボンたちにエロセクハラ許婚アタックを受けるであろうカガリたん。そのことを考えるとあらゆる意味でワクワクします。ムラムラはしちゃいけません


■アスラン=ザラ自立完了

カガリ成長物語がスタートしたと同時に、アスラン→カガリの依存解消は静かに終わりを告げました。ポイントはやはりキラとの会話でしたね。

【【 アスラン=キラの会話 】】
・あの時、俺聞いたよな。やっぱりこのオーブで…。
・「俺達は本当は何とどう戦わなきゃならなかったんだ」って
・そしたらお前言ったよな。
・「それもみんなで一緒に探せばいい」って
・でも…やっぱりまだ、見つからない…
(↑パトリックトラウマに囚われまくりなアスラン)
・直後に過去に囚われて寝付くこともできないでいるシンにカメラ移動
(↑シンもまたその答えを持ちえぬことを描写)

【【 朝のカガリ邸 】】
・個人としてのカガリが、カガリらしく理想を吠える。
・そのセリフに背中を押されたアスランは遂に決断。

【【 アスラン依存解消工事完了 】】
・自分にとって真の戦いとはなんなのか。
・ありのままの現実の中でプラント国民と共に模索していく道を選んだアスラン。
・そんなアスランにとって名などどちらでも良かったわけで。
・「アスランとしてでもアレックスとしてでも」かまわなかったわけで。
・自立とは別次元のお話として、アスランとカガリの「ラブ」を追記。

燃え〜&萌え〜!!!!!

正直、甘く見てましたよ…。まさか「アスラン=ザラ」の名すらもありのままの「彼」にとってはどうでもいいってオチを持ってくるとは…。とにもかくにも、カガリへの依存を解消して過去に向き合う決意を固めた以上は、あとはプラント国民と共にトラウマ解消へ一直線にひた走るだけです(←それが鬼難しいのですが、それこそが種運命でアスランに与えられた課題かと)。ってことで、今静かに「アスラン=ザラ、セイバー、出る!」カウントダウン開始〜♪


■前作キャラ懐古

マリューさん、虎、マードック曹長と、前作キャラがボチボチ顔見せを始めています。種運命序盤の視聴ポイントは前作キャラと今作キャラの対比と言えますが、そういう意味で最も見せ場になったのはマリューさん=タリア艦長の会話イベント。機密保持を訴えるアーサーに対して、たとえ罪に問われようとも艦とクルーの安全こそが第一だと説くタリア。そんなタリアを後押しするかのようにマリューさん&マードック登場。今回のポイントは「先の事はわからない」。

先の事はわからない。ミネルバの現状だけを以ってそう訴えるタリアに対し、経験者としての過去を暗に踏まえつつ「先のことはわからない」「今をもって信じたことをするしかないですから」「後で間違いだとわかったら、その時はその時で泣いて怒って、そしたらまた、次を探します」と重みたっぷりで受け答えするマリューさん。さすが大戦の英雄。言葉の重みが違います。それでも胸のほうが重そうですが。

ここで経験者であるマリューさんとタリア艦長を対比させたってことは、本当の意味で未来に立ち向かうことを知らないタリア艦長の未成熟な部分(ボデーは別)をアピールしていると見ていいんでしょう。ということは、これから先の話の中でタリア艦長が自らの未成熟さゆえに窮地に追い詰められることをネタふりしていると思われ。本線としては、デュランダル議長にポイ捨て/利用される未来を暗示しているんでしょうが、そうなるとデュランダル議長とのあだるてぃ〜シーンも無関係じゃないんだろうな…。


■キラ=シン新旧主人公、初邂逅の巻

夕暮れのオーブ。キラと連合が刃を交えた地。シンの家族が死んだ地。そこで「あの日」を思い、声なく嗚咽するシン。

携帯電話からのマユの声と回想される死の瞬間が、どうしようもないシンの悲しみを切々と伝える中、慰霊碑に思いを馳せつつ夕闇の海辺にたたずむキラの姿がシンの目に映る。

キラの肩からトリィが羽ばたいたその時、新旧主人公の会話が始まる…。

※ 前作からそうですが、トリィは「カテゴリーからの意識の解放」を象徴しています。そんなトlリィが逃げ出したってことだけでも意味深ですね。

・ シン: 慰霊碑、ですか?
・ キラ: うん、そうみたいだね。
・ キラ: よくは知らないんだ、僕もここへは初めてだから。自分でちゃんと来るのは。
・ キラ: せっかく花が咲いたのに、波をかぶったから、また枯れちゃうね。
・ (( 歌いながらラクス登場 ))

・ シン: ごまかせないってことかな。
・ シン: いくらきれいに花が咲いても、人はまた吹き飛ばすっ…
・ (↑クルーゼ再現! キラvsクルーゼ再び!! 激熱!!!)

・ キラ: 君?
・ (( ラクスが歌うのを中断 ))
・ シン: すいません、変なこと言って

・ (( 慰霊碑と添えられた花、そしてキラとラクスに背を向けて歩き出すシン ))
・ (( それでも花を添えるラクス ))

今まで明示されることのなかったシンの価値観を訴えつつ、それがキラ&ラクスとは決定的に相反することを描写した上で、余韻を残しつつEDへ。キラ&ラクスに背を向けるシンの描写と、それでも花を添えるラクスの対比が美しすぎてたまりません。カンベンしてください。キレイすぎです。ウマ━(゚∀゚)━すぎです。特にここ数話は神がかってるなぁ。


■ジャンクション
□1: 連結。接合。
□2: 高速道路などの合流地点。また、その地点で相互に連結する立体交差部分。

主要キャラが顔を揃え、それぞれのスタートラインに立った第8話
互いの物語が目に見えぬ部分で交差する姿はをまさしくジャンクション

人という種が生まれ持った運命に揺れながらも
運命に負けることなく力強く戦う少年達の物語

機動戦士ガンダムSEED-DESTINY

今、開演です!!!!!

というわけで、物語的には第8話を以って序章終了。いよいよ本番突入ですが、そのあたりの展開をわずか一言で表現してしまう今回のタイトル「ジャンクション」。地味カッチョよすぎ〜♪



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第9話 〜 驕れる牙 〜

前回のお話が序章の終わりであるならば、今回のお話は本章の始まり。当然ですが「戦争が始まった」感を強くアピールしてきました。量産機大量投入萌えな人たちにとってはたまらないシーンもチラホラ。そして、戦争が始まったことを受けて「作中悪」の描写も本格的にスタート。人物描写的には大きな進展はありませんでしたが、話全体を見る上では議長やロゴスを中心にした興味深いお話ではないでしょうか。


■黒?

