フードの一団登場。また登場人物が増えた。主人公周辺はもとより、ボリス周辺、フード周辺、DIVA&シュバリエ周辺と、それぞれに物語を展開させてくるのかなぁ。期待半分、不安半分。しばらく様子見の方向で。それと、前回の「赤と青」の妄想は8割がた外れたよー。
■フードの一団
OPにも登場した一団ですが、おそらくこれが、よゐこスペシャルで触れられていた「シフ」なる勢力なんでしょうね。催眠術(?)を使うことと、ミレーヌ(?)という輩の名前、サヤを求めていること。その三つが判明していますが、物語の上でどういう位置づけになってくるのやら。
一応、サヤを求めるということは、対翼手、対シュヴァリエ、対DIVAの力を欲しているんだと思われますが、だからと言って、その目的が「人間」にとって望ましいものかどうかはわかりません。前回の「赤と青」の妄想じゃありませんが、シュバリエ←シフ→人間ってゆー感じの中間ポジションになってくる可能性もあるでしょう。赤い盾の真意、シュヴァリエの目的、翼手の存在意義。それらとあわせて、物語を読み解く一つの鍵になりそうなんですが…。
■テッドに会うため、ツベルドロフスクに向かう、ですって
偽リーザはデビットたちの行動を把握したわけですが、把握したからといって何か手を打ってくるわけではないようです。デビットやカイたちは、翼手の襲撃を受けることなくホテルに到着したようですから。偽リーザは赤い盾なんぞ眼中にない、ってことになるみたい。赤い盾よりもサヤ一人に気を配らなければならない、みたいな。
まぁサヤの血以外に翼手を滅ぼす手段がない以上、当然といえば当然なんですが、ならば赤い盾の存在意義って何さ?ってことになるんじゃよ。基本的にはヲッチング専門で、サヤが目覚めてる間だけ強気な行動に出る、ってことなのかなぁ…。
■人は強さだけでは生きていけないわ
戦場では良い奴から死んでいく。それを見るのがイヤだから、カイとの距離を保つ。というのがデビットの言い分のようですが、そんなデビットを「少し前までは鉄の塊のロボット」「今はアンドロイドかサイボーグ」と評するジュリアたん。ってことは、これでも多少は丸くなってきてるのね。
前回のカイに対するスタンスを見るに、現状でのデビットはサヤやカイを「道具」として見ている向きが強く、心の交流を否定しているように見えましたが、それでもわずかながらに「心」のファクターを持っているようです。
デビットの中に占める「心」の割合。それは今後の展開の中で膨れあがっていくのか、それとも消えていくのか。それを計る一つの指針として、医者という「役割」ではなく、女性という「心」を以ってデビットに接するジュリアとの関係性がポイントになってくると思えますが、はてさてどうなることやら。
人間になっていくのか、それとも、鉄の塊に戻るのか。生きるために必要なのは、弱さか、それとも、強さか。前者の道を進むなら、その先に待つのは人間としての運命。後者の道を進むならば、その先に待つのは翼手と変わらぬ存在と化していく運命。どちらに進むかによって、サヤやカイ、ジュリアたちの運命にまで影響を及ぼしそうですよー。
■カイ
テッドの最期の言葉を回想するカイ。サヤの過去が気になっているようですね。ベトナムでは常軌を逸したサヤの変化や「翼手」という存在そのものにビビっていたカイ。心サイドから血サイドへ、人間から翼手へ。傾いていくサヤを前にして、カイは何を思い、どう行動するのか。カイにも変化、成長が迫られることになりそうですね。
■イクラぷっちん
ぷちっと潰す動作にあわせて音楽を切り換え。この一瞬で日常パートから非日常パートにシフトしたわけですが、それを彩る音楽演出に萌え。見ててビクッと来るねー。イイヨイイヨー。
■偽リーザの正体は?
シフの一人が「あのシュバリエがいるぞ」と言い、出て行くことを躊躇っていましたから、偽リーザはシフと敵対する存在であること、偽リーザはシュバリエの一人であることが窺い知れます。
言動から見てソロモンやカールとは思えませんし、空母の艦長はDIVAの移送に従事しているでしょうから、ネイサンかアンシェルのどちらかということになるでしょう。公式HPの画像から見るに、あーゆー野太い声を発しそうなのはアンシェルじゃないかなぁ。シュバリエの長兄が天敵の様子を見にきたって感じ?
■道を外れたシュバリエ
という偽リーザの台詞によって、ハジの正体が確定。やはりシュバリエだったようですね。なぜDIVAを護る騎士がDIVAから離れてサヤに付き従っているのか。そこがハジ物語の一番のポイントになってきそうですが、やっぱり例の「約束」に関係する話になるのかなぁ?
あ、これまで「シュバリエ」と表記してきましたが、来週からは「シュヴァリエ」に変えにゃーならん罠。
■あなたが見たその夢のこと、聞かせてくれない?