あのねあのね、議長が黒いんです。ややこしい立場にいるアスランのザフト復帰を望んだり、ラクツーを用意したりと、これまでの議長にも怪しい部分はありましたが、今回のプラント会議によって、より一層ブラックっぽくなっちまいました。

あの会議。他の議員は「いかにして戦争を回避するか(理想)」と「開戦は避けようがないから防衛モードを発動すべし(現実)」の二つの方向性について議論していました。話をまとめた議長も、「防衛体制は取りつつも話し合いを続ける」と一見まともな折衷案出しています。ただ、あの一言だけは言っちゃいけないんですよ。「血のバレンタイン」だけは。他の議員から出た理想論と現実論は、どちらにしても「戦争は回避したい」という前提での論説です。けれども、「血のバレンタイン」はプラント国民の悲しい過去の象徴。それを思い出す=再び過去に囚われるということは「もう一度地球連合を滅ぼすまで戦争してやる」路線を進むことに他なりません。

つまり議長は、理想論と現実論の折衷案を出しているように見せかけて、実は議論の前提を無視して「過去を思い出して戦争して地球連合ぶっ潰した方が良いんじゃねぇの」と別の方向性を示唆しちゃったんですよ。まだ「〜と考える人もいるだろう」的に遠まわしですけど、内容的には論点のすり替えなんですよね。怪しさ大爆発です。

その一方でアスランは、プラント国民を過去から解放して未来へ向かわせるための戦いに身を投じようとしています。過去を受け止める強さを求めるアスラン(とその背を追いかけるシン)vsプラント国民を過去に呪縛させ続けようと謀るデュランダル議長。戦いの構図も少しずつ見えてきたのではないでしょうか。


■ロゴス

5話あたりからチョコチョコ描かれてきましたが、地球側のヒステリックな反応の陰にロゴスの存在があることが明示されました。ジブリール君はもって回った言い方しましたけど、要するにその狙いは「世界征服」。ジャイアニズム全開な「世界の全てはオレのものだ。邪魔なプラントぶっ潰す」路線です。

テーマ的に追いかけると、ロゴスの策略は今回デュランダル議長がやってくれたのと同じ「すり替え」に他なりません。ユニウス7落しに対する地球側市民の反応は、本来ならば「責任追及すべし」路線であるはず。ところがロゴスは、地球市民の心の奥底で眠る「コーディネーター憎し」の思いを刺激することで、「コーディネーター殲滅すべし」路線へと意図的なすり替えを行ってしまったわけです。

そういう意味で、今回描かれた議長とロゴスの黒さは「すり替えによって歪んだ枠組を啓蒙する行為」そのもの。ラスボスっぽさでは議長が一枚上手ですが、種世界のテーマから考えるとどちらも黒。徐々にではありますが、作中悪への切込みが始まった感じですね。


■シンが戦う動機

前回に引き続き、今回のお話でもシンの本音がピコミリ露出。ポイントは開戦したことを聞いた時の「開戦!?そんな…」という反応。地球連合全体への復讐を誓っているのなら、開戦=喜びのはず。そうでなく驚きで捉えているということは、戦争はシンの本意ではないのでしょう。ってことは、シンの本意は「オーブも連合も嫌いだからプラントへ移住」&「自分の家族と同じ悲劇を起こしたくないから現実見据えて自衛のために軍入隊」&「あの時MS動かしてバトってた奴(キラ)に復讐してやるってところでしょうか。

ただ、回想シーンやカガリへの怒りを見ればニュアンスは伝わってくるのですが、ハッキリとした言葉でシンの動機が明示されることがないんですよね。意図的に明示していないのかもしれませんけど、少しわかりづらい気もします。開戦が一つの契機になりえますから、タイミング的にはそろそろ明らかにされてもよさそうなもんですが…。


■アンドリュー=バルトフェルド

:::::ヤキン・ドゥーエの戦いの後にオーブに移り、その身を隠している。
:::::コーヒーを深く愛する男。愛称はアンディ。(公式HPから抜粋)

愛してるのはコーヒーだけなのか!?兄ぃに言いつけてやるぅ!!!


■深読みしすぎ(・A・)イクナイ!

どうでもいい話ですが、タイトル深読みしすぎて「イザークかディアッカ死ぬんか!?」とかマジ焦りしちゃいましたよ。調子にのって連合のMS撃墜してるシーンなんか、いかにも「驕れる」感があってビビりまくり。

  い、いかんイザーク。そのセリフと動きは…死ぬ感じだ! (c)ケロロ軍曹

みたいな。


■次回予告

▽ 怒れるプラント。それは奇妙な既視感。
▽ 繰り返すのが歴史というならば、今、己の立つここは。
▽ 目の前にあるのは、今度こそ、願う場所への道か。
▽ 次回、機動戦士ガンダムSEED-DESTINY
▽ 父の呪縛
▽ 新たな世界に、目覚めよセイバー!

アスラン目線で見てたら次回予告がツボに入っちゃいました。願う未来、至る道。今度こそ。間違えず。今度こそ!今度こそ!!!

そして、その横で静かにセイバー出陣のカウントダウンも進行中。10話か11話かわかりませんが、激燃えの予感。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第10話 〜 父の呪縛 〜

8話以降、セイバー出陣前夜祭モードが続く種運命。今週はウマ━(゚∀゚)━だらけ。


■セイバー発進前夜祭 〜祭りだワッショイ♪〜

前作34話とそっくりさんな構図を用いてのキャラ描写確認とテーマ整理。なにはなくともウマ━(゚∀゚)━です。

▼前作&今作の基調テーマ確認

▽カテゴリーや殻に閉じこもって現実否定する愚かさをバッサリ
 ・ 「自分達は間違っていない、なぜなら、ザラ議長もそう言ってただろう、とね」
 ・ 「たとえ誰の息子であったとしても〜君自身にそんなものはなにもないんだ」

▽土壇場でものを言うのは「個」の意志だと熱く理想吠え
 ・ 「今こうして〜ならばそれだけで良い」
 ・ 「だが、うれしいことだよ〜一人一人のそういう気持ちが、必ずや世界を救う」

▽防衛≠戦争を確認
 ・ 「今はお気持ちを静めてください」
 ・ 「怒りにかられ思いを叫べば、それはまた新たな戦いを呼ぶものとなります」

▽思いと力を併せ持つことが大切
 ・ 「思惑が複雑に絡み合う中では、願うとおりに事を運ぶのも容易ではない」
 ・ 「戦争は避けたい〜一方的に滅ぼされるわけにもいかない」
 ・ 「そんな時のために、君にも力のある存在でいてほしいんだよ、私は」
 ・ 「そうするには力が必要だろう、残念ながら」
 ・ 「君にできること、君が望むこと。それは君自身が一番よく知っているはずだ」

▼アスラン立ち位置&前作オチ&今作切込み口確認

 ・ 「オレは、オレはアスラン=ザラです!〜あのパトリックの息子です!」
 ・ 「なのに父の言葉が、またこんな。もう絶対繰り返してはいけないんだ、あんな…!」
 ・ 「父の言葉を正しいと信じて〜間違いと気づいても何一つとめられず、全てを失って…」
 ・ (=個の思いだけでは「人」を救えず世界も平和たりえなかった、という前作オチを確認)
 ・ 「なのに父の言葉が、またこんな・・・!もう絶対繰り返してはいけないんだ、あんな…! 」

▼今作で描かれるであろう「人が持つ弱さ」を確認

 ・ 「ザラ議長とて〜より良い世界を作ろうとしてのことだろう」
 ・ 「思いがあっても、結果として間違ってしまう人はたくさんいる」
 ・ (=カテゴリーや殻にこもって現実否定する弱さをフォロー)


ラクスポジションに議長、キラポジションにアスランを置き、前作34話を踏襲したそっくり構図で種&種運命を再確認させる構成があまりにもウマ━(゚∀゚)━すぎ。話の構図や伏線の帰結、問題提起とメッセージ。そのあたりに注目しながら楽しんでいる視聴者にとってはたまらないお話になったのではないでしょうか。メラ燃え!というよりホンワカ燃え。セイバー発進カウントダウンとしては非常に良い出来ですね。


■「アスラン=ザラ、セイバー出る!」カウントダウン進行中

議長に諭された後、今の自分をミーアに重ね合わせたアスランが、ガラス越しの夜空にセイバーの姿を思い描く引き。相変わらずウマ━(゚∀゚)━い引きです。あの描写を見る限りではアスランもより一層決意を固めた模様。来週のイザーク&ディアッカ&ニコル(墓)との再会をラストに、いよいよ「セイバー出る!」に移るのではないでしょうか。ホンワカ燃えも良いけれど、そろそろ激燃えしたいっす。


■君にはむろん、わかるだろう

こちらもウマ━(゚∀゚)━なセリフで正体を明かされたラクツーことミーア=キャンベル。本物よりもおっぱいがでっかいと噂のミーアたんですが、その正体は「ラクスそっくりなラクスファン」でした。ミーア=キャンベルとしての自我や偽ラクスとしての自覚もしっかり持っている上にアスラン大好きっ子。今のところは変な思想を植えつけられている向きはなく、悪巧みしているそぶりもなく。う〜みゅ、普通。っていうか良い子っぽい。

そんな彼女を見て、同じように「偽りの存在」に逃げていた自分の弱さを改めて認識し、「君が、じゃないだろ、ラクスだ、必要なのは」と自分に向かってプチ切れるアスラン。ミーアを通じて改めて自分の「弱さ」を見据え、「戦うこと」をより強く決意したアスランですが、それ以上に気になるのは偽りの存在である「ミーア=キャンベル」という存在そのもの。あらゆる意味でラクスの逆ポジションにいるミーアですが、そんなミーアの存在が「個の大切さ」と「人と人とのわかりあい」を描く種運命の中で鍵になってくるようにも思えてたまりません。本物ラクスと偽者ミーア。強さと弱さ。そんな種的対比がここにも。


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

とは言え、議長悪巧み論者的には、アスランを諭す議長の語りがうさんくさくてたまりません。アスラン自身の気づきを挟む余地のない誘導トークを使いつつ、最後は「自分で考えて決めてください」「やると決意してくれたら私もうれしいです」と自発的な決意を促す手口。それって、高額商品を自分の意志で買っていると思わせる営業手法そのまんまなんですよね…。加えて完璧アウトなのが議長のミーア利用法。ミーアにラクスを名乗らせたり、そんなミーアを使って「ラクス様がおっしゃるのだから」と民衆を諭したりするやり口って、人を「カテゴリー」に縛りつける行為そのもの。

民衆は自分達の思いを正当化するために、ラクス=クラインの言葉を利用しただけだ。
「自分達は間違っていない、なぜなら、ラクス=クラインもそう言ってただろう」とね。

営業トークを用いつつ、自ら否定したやり口をまんま実行。表面的にはキレイ事おっしゃっていますが、怪しさ満載です。であるならば、種34話を髣髴とさせる話の構図も、単純な「アスラン=ザラ、セイバー出る!」伏線として捉えていいとは思いづらいんですよね。となると、第1クール末にくるであろう「アスラン=ザラ、セイバー出る!」にしても、どこまで額面どおりに受け取っていいものやら。第1クール末になんちゃって激燃えさせといて本番激燃えは中盤過ぎ、とかなるんかなぁ…。



ということで今回はこのくらい。正直、特に今回は「話のネタふりと整理整頓」的な意味あいが強かったので、お話としての勢い(≠密度)はなくなっちゃいましたね。視聴率も低下しているとのことですが、そんな時期にこんなことしてて大丈夫なのかチョイ不安…。というか前作第2クールの悪夢を思い出す…。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第11話 〜 選びし道 〜

1時間スペシャル1話目。一言で言うと「本格的な戦争が始まるよ」なお話ですが、その中にジブリール/カガリ/タリア/キラ/アスランを深める描写を盛り込んでいるため、ボリュームがエライことになった第11話。同時に議長の悪巧み路線も進行中?いろいろとオモシロな回ですね。


■ジブリール君って小物?

OP前にジブリール君がいじめられてます。いじめてるのはロゴスのご老人方でしょうが、ブルコス盟主<ロゴスなんでしょうか?第5話にもジブリール君がロゴスを嫌ってる描写がありましたが、ジブリール君とロゴスとの間に確執があるんでしょうか?


■積極的自衛権の行使

キタ━(゚∀゚)━。もう議長の怪しさ爆発です。積極的自衛=各拠点防衛のために拠点付近の敵を蹴散らす路線だと言及されていますが、明らかに専守防衛からワンステップ進行した段階。専守防衛→積極的自衛ときたら、次の段階は積極的交戦、さらに次の段階は殲滅戦争。次々と移行していくのは自明の理です。戦争は生き物ですから。徐々にプラントが戦争に向かって移行していきますが、そんな路線をホイホイ決める議長が怪しさ満点。くさいよ〜ラスボスくさいよ〜。


■新しく生まれ変わるんだよ、君も、オーブもね

会議でやり込められた上にエロセクハラアタックを受け、周りに流されまくりのカガリたん。ユウナからは「新しく生まれ変わるんだよ、君も、オーブも」と偽りの成長までをも強要され、アスランの彼女としても国家元首としてもボロボロですが、成長物語上で興味深いのが「ウズミ様路線の否定論」です。