ロシア革命期とベトナム戦争時の記憶について吐露し、そんな生々しい記憶を持つ自分について「私、わけわかんなくて」と評するサヤですが、偽リーザはそんなサヤに「揺らいでるのね」と一言。
サヤの過去や想いを無視して「血」の力だけを求めてきたデビットとは違い、サヤの過去に興味を示して話を聞いてくれる偽リーザに、サヤも少し「心」を開いているようですな。
自分の「過去」が気になっているサヤ。相手との「心」の絆を欲しているサヤ。では、周りにいる人間に「心」が感じられなくなった時、サヤはどんな行動に出るのでしょう?と考えると、十中八九、自分の「過去」を求めて「心」のないデビットたちから離れることになると思われ。
■生き物は、生きるために必要だから食べていく
過去編でラスプーチンが語っていたようなのと同じような主張ですね。必要以上に求める人間、必要に応じて食べる翼手。翼手は生きるために必要だから人の血を吸っているだけであって、生物としては、別に悪いことはしてないんじゃないの?みたいな感じ。
翼手は本当に悪なの? 人間は本当に善なの? 人間のために戦っているサヤは善なの? サヤが進むべき道は本当に人間のために戦うことなの? サヤの生きる場所は本当にそこにあるの? 善って何? 悪って何? サヤの居場所は、どこにあるの?
というネタ振りですよー。さらに先まで考えると、翼手サイドに傾くにしろ人間サイドに傾くにしろ、サヤは翼手の「存在意義」を踏まえた上での選択することになると思われ。それは同時に、翼手という存在が絶対悪として断罪されるような展開にならないことも示しているのでしょう。
絶対悪ではない存在として、正当性を持っている側面も描きつつ、同時に、何らかの価値基準において「悪」である側面も描き進める。バランス感覚が求められるシリーズ構成になりそうですが、どんなサジ加減を見せてくれることやら。見ている側としても、前番組の種がそうだったように、見ていて良い意味で疲れる(善悪を考えさせられる)ことになりそーです。
■「そんなこと、考えた事もありません」「翼手は、人の血を吸う化け物だって、デビットさんは言ってました」
結局サヤは、サヤ自身も「翼手のことを何も知らない」と言っているとおり、デビットたち赤い盾から言われるがままに、翼手を滅ぼそうとしていたわけですね。なぜ翼手を滅ぼさなければならないのか、翼手を滅ぼすことにどんな意味があるのか。そういったことを能動的に考え、自発的に行動するのではなく、振りかかる火の粉を払うような、どこか受動的なスタンスで翼手に向き合っていたわけです。
翼手が人を傷つけて人を不幸にするのなら、私が戦ってみんなを守ってあげよう。そう考えているサヤですが、翼手が人を傷つけることは、本当に「不幸」なことなのでしょうか。サヤが守ろうとする「みんな」とは、一体なんなのでしょうか。それを知ることなく、それこそが当たり前の正義だと思い込んで戦いつづけるサヤ。それを教えることなく、それこそが当たり前の正義だと思い込ませてサヤを戦いへと誘う赤い盾とハジ。少しずつ、そして着実に、歯車は狂っていく…
■あなたが心から望んでいることなのかしら?
翼手を倒す、確かにそれがあなたの使命なのかもしれない。でも、それはあなたが心から望んでることなのかしら。サヤ、あなたはやらなければならないことと、やりたいことを一緒にしているんじゃなくて。あなたが本当にすべきこと、他にあるはずよ。
それを得るために、あなたは何人の人間を犠牲にしていくのかしら。あなたが翼手を倒すことで、そばにいる人間は、必然的にその戦いに巻き込まれていくことになるの。そして、その人間は何かを失うことになる。悲しい現実だわ。 Aという願いを叶えるためには、aという行動をしなければならない。だが、aという行動をしたからといって、Aという願いが叶うとは限らない。
カイやリクと沖縄で暮らすためには、人類の敵である翼手を根絶しなければならない。だが、翼手根絶のために動けば、その行動によって犠牲になる人間もいる。何かを失う人間もいる。今回リクが倒れたように。それでいいの?というわけですな。
■トンズラーハンター
そんな「悲しい現実」を突きつける偽リーザに、怒気をこめて「私に言いたいことがあるなら、ハッキリ言ってください!」と返すサヤ。
ここからの偽リーザの追いこみがエグイですねぃ。サヤは偽リーザが突きつける真実から目を背け、逃げつづけるわけですが、そんなサヤを追う偽リーザは、次々にサヤの逃げ道を封じ、追い詰めていくわけです。