今回くどいくらいに「ウズミ様のように」が繰り返されましたけど、カガリの持論自体はウズミ様と同じです。ただし、持論は同じであっても表面をなでるだけ。深い部分で理解できてはおらず、それを実現できるレベルの認識には至っていません。これもさりげに旧キャラとの対比ですが(←故ウズミ様と)、そういった描写を見ると、カガリ成長物語はウズミ様路線を進みウズミ様を乗り越えることになるのでしょう。

でもどうなんでしょう?カガリが成長物語上にいるのはわかるんですけど、成長を促す起爆剤がカガリの周りにないんですよね。種のキラはフレイやアスランという起爆剤がありましたから、そこから成長の起点を作った上でラクスのダメ押しを持ってこれましたけど、カガリの周りにはそういった起爆剤がないんですよね。アスランもプラントに行っちゃいましたし…。

正直、起爆剤になりうるのはアスランとの関係くらい。ですがアスランの現状を考えると、ミネルバ着任のアスランと戦うことになるのか、はたまたアスランが戦死するのか。起爆剤として考えられるのはそのくらいですけど、どっちもスッキリしないなぁ…。左手に光る指輪も起爆剤になりうるのでしょうが、アスランのラブリー彼女としての自立に対して効果はあれど、公人としての自立に対しては効果薄いでしょうし。ウズミ様の代理的にクサカが絡んでくるのかなぁ…。それともラクツー絡みなのかなぁ…。


■アンドリュー=バルトフェルドってやつ知ってるか?

オーブと大西洋連邦が接近する中、事態静観を決め込むタリアっち。第8話で「先のことはわからない」と言ってましたけど、わからない未来に対して手を打ちきれない未熟さがありありと描かれました。同じように「先のことはわからない」と論じつつも未来を見据えて先手を打てるマリューさん&虎と比べると、その差は歴然。この人もどう成長していくんでしょうか。


■拳をグッとね♪

種運命は特に「伏線」や「引き」が上手いです。フレイとトール。守りたくても守りきれなかった二人を回想し、グッと拳を握りしめるキラ。カテゴリーからの解放を暗示するトリィの描写も重なり、「今度こそは…守るッ」的な決意がかいま見えます。

キラ&フリーダム復活マダー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン'

と同時に、この描写が入るということは、守るべき人間が危機に瀕することの伏線にもなっているのでしょう。というか13話の予告を見ると伏線というか確定なんですけど。


■デュランダル議長にアポイントを

事情を知ってる議長の差し金でイザーク&ディアッカとともにお墓参りするアスラン。最初は「貴様ぁ!」「何でこの俺がそんな仕事のタメに!」「これで買い物とか言ったら俺は許さんからな!」などのイザーク節が笑えたのですが、「それでもなにかできる」ために軍服を着ているイザークが「戻ってこい、アスラン…!」「それほどの力、ただ無駄にするつもりか!」と訴える姿に激燃え。そんな旧友の言葉を受け、決意を固めるアスラン。そして「デュランダル議長にアポイントを」。長かった…。ようやっと「アスラン=ザラ、セイバー出る!」ですよ。燃え〜!………なの?


■完璧超人⇔悪巧み推進

惑うアスランに対してイザーク&ディアッカを差し向けたり、民間人搭乗のシャトル撃墜や戦争責任によって死に問われたイザーク&ディアッカを救ったりと、こまめに完璧超人っぷりが描かれたデュランダル議長。その反面、静かに積極的自衛権発動を決意するのですから、そのギャップがうさんくさくてたまりません。

繰り返しになりますが、ぐらすはデュランダル議長悪巧み論者です。ぜって〜悪だって!



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第12話 〜 血に染まる海 〜

1時間スペシャル2話目。バトルシーンに重点が置かれてましたけど、第1クール終了に相応しい描写もいくつかお目見え。現状整理と今後のネタふり。両方キッチリ決めてくれた第12話です。


■ザムザザー?

巨大MAザムザザー登場。防御壁は「アルテミスの傘」の縮小版?MSだらけの種の中ではアプサラスチックな外見が新鮮で良い感じです。一般兵が操ってもシンを追い込むレベルの機体ですから、上位機種に専用パイロットが乗りでもしたらどうなることやら。外見といい性能といい進化の可能性といい、期待できそうなMAが登場しましたね。っていうか3人乗りってアウル/ステラ/スティング用の巨大MAとか登場するのかな?

ただ、少しパワフルさがわかりづらいような…。おそらくスピード感&見た目の派手さを優先してる種のアニメーションと、迫力や重量感がウリのザムザ君とでは相性が悪いのでしょうが、そのあたりで少し工夫しないと巨大MAならではの魅力が感じられないかも?


■種割れ

めでたく種割れ完了。脱チェリーボーイです。とは言え、死の恐怖と過去に呪縛されまくった状態で発動したのがシンの種割れでしたから、見ていて痛々しいことこの上ない。回想シーンを挿入することで、シンの現状の「弱さ」を整理しつつ課題を示唆する今回の種割れ。超深読みにもまとめましたけど、遺伝子操作という話のネタ部分に切り込む「種割れ」を、主人公の内面の弱さとリンクさせる構図がオモシロです。第1クールの最後に相応しい伏線張りとキャラ描写ではないでしょうか。


■アスラン=ザラ、セイバー発進する!

わかってたけど燃え。というかわかってたからこそ燃え。依存、自閉、独善、逃避。そんな弱さからプラント国民を、全人類を救い出すため、アスラン=ザラ、セイバー発進する!しかも第10話と同じように発進の構図が種34話の踏襲。それも燃え〜(←って今度こそ人という種を救うんだよね?)

…なんですけど、第10話レビューにも書きましたが、予想通り完全激燃えモードには至らず。演出力不足というよりも、単に燃え描写するつもりがない構成です。

ということはやはり、現状のアスランは皆を弱さから解放できるだけの「強さ」を持った存在ではない、ということなのでしょう。個人的にはアスランは議長に騙されてる路線を驀進中かと思っていますが、そんなアスランがミネルバに向かったというのが今後のお話のキモになるかと。

現状でのキャラ描写を見ると、過去に囚われまくってるシンが、過去と相対することを決意したアスランの背中を追っかける、という人物関係になっています。ってことは、シンがアスランを乗り越えることになるのか、アスランが最終的にはミネルバの外で「戦う」ことになるのかはわかりませんけど、アスランの背中に追いついたシンこそが「シン=アスカ、○○○○出る!」と激燃え発進するのでしょう(←台詞は違うかもしれませんが)。

種運命の真の主人公として、シンがどう成長し、どう熱く吠えるか。前作同様30〜40話くらいの話になるでしょうが、今から超期待しておきます♪


■超深読み (視聴の楽しみを損なう恐れがあります。ご注意ください)

シンの種割れについてですが、過去に呪縛された自閉しまくり状態で発動されたシンの種割れは、力は最強だけれども精神的には最弱で、はっきり言って超ネガティブ。ブチ切れ→発動のパターンで「力」としてのみ描かれた今までの種割れとは異なり、シンの「弱さ」とリンクさせることで発動させられています。

種割れは「遺伝子操作ネタ」の核になると考えられますが、その種割れが乗り越えるべき「弱さ」と共に描かれたということは、種割れや遺伝子操作ネタもまた、作中では乗り越えるべきネガティブ要素として描かれると思われ。バトルでの勝ち目は薄くなるので、「力」としての種割れまで全否定するようなことは難しいと思いますけど、キャラの内面的弱さと作中悪をリンクさせるようなネタふりは結構オモシロです。


■第2クールの構成について

今までの構成を見る限りでは、前作と同様に主人公シン=アスカの「弱さ」により深く切り込んでいくことになりそうです。ただし、一点違うのはアスランという「先導人」の存在。

前作の第2クールでは、主人公一人だけをモロに凹ませて救いを持たせなかったために話がまったく盛り上がらず、また、キラ一人の凹みっぷりだけを描いてしまったために全体的に単調になってしまった感がありました。もちろん、そういった主人公の駄目さはあくまで「伏線」であり、最終的には第3〜4クールにおいて燃え度UPにつながる形で回収されたため、構成的には「ストレス→カタルシス」という基本に沿った作りとしてある程度の評価もできるのですが、盛り上がらなすぎ&単調すぎて第2クールにして視聴者が飽きてしまうという痛恨のミスを犯しています。

ところが種運命の第2クールでは、アスランがミネルバにやってくるため、既にある程度の「強さ」を身につけたアスランと比較しながらシンの弱さを描くことが予想できます。ということは、シンの凹みっぷりを一面的に描くのではなく、アスランの強さや成長と重ね合わせて重層的に深めていくのではないでしょうか。ならば「盛り上がらなすぎ&単調すぎ」という前作第2クールのようなことにはならないかと思えますが、どんなもんざんしょ。そういう話の構成的な部分でも第2クールにチョイ期待です。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第13話 〜 よみがえる翼 〜

なにはともあれ「エエエエ〜」が目立った13話。っていうかレビュー長っ!


■生きているということは、それだけで価値がある。明日があるということだからな。

クルーゼ臭を漂わすレイから出たこのセリフ。人として生きることに絶望し、明日を放棄したクルーゼ。そのクローンチックなレイから出たこのセリフが意味深げ。本心からの言葉なのかどうなのかはわかりませんが、明らかにクルーゼと重ね合わせてレイを描く気満々。合わせ鏡のように描くのか、それとも透かし鏡のように描くのか。物語の鍵を握る議長に近しいキャラであるだけに、これもまた興味深いところですね。


■カガリ=ユラ=アスハ

カガリのフルネームキタ━(゚∀゚)━
ウズミ様お墓参りからの帰宅の途で「カガリ=ユラ=アスハ」としての責任を説くユウナ。種の表現手法の中では度々重い意味を持ってきたフルネームですが、今回は「アスハの名を持つ者」「オーブ連合首長国代表首長」としての重責を表現するために使われました。

父の理想を受け継ぎ、さらにそれを乗り越えていかなければならないにも関わらず、現実には父の名に縛られて動けないカガリ。理想と現実の狭間で答えを出せないでいる18才の女の子が、カガリ=ユラ=「アスハ」としてどのような明日を選択してしまうのか。理想と現実の狭間で答えを出せないでいる18才の女の子が、カガリ=ユラ=アスハとしてどのような未来に生きねばならないのか。まずは「明日」が描かれるであろう次回に注目です。


■カガリ成長物語の明日はどっち?

ただね、未来を選び取るのはかなり先の話になりそうなのですが、それまでの間、葛藤を見続けるのが結構エグイ…。

まずストレスを与えておいて、そこから解放することでカタルシスを感じさせる。これはストーリーテリングの基本なのですが、ストレスが大きすぎると見ていて気持ちの良いもんじゃないんですよね。種2クールがまさにそれだったのですが、そのあたりのバランスを考えてもらわないと、カガリ目線では見ているのがしんどくなりそうな予感。

カガリの双肩にのしかかってくる現実の重さをどうバランスよく捌いていくのか。そのあたりが脚本&構成としての腕の見せどころになるのでしょうが、のしかかってくる現実が重すぎるだけに、捌き方一つで傑作にも駄作にもなりえます。次回の結婚式でキラの行動に流されるままかっさらわれるのでしょうから、しばらくは「ストレス」MAXの状態が続くのでしょうが、そんな流されまくりの状態からどう自我を持つに至るのか。期待半分、不安半分。ある意味でシン以上に注目すべき視聴ポイントになるのではないでしょうか。


■虎&乳

話し出そうとするタイミングがかぶってしまったり、好みをあまり知らなかったり、一緒にプラントへ行くことにこだわってなかったり、アイシャの遺影やムウ&ナタルの軍帽が飾ってあったり…。虎と乳、ラブリーではないってことでいいんですかね?と、さりげない関係を描いておきながら、本題はそのあと。


■壁

「どこかで、ただ平和に暮らせて、死んでいければ、一番幸せなのにね。まだ何がほしいと言うのかしら、私たちは…(今回)」
「悲しいと、苦しいと痛む傷は、常に見えない胸の中。互いに知りえぬその深さが、更なる悲劇を呼ぶのだろうか。誰もが心で望むもの、それは…(第7話予告)」

古くはクルーゼの主張とリンクするのでしょうが、こう見ていると、さりげに思い出すのが宮部みゆきの『理由』。あの小説でも、ある一つの事実を認識する際に異なる主観が入りこむことで、視点によって捉え方がまったく異なってくることを描いていましたが、究極的に人と人との間にそびえ立つ壁とはまさしくそれなのでしょう。

本能のままにただ生きるだけの動物ではなく、禁断の実を食して「自我」を獲得してしまったのが人という種である以上、ただ平和に暮らして死んでいくだけで済むわけもなく、他者を傷つけてでも己の平穏を望んでしまうのが人の性。

所属背景や生い立ち、体験してきた過去、それらから生じた価値観や権益。そういったものの違いが自我に影響を与えることで派生するそれぞれの「平穏」。その違いが争いを生み、最終的には異なる存在を全否定するための戦争へと発展する。種の中で常に描かれてきた「争い」の根源もそういったものであることを考えると、各個が求める心の平穏もまた、争いを生む火種になっているのでしょう。