なぜ赤い盾はサヤの過去を話さないのか。サヤの過去を話してくれない赤い盾はズルイのではないか。 ↓ 自分の過去は自分で思い出さなければいけない。 (この時点でのサヤは、自分の過去から目を背けるために、過去を知らないフリをしています) (生々しい脳内映像が真実であると知りながら、それを認めたくないために知らないフリをしていたわけです) ↓ あなたは知ってるはずでしょう? (そんなサヤの逃げを封じるのが、偽リーザのこの言葉なんですね。逃げ道封鎖その一) ↓ 逃げ出したサヤ。サヤを守ろうとするハジ。 (自分の過去を知らないという「言い訳」を潰されたサヤは、ハジという盾の陰からキャンキャン吠えます) ↓ ハジを排除した上で、サヤもまた翼手である、という真実を突きつける。 (サヤが逃げ込んだハジという盾を排除して、サヤの逃げを封じてきたわけですね。逃げ道封鎖その二) ↓ 否定できないサヤ。ただ血の力によって偽リーザを排除しようとするのみ。 (しつこく踏みこんでくる偽リーザの口上から逃れるために、偽リーザを力によって排除しにいったサヤ) ↓ 刀を折り、サヤを支えている力を否定する偽リーザ (力づくで逃げようとしたサヤを、それ以上の力を見せつけることで凌駕。逃げ道封鎖その三)
■家族
そうして全ての逃げ道を封鎖されたサヤに、偽リーザが放ったとどめの一言。
あなたには家族がいるのよ、本物の家族。文字通り血を分けた妹よ。
私たちのDIVA。 逃げ場をすべて封じられたサヤの心に突き刺さる、偽リーザの言葉。 輝きを失ったサヤの瞳。折れたサヤの刀。サヤのココロ。
それはあまりにストレートな表現で、だからこそ、サヤの痛みや苦しみがストレートに伝わってきて。表現としては最高に綺麗なんですが、内容としては最高に切なくて。
残されたものは、根元を無くした刀の一部と、たった一言。
うそつき
つД`)・゚・。・゚゚・*:. 。..。.:*・゚
■目覚め
DIVAの姉。それがサヤの正体。真実。知っていた真実を隠した仲間に、周りの人間に「心」がないと知り、たしかな「過去」「血」を求めて動きだしたサヤ。目指す場所は、始まりの場所。
そこでさらなる真実を知ることになるのでしょうが、そうして真実に「目覚めた」サヤに対比するように、眠りから「目覚めた」歌姫が動きだしました。目覚めた二人は何を思い、何を為すのか。目が離せない展開になってきましたよー。
それにしても、やっぱりコンテナの中身(D67の原料)はDIVAの血だったのねー。そりゃーヴァンもビビる罠。
■折れたココロ
心が折れたサヤ。では、サヤは何にすがって進むのか?となるわけです。それはおそらく「血」の絆。その暗喩となるのが、目覚めたDIVAを彩った「血」なんでしょう。
ここ数話の感想でも触れてきたように、やはりサヤは「心」から「血」へと移行していく雰囲気ですが、そんなサヤのポジショニングをアピールしているのが「折れたココロ」というタイトルなんでしょう。さりげなく燃えますよー。
それと、折れた心を表現するようにサヤの刀もポッキリ逝ったわけですが、逆に言うと、サヤが復活したときに来るイベントでは、刀も復活することになると思われ。やっぱネーミングは「Sol」でしょーか?
ということで19話は終了。サヤは「血」サイドに傾いていくことになりそうですが、その契機となるエピソードを一話の中で何段にも分けて描いてきた構成が実に( ゚Д゚)ウマー。
サヤの血だけを求めてきたデビットたちとは異なり、心をもってサヤに接する(ように見える)偽リーザ。 ↓ そんな偽リーザに短時間で心を開いたサヤ。 ↓ そんなサヤの隙間に入りこんで、サヤの行動原理とサヤの過去を問う偽リーザ。 ↓ これまでもそうであったように、自分の過去に向き合うことができないサヤ。 ↓ そんなサヤにさらに踏みこむ偽リーザ。 ↓ 逃げ出したサヤ。サヤを守ろうとするハジ。 ↓ ハジを排除し、さらなる真実を突きつける偽リーザ。 ↓ 力によって真実から逃げ出そうとしたサヤ。 ↓ それ以上の力を見せつけて戦意を奪う偽リーザ。 ↓ 折れるサヤの心。 ↓ 真実に目覚め、サヤは「血」サイドへと傾く。 ↓ そこではDIVAが目覚めの時を迎えている。 20分ほどの時間ですが、切り返しまくってますなぁ。深く深く深く、サヤのココロに踏みこみ、ココロを支える土台ごと破壊した一話でしたが、心と血の間で揺れ動くサヤを十全に描いてきたからこそ、サヤの変化を一気に進めることができたわけですね。その意味では、この一話の構成が見事というだけでなく、これまでの伏線の貼り方もキレーだったってことになるかと。
これまでは伏線を貼るだけで、ほとんど回収してこなかったBLOOD+ですが、やるときゃやるぜ!みたいな一気呵成の伏線回収がバリ気持ち良い。そう感じた一話でした。今後も、ポイントごとの伏線回収はダイナミックに進めてくれそうですね。今回は、サヤが翼手(血)サイドに傾くという「タメ」中心の内容なんで、ほとんど「燃え」はありませんでしたが、これが「燃え」オンリーになったらどれだけ熱いねん、などと期待しまくりですよー。
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