このあたりの現代的で哲学的なテーマが種のおもしろさなんでしょうね。前述した『理由』以外にも最近よく見られる類のテーマなんですが、それを「戦争」という括りに転用してきたのが実におもしろい。もちろん、メインターゲットである青少年層にもわかる程度に落とし込んではいるのですが、自分なりの価値観をもち始めた年代の青少年に対して「主観」にとらわれる愚かしさと主観の共存を説く、というのも中々に意味深いところでしょう。

種では、人という種が生まれもったそんな性に対し、前作で既に「ありのままの自他を認めることが共存の道」と述べてしまったわけですが、今回はどう描いてくれるのでしょうか。前作で描ききれなかった「人の弱さ」がポイントになってくるのでしょうが、はてさてどんなものやら。


■種最終話ラストシーンの意味とラクスの戦後

ラクスを中心とした3隻連合は、前大戦で武力を手にとり「憎しみの連鎖」を生み出す存在と戦ったものの、人類全体を憎しみの連鎖から解放することはできず、そればかりか共に戦ってくれた仲間まで結果的には思い半ばにして死なせてしまったわけです。「やつ等が先に撃ったのだ!」「ボアズには弟もいた!」。アスランたちがヤキンに突入する際に描かれたザフト兵の叫びを見ても、憎しみの連鎖を断ち切ることができなかった事がよくわかります。

戦った。憎しみの連鎖を生み出す存在は倒すことができた。けれども、人類そのものを憎しみの連鎖から解放することはできなかった…。仲間も死なせてしまった…。胸に残る無力感。その思いが「僕たちは…どうして…こんなところまで、来てしまったんだろう…」のセリフに凝縮されていたわけです。言いかえるならば、心の平穏を願っただけのはずなのにどうしてこんなにまで憎しみの連鎖は続くのだろう、といったところでしょうか。

そんな無力感を抱えながら隠遁していたラクス。そして、そんな無力感からくる戦うことへの躊躇い。戦いに身を投じること、仲間を戦いに送り出すこと。それに躊躇うラクスの姿がありありと描かれました。精神的には完璧超人であった前作とは異なり、人間らしさと共にほんのわずかな退化が窺えますが、まぁ覚悟を固めてしまえば完璧超人に戻ってミーアと静かなバトルを演じてくれるのでしょう。今回は描かれたラクスの人間らしさがタメとして発動することを祈って、ジークラクス!


■それでも、守りたい世界があるんだ!

で、そんな躊躇うラクスに対してキラがかけた言葉が…
「貸して、なら僕が、開けるから。大丈夫。僕は大丈夫だから。ラクス」
「このまま、君たちのことすら守れずに、そんなことになる方が、ずっと辛い」
「だから、鍵を貸して…!」

第1クール終了というわけで、もう一人の旧作主人公であるキラにスポットをあててきました。「守るために戦う」というのがキラの戦う動機なのでしょうが、12話でのフレイ&トール回想シーンもあって燃え。種最終話の「それでも、守りたい世界があるんだ!」のセリフが重なって、めっさ燃え!けれど、そんなキラの戦いを見ても、曇りかげんな表情のラクス。やっぱりまだ無力感をかき消せてはいないような感じ。ということは、このタメはけっこう引きずるんかな…。


■アスラン・シン・キラ

第1クール全体を通して少しずつ描いてきた三者三様の戦う動機と現状が、12〜13話を通じてクリアなものとなりました。憎しみの連鎖から人々を解放するために戦うアスラン、憎しみにモチベイトされてしまい理想を受け入れられないシン、守るべき人を守るために戦うキラ。「憎しみ」という部分ではアスランとシンが、「守る」という部分ではキラとシンが、それぞれ合わせ鏡のような対極にいるわけです。

その上で興味深いのが12〜13話の構成でしょう。守りたいという信念をかかげて戦うキラがラクスたちを守り抜くのは当然なのですが(←アニメ文法としてですよ)、そんなキラと比べるかのように、シンが憎しみや誤解にとらわれて種割れしたからこそミネルバを救えたという現実も持ってきました。守りたいと願ったからではなく、「憎しみ」という思いがたまたま「守る」という結果につながったのであり(←たまたまと言えば語弊があるかもしれませんが)、13話冒頭でミネルバクルーに迎い入れられた時のシンの表情を見ても、シン自身も「守れた」という結果に驚きを隠せないようでした。

過程や心理状況がまったくの別物であっても「守り抜いた」という結果は同じ。ならば「思い」にどれほどの意味があるのか、「力」こそが必要なのではないか。シンが守りたい人を守れなかった過去を持つだけに、そんな結論に至ったところでなんら不思議はありません。当面はそんなシンの未熟さをタメとして描くのでしょうが、そんな弱さを反転させてタメを解放した時の燃えに期待しまくりです。


■種の文法

第1クールを見ていて感じますが、一見無関係と思える伏線を少しずつちりばめておきながらタメを作り、物語の進展と共にそれらを手繰り寄せ、最後に一本の筋によりあげて爆発させる手法が種の真骨頂。あわせて、はじめはダメダメだったキャラを覚醒→活躍させる「燃え」を重ねるもんだから、クライマックスの爆発力はとんでもないものになります。

そういった話の構成を見ていると、京極堂シリーズのような衒学小説に通じる「読了感」とWJ的エンターテイメントな「燃え」が感じられるのですが、そのあたりが種の魅力なのではないでしょうか(←キャラ萌えとかはよくわかりませんけど)。逆に、伏線を見ずにその場その場を見れば「薄い」「矛盾が多い」のもわかりますけど、それじゃちょっとつまらんのじゃないかな〜とか思う次第。


■超深読み

さてさて、巷でとりざたされているのは「議長は遺伝子操作の専門家」と「ラクス襲撃の真相は?」の二点。どちらも既に第7話レビューで触れていますが、わずかではあるものの推測に裏づけがついた格好ですから個人的にはニヤリもの。まだ確定事項とは言いがたいレベルですが、前者は計画の目的、後者は計画の手段に関係してくる予感。たぶん「力だけが、僕の全てじゃない」にかかってくるんだろ〜な。ワクワクドキドキw


■第11話レビュー補完 〜第12話予告〜

「裏切られた、そう思うのは信じていたからか。なにを。願う形に事態は動かず、失意は怒りとなって、その身を駆け巡る」

これ、要するにシンの現状なんでしょうね。自分の身にも覚えがあるだけに痛い…。信じていたからこそ裏切られた痛みが強く、裏切ってもまだ理想論を唱える相手が憎い。理想を唱えていた相手が現実に揺さぶられようものなら、あざけりつつも苛ついてしまう。

ただ、それは相手に対する信頼の裏返しでもあるのですから、何かの拍子にまた裏返って表向くことも往々にしてあるんですよね。その場合はより強く相手を信頼する傾向にあるようなのですが、シンとカガリもそういう関係になってほしいもんです。



機動戦士ガンダムSEED DESTINY 1クールまとめ

総集編「EDITED」をもって一息入れたデス種。状況整理がようやく落ち着き、これから本格的な物語が始まるのでしょうが、とりあえず現時点での状況やストーリーテリングの特徴を整理してみましょう。


■前作種とのつなぎ

続編ということで前作とのつながりは切っても切れないポイントになってきますが、前作のオチとそこから生まれる各キャラの変化をしっかり描いてきていますね。

前作のオチは「憎しみの連鎖に取りこまれた人類を解放することはできなかった」の一言に尽きます。パトリックやアズラエル、クルーゼといった憎しみの連鎖を広めていく存在を憎しみの連鎖から解き放つことはできず、武力をもって倒すことしかできなかった。人類全体を見ても、彼らは未だに憎しみの連鎖に囚われており、一度誰かが連鎖を動かせば再び殲滅戦争への道を辿ることは明らか。

そんな前作種の結果を受けて、アスランは現実から逃げ、カガリは理想ばかりを追いかけ、ラクスは無力さに苛まれ、キラはそれでも答えを見つけるために立ち上がる。そんな旧主人公たちがそれぞれの思いを胸に再び戦場へと身を投じたのがデス種1クールというわけです。誰も「正しい答え」を知らない。けれども「正しい答え」を見つけて人々を憎しみの連鎖から解き放り、戦争を止めなければならない。泥濘の中で光を求めて動く彼らの現状を暗喩するかのように、海中深くに潜り旅立ってゆくAA。

一つ一つの旧キャラ描写もさることながら、そんなAAの発進シーンにも「答えが見つからなかった種→落胆→再び答えを探そうと動き出したデス種1クール」の流れが見えてめっさ良いです。新作として見ると至らない点は数多くあるものの、続編として見ると1クール使って丁寧に物語を立ち上げてきた感が強いですね。


■シン=アスカという存在

AAサイドが前作種と同じスタンスで正しい答えを探そうとしているのに対し、まったく逆のスタンスで答えに迫っていくのがシン=アスカという存在であり、サトー隊長やユウナといったサブキャラでしょう。

己の任務や安寧を見据え、為すべきことを為し、任務を果たし安寧を勝ち得ていく彼ら。一方で傷ついていく存在はいるものの、為すべきことを為し遂げていく彼らの言動は、見方を変えれば十分に「正義」足りえます(←特にセイランの言い分は一国家の現実を考えればもっともです)。

旧キャラたちの言動は理想的であると同時に「正しい答え」に至ることのない間違いでもあり、大局的に見てもなに一つ救うことはできませんでした。逆にシンたちの言動は、全てを救うことはできないけれど、守るべき存在を守り抜くことはできます。子ども向けアニメであることを考えると、他者を傷つけた上で成り立つ(←もしくは他者を傷つけることを容認した上で成り立つ)言動を「正しい答え」とするまでは考えづらいのですが、複数の視点から見つめることで「正しさとは何か」を掘り下げていくことは十分に予測できます。

前作種と同じスタンスで動くAAサイドと、前作種とは逆のスタンスで動くシンサイド(←ミネルバも?)。その二つがリンクした時にどんな「正しい答え」が出せるのか。当面はその縮小版であるアスラン⇔シンの関係性を描くのでしょうが、単純理想バカな前作種と比べて、複数の視点を盛り込んで「正しい答え」を掘り下げていくデス種は、テーマ描写的には前作よりも期待できるように思えます。

そういう意味では、前作では弱さとして描かれた「怒りや憎しみ、哀しみ、痛み」を胸に秘めたまま戦うシン=アスカという存在を主人公(←の一角?)に据えてきたのは、話全体を構成する上で上手い設定ですし、個人的には、前作で「救済」が描かれなかったパトリックやクルーゼへの救済を描いているようにも見えてなりません。

キラやラクス、アスランといった旧キャラに対するアンチテーゼのような位置づけで登場したシン=アスカ。彼を使ってどんな「正しい答え」を描いてくるのか。第1話の時点で予測したとおりの展開になってきましたが、今後どんな燃えメッセージが描かれるかが今から楽しみです♪


■種の演出&構成の特徴

大きな特徴としては、回想シーンの多用と↓↑構成、各キャラの対比の三点。ぐらす的には気にならないんですが、それぞれに良い点もありつつ悪い点もありつつってところかと。

▼回想シーンの多用
デス種では前作以上に多用されている回想シーンですが、種では本来ならばセリフで「〜だから」「〜だと思う」「〜ということだ」のように語る部分を、その内容に適したシーンを引っ張ってきて回想させることで、言いたいことをそのまま伝える手法を取っています。

それが一つ二つならともかく、いくつものシーンで効果的に適用されていますから、おそらく脚本家が「説明的なセリフ回しはナンセンス」的な考えを持って意図的に選択した演出手法なのでしょう。14話のカガリ回想シーンはその典型なのですが、特に自分の中で考えこむ葛藤シーンではその効果が顕著にあらわれるようで、実にスムーズにキャラの心情を理解できるようになっていますね。見ている子どもからすれば一つ一つのセリフを理解せずともニュアンスで大枠をつかめるでしょうし、物語の構成や伏線を意識しながら見る人間にとっても、回想シーンと回想されたシーンがつながって意味を持ってくるので楽しめるところでしょう。

ただし、種の場合はそこに決定的な欠点があって、最後まで確定的な解説をフォローしないので、見る人によって色んな解釈ができてちゃうんですよね。解釈のしようによっては「矛盾」「意味不明」となる可能性が生じ、その上描かれたストーリーやキャラを「そんなものは描かれてない」と捉えてしまうこともあるわけで。そのあたりの補完を最終的にしていればもう少しわかりやすく楽しめると思うのですが、はてさて。

とはいえ、これは確信的な演出手法でしょうし、説明台詞のカット自体はクリエイターならば誰しも支持するところでしょうから、おそらく回想シーンは最後まで効果的に多用されるのではないでしょうか。どこかしらで補完した方がいいと思いますし、せっかく総集編を入れるならそのあたりの補完を中心にやった方がいいとも思いますが、演出手法としては実に理にかなった手法ですので、ぐらす的には高く評価しています。別に作画枚数が多い=良いアニメというわけでもありませんし、しっかり伏線張って構成練らないとできない手法ですしね。

▼↓↑構成
前作種からのおなじみパターンですが、種のキャラ描写って基本的に下げて上げる構成ですよね。最初は徹底的にダメキャラとして描き(←種の「やめてよね」なんてそのものですが)、イベントをきっかけに自分の中で葛藤させた上で、考える暇も与えない事態に放り込むことで覚醒させるパターン。

古典的な創作手法として多用される「ストレスを与える→解放してカタルシスを感じさせる」をかなり極端に利用して、物語全体の燃え度アップを狙っているようですし、実際種34〜35話や39〜40話は爆燃えだったわけですが、種の場合は前半に与える「ストレス」が強すぎて、視聴者がこらえ切れなくなるケースが目立つんですよね…。種ではキラが、デス種ではカガリがそうなっているわけですが、手法自体が意図するところはわかりますけど、もう少し工夫しないとますます視聴者離れが進むのではないでしょうか。

▼各キャラの対比
デス種からの特徴なんですが、あるキャラを軸として、そのキャラとの位置関係で別のキャラを描写する手法が目立ってきています。例えば8話のラストシーンが典型ですが、あのシーンを見ればシンはキラの反対ポジションにいる人間だということがわかるわけですね。他にも細かい対比描写はいくつもありますが、この手法の場合、軸となるキャラをしっかり描写しておけば、そのキャラとの位置関係を示せば別のキャラを深めて描くことができるという利点があるので、キャラ描写が非常にコンパクト。しかも、対照的な二人を対比させることで、そのまん中にあるテーマを二つの視点から深めて描くことも可能になります。特に1クールでのシンの描写はこの手法が多用されてますので、登場シーンは少なくとも概要は十分つかめているわけですし、アスランやキラといった旧キャラを中心に描いてきたのも、今後の展開の中で「軸」とするための準備なのでしょう(←すでにある程度キャラが立っている人間を軸とした方が早いですから)。

とはいえ、この手法はあくまで劇中での役割を描くのに便利というだけの話で、人間性までは深めることはできません。どんな日常生活おくっていて、どんな好みを持っていて、対人関係はどんな感じで、どんな夢を持っているのか。この手法だけだと、そういった「人間らしさ」の部分までは描くことができず、また、軸になるキャラの理解や位置関係の把握を間違えたり見過ごしたりすると、劇中の役割すら理解できなくなる可能性もあるので、そのあたりは減点対象かと。先に挙げた「回想シーン」の理解不足や誤認とセットになると余計にわかりづらくなりますから、それが相乗的にマイナスに働くとイタいですね。

▼まとめ
他にも色々ありますが、どの演出手法や構成を見ても、とにかく種は極端なのが痛いような気がします。どの手法にもそれぞれ長所と短所があるわけですが、それぞれの手法に頑なにこだわり続けているため、短所が気に入らない人にとってはいつまでたっても批判の対象(←もちろんそれ以外に批判される要素も多々あるわけですが)。まぁ、ぶっちゃけ歴代ガンダムはどこかしら極端の塊なんですが、そのあたりもファンとアンチが露骨に分かれる原因なのかな〜と思ってみたりみなかったり。


■戦闘アニメーション

静と動の描き分け、バトルの緊張感、構図の妙。そういったものをストレスとしてでしか理解できない子どもに向けて、発進バンク→とりあえず動きまわる→大ゴマで決めポーズをビシッ!ってところなんでしょうね。いかにも子ども向けの玩具販促アニメだなぁって感じ。そんなやり方に、車田マンガやテニプリ、キャプテン翼なんかに通じるところがチラホラ。ここまで来たら車田マンガレベルまでハッチャけた方がぐらす的には良いように思いますけど、どうなんでしょう。

どちらにしても、戦闘シーンよりもストーリー描写に重きを置いているようですから、子ども以外で戦闘シーン見たさに種見てる人っていなさそう。合体インパルス、変形ガイア、火力カオス、水中アビス、大量ウィンダムなどなど、楽しめる設定はあるんですけど、今一つ〜二つ、その設定をいかせていませんし。どっかで1話まるまる使ってすんごいの作ってくれないかなぁ。まぁ、昔とは違った意味でアニメーション一つ作るのも大変だってのは聞きますけどねぇ…。


■OP&ED

OP&EDがネタバレしまくりなのは賛否両論でしょうが、とにかく「ignited」と「life goes on」が(・∀・)イイ!良すぎ!!! この二つ、明らかにストーリーにあわせて作られてる主題歌ですよ。おかげでめっさ燃えまくり。

己の願いのみを求めすぎた人がエゴイスティックに堕ちていくこの世界。大切なものを失った哀しみの果てまで戦いつづける日々。深く交わればそれが互いを傷つけることになるかもしれない。出会いなんて寂しさを紛らわすだけの虚しい眩しさにすぎないのだろう。それでも、一つの出会いを信じ、恐れることなく変わっていきたい。哀しみを知っているからこそ、心が砕かれたことがあるからこそ、持てる強さが、優しさがあると信じて。その先にこそ、永遠の光が視えてくると信じて。

大切なものをなくした痛みと哀しみの中で戦いつづけるシンは、戦いと出会いの中でどう変わり、どんな光を見るのでしょう。滅ぶべくして生まれた人の運命に、どんな永遠を見るのでしょう。そんなデス種ストーリーをなぞるような2曲にメラ燃えです。

付け加えるなら、こちらは現状ではハッキリとしたことは言えませんが、玉置さんの「Reason」も今後の展開を暗喩していそうですね。こっちは特にアスランとカガリの関係に当てはまりそうな歌詞ですが、中でも「偶然は運命になる」のフレーズが意味深。アニメのタイトルからして「DESTINY(運命)」が冠されているだけあって、テーマとして「運命とは?」みたいな問いかけも入ってくるのかも?



気がつくところをまとめると大体こんな感じですね。全体としては文芸的な創作手法とメルヘン理想が目立つアニメですから、人によって解釈が異なったりイデオロギー的にシンクロできなかったりすることも多いと思いますが、ぐらす的には今のところついていけてるので無問題。というか素直におもしろいです。余韻を残しつつEDへと突入する毎回の引きが次回への期待感を高めてくれるのもあって、さりげに毎週楽しみな娯楽の一つ♪人に薦められて見始めた種ですが、こんなに深くハマるとは思わんかったなぁ。




感 想 一 覧

機動戦士ガンダムSEED DESTINY

 Phase-01 怒れる瞳
 Phase-02 戦いを呼ぶもの
 Phase-03 予兆の砲火
 Phase-04 星屑の戦場
 Phase-05 癒えぬ傷跡
 Phase-06 世界の終わる時
 Phase-07 混迷の大地
 Phase-08 ジャンクション
 Phase-09 驕れる牙
 Phase-10 父の呪縛
 Phase-11 選びし道
 Phase-12 血に染まる海
 Phase-13 よみがえる翼

 SEED-DESTINY 1クールまとめ



 SEED-DESTINY 2クール分
 SEED-DESTINY 3クール分
 SEED-DESTINY 4クール分
 SEED-DESTINY まとめ感想